読書

久しぶりにレバレッジシリーズ

レバレッジマネジメント
ライフハック的な内容が多いせいか最近レバレッジシリーズを読まなくなっていたんですが、経営者向けに突っ込んだ内容を書いた新しいレバレッジ本「レバレッジマネジメント」が発売されていたので、早速読んでみました。

目次は以下の6章から成っており、内容をまとめてみます。

  1. 経営者のレバレッジ
    経営者個人の仕事の取り組みを自己問答形式で書いてます。冒頭なのでさらっと読んでしまいそうですが、ある意味常に心がけておかないといけない事のような気もしました。
  2. 戦略のレバレッジ
    事業の方向性を考えるとき、効率と集中化が大事って事みたいです
  3. 営業のレバレッジ
    お願い営業はするな、ブランド化して売り込まなくても売れるようにしろって事みたいです
  4. ブランドのレバレッジ
    受け入れやすい企業イメージを作れ(=ブランド化)の話ですが、営業のレバレッジと被ります
  5. 仕組み化のレバレッジ
    常に能動的に業務を簡略化し、効率化すべきというお話
  6. 組織のレバレッジ
    情報共有とインセンティブ、その他もろもろ

という感じで比較的小規模な営利集団をマネージメントするのに必要そうなことが列記されており、なるほど〜と思うところが沢山ありました。特に「効率的な仕組みを作る」という言葉には、そう!それこそがリーダーの仕事なんだよ!と激しく同意してしまいました。自分のリーダー観に「ある集団のリーダーは、メンバー全員が『楽に』目標を達成できる仕組みを提示しなくちゃいけない」というのがあり、それを分かりやすく明文化していたんで、とても嬉しかったんですね。
他にも、自分がリーダーでなくても組織や自分自身を効率化する上では大事なことが書いてあり、自分が所属している集団で試してみたいなぁと思わせる内容でした。

やや散文的でしたが、まとまっていない分時期を変えて読むと新しい発見がありそうなので、しばらく手元に置いておきたい本でした。久々に充実の一冊でしたね。

地頭力は鍛えるのにフェルミ推定は必要?

地頭力を鍛える
地頭力って言葉が昨年流行ったようで、その流行りの元になった本をようやく入手したので読んでみました。タイトルは「地頭力を鍛える〜問題解決に活かすフェルミ推定」で、そもそも地頭力って何?って事で冒頭は地頭力の解説が書いてあります。筆者が定義する地頭力は知恵に近い概念で、もっと突き詰めると俯瞰と局所を使い分けられるフレームワーク思考、ゴールを決めて当座の行動指針を作る仮説思考、事象モデルを作れる抽象化思考の3つからなっているようです。その後は地頭力を鍛えるのに必要なフェルミ推定の話、地頭力の構成要素であるフレームワーク思考、仮説思考、抽象化思考の話、という順に書いてありました。

で気になったのが、副題にあるフェルミ推定です。このフェルミ推定がどんなものかと言うと、極めて少ない情報から比較的真実に数値を導き出す、という事のようです。例えば「日本に電柱は全部で何本ある?」みたいな課題をフェルミ推定の例題と言うようで、それを地頭力を使って颯爽と推定していくわけです。この無理難題の解決プロセスを読んでいくと「すげぇっ!!」て思うんですけど、どうもしっくりきません。
情報収集に頼り過ぎて貴重な時間を消費してしまい、制限時間以内に全く回答を出せないのは確かに本末転倒だと思います。でもある程度正確な推定をするには正確で汎用性の高い知識がないとどうにもならないわけで、「地頭力を鍛える」ためにフェルミ推定を使うなら、もう少し実践的な例題の方が役に立つ知識が蓄積できる気がしました。まぁ入社面接で純粋な地頭力だけを評価するには荒唐無稽なフェルミ推定の例題の方が良いんでしょうけどね。

それ以外の冒頭の地頭力の構造やその構成因子である3つの思考の解説はなるほどと思うところが沢山あり、戦略的な思考の指南書みたいな感じで楽しめました。結局「地頭力」を鍛えるためには場数を踏むしかないようですが、あらかじめ「地頭力を使おう」を思いながら課題に取り組めばそれを鍛えることはできるような気がしました。

なぜ、「できる人」は「できる人」を育てられないのか?

最近後輩の医師に指導をする期会が増えて、気になってきたことがあります。それは人によって動機付けや理解の速度が異なり、いろいろ工夫はするんですが自分で思ったほど指導の効果が出ない場合があるという事です。利益追求を重視する企業であれば、一定の研修をしても追いて来れない人材はクビになって終わりなんでしょうけど、せっかく入局してくれた後輩達には優秀な人材になって欲しいわけです。
んで、ふとコーチングを学んでみようかと思い立ちました。このコーチング自体は随分前に流行った概念で流行り始めの頃に講談社現代新書で少し読んだ気がするんですが、残念ながらもう頭に残っておらず一からやり直しする事にしました。早速教科書になりそうな本を本屋で探してみたんですが、それっぽいビジネス書はそれこそ山のように売っており、立ち読みするだけでも大仕事でした。

なぜ、「できる人」は「できる人」を育てられないのか?
で、その立ち読みで引っかかった本が一冊ありました。『なぜ、「できる人」は「できる人」を育てられないのか?』というタイトルの本で、「できる人」の無意識の傲慢を書いた帯のコメントに惹かれて買ってしまいました。というのも、ここに書いてある「できる人」というのが、まさに自分が目指している理想の姿なんですね。その「できる人」になろうとすればするほど、他人を指導する時に罠にはまるという主張が僕の心を捉えたわけです。
で内容を大雑把にまとめると、以下のような感じでした。

  1. 「できる人」の技術は、「できる人」に固有の部分が大きい
  2. 「できる人」は自分に固有の基準を押し付けようとする
  3. したがって「できる人」は他人をできる人に育てられない

これをいろんな事例を示して語った後、コーチングの話に持っていくところで話は終わります。なので書いてある内容は確かに『「できる人」が「できる人」を育てられない理由』であって、じゃぁどうすれば良いの?という事に関してはあやふやな事しか書いておらず、消化不良な感じでした。
ただ載ってる事例にいちいち納得するところがたくさんあり、自分に問題提起をしてくれたと言う意味で秀逸な本でした。この著者は他にも幾つか本を書いているので、コーチングについて書いた本を探して少し読んでみようかと思います。

これがニーチェだ!と言われてみた。

これがニーチェだ
この歳でニーチェってのもいまさらアレなんですが、随分御無沙汰していたニーチェに何となく手を出してみる事にしました。だいたいきちんとニーチェの書いた本なんて読んだこともないんですが、昔「ニーチェについて書いた本達」を読んだ当時は、その(虚無主義という意味での)ニヒリズムに目からうろこだったもんでした。そんな記憶を元に、面白そうなニーチェ本ないかなと思って駅前の本屋さんで新書の背表紙を眺めていたところ、そのものずばりなタイトル「これがニーチェだ」を見つけました。序文を読んだところ著者の個人的なニーチェ解釈を書いているらしいんですが、少なくともニーチェが好きでよく読みこんでそうな人だったので買って読んでみることにしました。

おおよそこの構造としては、ニーチェが最初にした道徳と宗教の批判に始まり、神について考える第1空間、すべては力への意思と考えた第2空間、結局あるがままを肯定する第3空間の順に解説していきます。ニーチェの論理を抽象的な3つの空間に分けて解説しているあたり、哲学的文章アレルギーの自分にはちと辛かったんですが、意外に展開している論理は単純(というか自分の考え方に近い?)だったので理解しやすかったです。
細かいことを抜きにすれば、ニーチェは人が作った宗教と道徳の胡散臭さが気に入らずそのその構造を暴こうとしたんですが、ルサンチマンから抜け出そうとするとルサンチマンに陥る堂々巡りに入ってしまい、結局あるがままを受け入れるという態度でのニヒリズムにたどり着いた、と解釈しているみたいです。

僕は永劫回帰や運命愛なんて胡散臭い概念は全く受け入れられないし、そういう方便を言い出してしまったニーチェ自身に弱さや矛盾を感じてしまうので、彼の主張を丸呑みする事はできません。ただ色々のたくった挙句たどり着いた「あるがままを受け入れる」という考えにはリアリティを感じるし、誰かの言い出した道徳や宗教よりは自分が感じるものに近いなぁと思うわけです。
まぁそもそも特にニーチェファンの著者が書いている解説本なのでかなりのバイアスが入るんでしょうけど、そのバイアスが入った考え自体が好きになれそうならそれもありかなと思える本でした。たまにはこういうのも面白いもんです。

28歳からのリアルを振り返ってみる。

28歳からのリアル
ちょうど5年くらい前に「28歳からのリアル」という本が発売され、ちょこっと読んだ事がありました。28歳になった自分がこれからの人生のプランを見据えて何ができるか?という内容だったので、ちょうど28歳くらいだった自分の将来を考えて興味深く読んだ気がします。で最近本屋を徘徊していたところ「【新版】28歳からのリアル」を見つけました。久しぶりに見たなぁなどと思いつつどの辺が新版か立ち読みしてみたんですが、さすがに5年も経つと内容が全く思い出せず、結局買って読んでみる事にしました。

内容は、転職を中心に結婚、持ち家を買う(ローンを組む)のようなある程度長期的視野に立って考えないといけないことを、具体的にどのくらいのお金と年数が必要か試算してみよう!という感じで、やや扇動的なところもありますが、ほとんどは事実を淡々と書いてある印象でした。とくに最近の経済事情に合わせて一部が改訂されていた点が新版ってみたいで、久しぶりに読んで啓蒙はされましたが、情報としての目新しい点はありませんでした。
ただ、自分がいる業界は「医療技術を磨いていれば喰うのには困らない」ってのがある程度通用してしまう牧歌的な世界なんですが、より良くあるためにはやっぱりいろんな事を知らなきゃいけないと思うんですよね。だからこの本の存在意義ってのは、むしろうちの業界の人にこそあるんじゃないかなって思いました。書いてある数字を丸呑みしたりむやみに焦ったりしなければ、人生を試算する良いきっかけになる本なんだと思います。

で、5年前に読んだ28歳のリアルは、33歳になる自分にとって本当にリアルだったか?と自問すると、結構予想外だったなという感じです。無駄な不安を取り除く意味で試算をすることは大事なんですが、計画通りになるかどうかと言うと、結局なるようにしかならないのかもしれないですね。
まぁ仕方が無いんで、諸行無常を意識しつつこれからやってくる33歳のリアルについても考えていかないといけないわけです。