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映画ディアドクター

ディアドクター公式サイトの絵
今年も夏休み映画の季節がやってきました。今年劇場で観ようと心に決めた映画のひとつ、ディアドクター(公式サイト)を観れたので感想を述べてみたいと思います。

まず、まだ観ていない人がいたら、なるべく事前情報はない方が良いと思います。というのも、ただひたすら2つの嘘を巡るお話なので、その内容や顛末についてのヒントはは知らない方が楽しめると思うんですよね。ただ公式サイトやテレビの番宣でその内容を匂わす情報がモレモレなので、かく言う自分もおおよそ予想から外れていませんでした。今回の感想もほぼネタバレになるので、これから観ようと思っている人は読まない方が良いと思います。

で前置きは終了。本題です。
物語は山奥の小さな村の唯一の医者、伊野(鶴瓶)が失踪したところから始まります。夜中に村人達が大騒ぎしている中、刑事が伊野についていろいろ調べ始めたところで回想が始まります。
まず失踪の数ヶ月前に研修医の相馬(瑛太)が村にやってきます。この村では伊野が1人で僻地医療を支えており、彼に付いて研修をするうち相馬は研修が終わっても伊野とともに働きたいと思い始めます。そこで伊野は新しい患者、鳥飼かづ子(八千草薫)に出会います。どうも状態は良くないんですが、娘の鳥飼りつ子(井川遥)に迷惑をかけたくないかづ子は、伊野にとあるお願い事をします。伊野はそれを実行しようとしますが…というところで回想は終了。結局それぞれの嘘は伊野と警察により明かされ、後半は刑事(松重豊)によるインタビュームービーと化します。
面白いのは登場人物の心の声の描写が全くなく、伊野がいなくなった後のいかにも表面的なセリフでしか人の気持ちを推し量れないという所です。それぞれの過去にさかのぼる描写もないので、発言や行動にいたる心理を直接知ることはできません。現実世界で他人の行動心理を知る事ができないのは当たり前なんですが、いざ映画でそれをやられるとなかなかもどかしいです。ただそのおかげで観ている人は想像力を働かせなくてはいけないし、セリフ一つ一つに重みがありました。そういう意味では伊野失踪を巡る周囲のリアクションを観る映画って感じでした。
失踪後の伊野に対してひどい言い草が多くて悶々としますが、その裏の心理過程を想像するとなかなか複雑で薄っぺらでないんですね。この悶々感については刑事さんが最後に代弁してくれるんで、ちょっとすっきりします。

あとは職業柄か、ついつい医療行為に目が向いてしまいました。冒頭で入れ歯を詰まらせたお爺さんに対する伊野の診察を見てて、ん?って思ったりしたんですが、これはこれである意味伏線になっているというところが侮れないです。気胸の処置はすっかり入れ込んでしまい猛烈手に汗握ってしまったし、その後出てくる基幹病院の救急医(中村勘三郎)に「こういう先生居るわ〜」と思ってしまったりしてました。技術面だけでなく人柄も含め医療監修は完璧といえましょう…多分。

ちなみに観てきた劇場は新宿武蔵野館でした。ここはいつもミニシアター系の映画を扱っており、今回もどマイナーな岸辺の二人の上映をしてたりしました。ディアドクターも公開している劇場が少なく、ミニシアター系に分類されちゃう感じみたいです。自分的には人間ドラマ部門第1位くらいの大ヒット作品なんですけど、やっぱりマイナーな嗜好なんでしょうかねぇ。