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龍 勢 の巻 |
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広島空港に降り立つと、ちょっと大きめの乗合タクシーが
我々を待っていてくれた。 他にお客さんがいないので、本来なら竹原駅まで行かねばならないはずが 目指す藤井酒造まで、わざわざ送り届けてくれた。これはラッキー! なんて思っていたら早速、藤井副社長がお出迎え。 蔵内で行われる着物ショーや竹祭りなどの準備で忙しいのに すごく丁寧に蔵を案内していただいて恐縮してしまった。 藤井酒造は、第一回全国清酒鑑評会で日本一になった蔵元で、 燗冷めしても美味しい酒を目指しているそうだ。 昨今流行りの「砂糖水のような(蔵元談)」酒でなく 存在感のあるシッカリとした純米酒を醸すことをモットーとしている。 丁寧な洗米、他蔵と比較すると長めの限定給水、 ボイラー蒸気による均一な蒸しによる高レベルな下処理を行い、 発酵力の強い酵母で醸していく。 9号系の酵母だと原料処理のせいか、香りが出すぎて かつ、酸が出すぎてしまう。ゆえに、6号・7号系の酵母を選んでいるという。 (6号系は口当たりや酸が軟らかく 7号系は鋭い酸があり熟成に時間がかかるのが特徴) 泡なし酵母で醸しても、蔵付酵母の影響で発酵時に泡が出てくる というのが面白い。 ![]() 運よく、この時期なのにモロミが一本 残っていて試飲させて頂いた。 硬度1の超軟水で醸す、70%精米の 純米酒は試験的に造られたものらしいの だが、絞りたてなのに固さなく、 バランスに優れる。 (既存の銘柄の他にも 色々と造っているんだ・・) チャレンジ心を失わないのはスゴイと思った。 試飲は早々に、今度は美しい竹原の街案内をしていただいた。 「安芸の小京都」と呼ばれる独特の町並みで 古くは塩田で栄えた豊かな街だったそうだ。 夏場は塩田業、冬場は酒造業をやる所が24軒もあったそうだが 藤井酒造は昔から酒造業一本。 こういう一本気な歴史が酒質にも表れている気がした。 ![]() 蔵内の蕎麦屋で一杯呑んで、 藤井さんお勧めの広島市内の居酒屋へ。 瀬戸内産の小鰯の刺身や天麩羅を頬張り、 龍勢と合わせるとなるほど、 地の酒と魚の相性が抜群であることを 再認識した。 青々とした瀬戸内の海から 天高く舞い上がる龍の如く、 気持ちが高揚し結局居酒屋を3件もハシゴをしてしまった。 広島県下で飲む龍勢は、ひと味もふた味も違って格別の味に感じた。 2006年 5月 バーシー石橋 |