それから何年かたったある日のことです、一人のりりしい王子様が兵隊を連れて

森に狩りにやってきました。そして、あの商人の家の近くまできたとき、

歌声が聞こえてきました。それはとても美しい歌声でしたので王子は強く心を惹かれました。

王子は歌声がどこから聞こえてくるのか探すようにと兵隊に命じました。

兵隊はすぐに美しい娘がブランコに乗ってゆれながら歌を歌っているのを見つけました。

バワンメラは誰かに見られていることに気がつきませんでした。兵隊は急いで引き返すと

王子に美しい声の持ち主のことを報告しました。それを聞くと王子はすぐにブランコの近くへ

行き、バワンメラを少し離れたところから眺めました。

ちらっと見ただけで王子はすっかり心を奪われてしまい、もっと近づこうとした時、

娘はブランコを降りて家の中へ消えてしまいました。

王子と兵隊たちはバワンメラの後を追いかけて、家の前までやってきました。

バワンプテの母親は兵隊たちを見てびっくりしました。

王子がこの家に歌の上手な娘はいるかとたずねると、バワンプテの母親は

それは自分の娘ですと嘘をつきました。

王子は すぐに連れてきてきてくれるようにと命じました。

このとき、バワンメラは台所に閉じ込められていて、かわりにバワンプテが連れてこられま

した。この娘が本当にあの美しい声の主なのかどうか、ちらっと見ただけの王子には

よくわかりませんでした。そこで、王子は木のところに戻って歌うようにと頼みました。

バワンプテはブランコに乗って歌を歌いはじめました。けれどもひどい声のうえに、

ブランコも上手にこげなかったので、たちまち偽者だとばれてしまいました。

王子は怒って家のすみからすみまで探すように命じました。しかし、あの娘は見つかりませ

んでした。王子は居場所を知っているのに教えない者には、罰を与えるとおどかしました。

バワンプテの母親はこれを聞いて怖くなり、とうとうバワンメラを連れてきて、隠していた

ことをごまかすためにまた嘘をつこうとしました。

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