医療

医者のロールモデル

ローテーション制度中の2年目の研修医の先生方がそろそろ入局先を決めるこの時期になると、どこの医局も研修医の勧誘合戦を始めます。最近は医師の需給の変化もあってか、入局勧誘の方針も変化している気がします。というのも大学病院や医局を運営している人達は昔の丁稚奉公的医局制度に頭まで漬かっている世代ですが、これから入局する研修医は「医局は何をしてくれるのか?」という風に考える世代なわけで、考え方がまさに180度違います。自分はちょうどその中間にあたるので、長い目で見て医局にも入局者にも利益があるように調整しなくてはいけない立場にあるわけです。

で、今の研修医と話をしていて特に心配に思うのは、入局した後に自分の後輩をちゃんと教えていけるのかな?という事です。もちろん入局時は「何をしてくれるの?」という立場ですが、数年すれば後輩が入局し、それに対して教育をしていかなくてはなりません。こういう事ってやれといわれてなかなかできることじゃないですよね。過去の自分はどうだったのかと振り返ると、入局時は10年以上のキャリア差がある先輩医師しかおらず、忙しかったですが非常に丁寧に教えてもらった気がします。あと能力差がものすごくあったせいか、手の届きそうにない先輩を目標としていつか追いつき追い越そうとしていた気がします。今の自分が後輩にいろいろ教えるのが好きなのは、多分この体験からきているんだと思うんですよね。
そんなわけで、結局自分が真似したい先輩=ロールモデルとなる医師がいたほうが勧誘するにも入局者を教育するにも良いのではないのかなと思っています。ただしロールモデルの条件として、一緒に苦難を体験する必要があり、年代が随分はなれている上の先生方に期待するのは難しいのも事実です。なのでこれまでは自分が臨床のロールモデルたろうと頑張ってきた、という感じです。

ただ最近は後輩の先生方も随分成長してきており、そういう意味では臨床面は後輩に引き継いでも大丈夫そうかなと思ってきています。しかし研究面ではどうか?と思うとちょっと弱いんですね。研究は僕自身も今までほとんど経験がないですし、研究者としてのロールモデルとなってくれそうな1学年上の先輩や同期も今は大学を出てしまっているので、基本的には一人である程度頑張んなきゃいけないようです。う〜ん、これではイバラの道だ。

しかし本格的ではないにしろ医局には研究志向のある人もいるので、その芽を摘むような結果にはなって欲しくないと思っています。先輩方から受けた恩は後輩に返してあげないといけないですしね。今度は研究者としてのロールモデルになれるよう頑張ってみますかね…。

日本認知症学会と前橋まつり

日本認知症学会@前橋
認知症にかかわるようになったので最近はなるべく新しい知識を仕入れに学会に行くようにしています。先日も前橋で日本認知症学会があり、病棟業務を他のチームのメンバーに任せて行ってきました。前橋に行くのは初めてでしたが、アーケードのある商店街なんかは新潟市の中心部とそっくりでちょっとノスタルジックでした。
日程を間違って覚えていたせいで外来が閉められず、興味のある演題を全て聴けたわけではありませんでしたが、特に前頭側頭型認知症の病理についてはいろいろ新しいことが分かり面白かったです。最近運動ニューロン疾患を合併する例を経験し、後輩に症例報告をしてもらった事もあったので、自分以内でもすごく興味があるところだったんですね。

まぁそんな感じで学会自体は大満足に終わったんですが、困ったことがひとつありました。
まずこの学会の日がちょうど前橋まつりの最中で、行った日にちょうどだんべぇ踊りという催しがあったんですね。これは新潟における大民謡流しみたいなもの(って大抵の人は分からんか…)で、国道50号線を通行止めにして何百人も人が踊るというなかなか迫力のある催しです。で、帰ろうと思って気がついたのが、車を止めていた駐車場がこの国道50号線に面しており、まさにだんべえ踊りの真っ最中だったって事です。
だんべえ踊りだんべえ踊りに封鎖された愛車
えーと、この踊りはいつまで続くんですか?としばし途方にくれましたが、とりあえず近くにいたまつりの実行委員お兄ちゃんに相談する事にしました。すぐに何百人もいる踊りの列の中を道を空けてもらうことなんてできるわけもなく、踊りの休憩が入るまで2時間待てば出れるかもしれないとの事。仕方がないので近くのケンタッキーフライドチキンで時間をつぶす事にしました。
ところが、2時間後に再び駐車場に行ってまつりの実行委員の兄ちゃんに声をかけると「あと2時間たたないと出れません」との事。「ハァ?、さっき聞いたときは出れるって言う話だからわざわざ来たんだけど!」と文句を垂れましたが「警察がOKださないんで…」とか「上にも相談しましたがダメらしんですよ…」言うわけです。しかもそんな事言っている間に踊りの休憩時間は終了し、再びどうあがいても脱出不能になってしまいました。

一度出庫してしまったので駐車場会社に問い合わせ何とか手を打ってもらっていると、もう少し年配の実行委員が来てお詫びしくくれました。ただよくよく話を聞くと「本当は休憩時間に出すことはできなくもなかった」とかポロっと言っており、最初と2回目に対応した実行委員がうまく立ち回れていなかったようでした。まぁ自治会みたいな組織なんで質的にはそんなもんなんでしょうけど、損害賠償が発生するような事態だったらどうするんでしょうね。

結局4時間待って再出庫。家に帰ったのは夜中でした。はぁ〜疲れた。

上級医に必要な能力って何だろう

以前も書きましたが、ここ1年間は主治医という肩書がついて病棟のとあるいち医師チームの中で最高責任者になってました。自分の下に数人の医師がついて仕事をするというのは実務が楽な分雑多な判断を要求される局面が多く、全く慣れない感じでした。それでも大きなトラブルもなく1年間を過せた気がします。

ただ自分の直下の後輩達に自分が得た様々な知識や判断のノウハウをしっかり伝えられたかというと、ちょっと疑問でした。自分は何でもやりたがりの性格なのでついつい自分が先頭に立って決めてしまいましたが、今振り返るとそれが後輩達の知識や判断力、仕事のコーディネート力を得る機会を奪ってしまっていた気がしました。それぞれ個性のある可愛い後輩達で苦手もあれば弱点もあるわけで、そういった面を上手く改善できるように教えていかなきゃと反省する事ひとしきりです。

自分の性格から言ってもある程度後輩に任せるのは苦痛なんですが、これも仕事の一つ。より良い医師になってもらいたいので、今年一年は自分を押さえていかなきゃと思っています。

ドクターシューズ考

患者さんの血液やその他諸々に触れる事が多い仕事柄、仕事中は内履を履くようにしています。毎日履くだけあって1年間持つ事はなく、半年くらいで真っ黒のボロボロになってしまいます。また1日中履くためか夏場はかなり匂ってしまい、通気性がなくては困ります。サンダルなんかは最適なんですが、少なくとも内科系で外来をやっている場合患者さんに良くない印象を持たれてしまう事もあり、運動靴を買う事が多いです。

買ったばかりの頃のミズノ+ジョルジオアルマーニ靴現在使用中のNIKE KUKINI
今使っているのは今期冬に購入したNIKEのAIR KUKINIというABC-MART限定モデル(右写真)で、安い割に丈夫で履き易く非常に使い勝手の良い逸品です。派手過ぎない花柄に一発で惚れ込んでしまい、29cmという明らかにオーバーサイズにもかかわらず即決してしまいました。ま、店員さんに聞いた話ではかなりタイトに作ってあるらしく、僕の足サイズ(26.5cm程度)でも十分履けるそうです(試着して実際そうでした)
またその前は妻に買ってもらったミズノとジョルジオアルマーニのコラボレート靴(かなり高級!!)使っていたんですが、1年も経たずにすっかりボロボロになってしまい、なんだか妻に申し訳い状態になってしまいました。破損部分を見るにデザインを優先したせいか爪先付近に構造的脆弱性があるようです。

夏場使っているのはNIKEのU-SOKという靴でABC-MARTで4000円程度で買った靴なんですが、これは安い割に通気性も良く暑い時期はほぼこれに決まりといえましょう。
いつも思うんですが、女医さんや看護師さんは専用のナースサンダルが売っているんですが、男性医師や男の看護師さんに専用品ってのはないんですね。使い勝手が良くて安ければ買うんですけど、誰か作ってくれないですかね。

上級医のあるべき姿って?

大学病院は研修医を含めて医師が沢山おり、また多くの場合少ない給料を補うために外勤を掛け持ちしているため、病棟の診療は複数の医師からなるチームで管理する事になります。自分も入局したての頃は研修医だったため、そのチームのヒエラルキーの最下層から仕事を始めたんですが、最近はやっと病院からそこそこの給料をもらえるようになったので、ヒエラルキーの上に登ってきたわけです。

研修医時代は判断能力が全く無い代わりに患者さんには最も近い所にいられたわけで、医局の雑用も当てがわれず(というか能力的にこなせない)ので純粋に医療をしていれば済みました。そのためか身体的に辛い事もありましたがあまり悩んだ事はありませんでした。ところがヒエラルキーを登るにつれ研究や教育など診療以外の仕事が増えてきます。これが結構ストレスなんですね。というのも、診療以外の仕事が増えるとどうしても診療に対して綿密な思考を保てなくなります。ふとした折りに以前より迅速な判断ができなくなっている自分に気がついて、かなりショックを受けたりするわけです。かと言って臨床にどっぷり浸かる事もできず、イライラが募るばかりなわけです。

大学病院に勤める以上必ず通り道なんでしょうけど、思考が拡散するのはやっぱり面白くありません。雑用に追われるとモチベーションも下がってしまいますし、大学にいる目的も見失いがちです。自分がしたい事やしないといけない事をもう少し明確にして、自覚的に仕事を選んでいかないといけない時期なのかぁと思いました。それに医局の後輩から見てもモデルになるような先輩にならないと、後が続かないですしね。

これは今年度の目標になりそうです。