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スーパーローテーター

2年程前から研修医制度が変わり、いわゆるスーパーローテーションになりました。具体的に何が変わったかと言うと、今までは大学を卒業すると各臓器別の科に入局しそこで初期研修をするというパターンが一般的でした。教育施設によっては初期研修は所属科で行ない、その後2年間は各内科+いわゆるマイナー科(眼科や耳鼻科等)や外科等を選択しローテーションするシステムをとっている所もありました(我が大学とかはそう)。それが新しい制度では卒後すぐには医局には所属せず施設お抱えの研修医という身分になるわけです。
この制度の良い所は、今までのように研修医の給料が月数万円という事はなく研修医として施設からまとまった給料が出るところです。その代わりアルバイトは禁止で、未熟な技術で危険なアルバイトをしないで済むという仕組になっています。
うちの医局は新制度では2年目のローテーターが回る科になっており、今年初めてローテーターが研修をしにきたというわけです。長い前置きでしたが、今回はそのローテーターについて書いてみようと思っています。

自分の2年目の時の事を思い出すに、初期研修を自分の科で終り初めて他の臓器科に出る頃でした。点滴ルートの確保と採血はできるようになっていましたが、オツムの方はてんで空っぽという感じでした。そんな自分と比べて今年のローテーターを見ていると、一番気になったのは能力の個人差が著しいという点です。今までで「コイツできる」と思ったローテーターは、独りでCVルートを任せても十分にやれる位の手技と循環器だけ言えば初期対応は十分やれる知識を持っていました。正直コイツに教える事は既にない、と思うレベルでした。それと比べて「これはちょっとダメだな」というローテーターは、例えばCVカテはちらっとしか見た事がない、薬はほとんど覚えていない、そもそも自分で診断しようとしないという具合です。
まだローテーターが我が科を回り始めてから数ヶ月ですが、実に様々でした。

彼らの言い分としては、今までと異なり公式にローテーターの医療行為に制限がついており動き難い、指導医も新しい制度でどうやって教育したら良いのか迷っておりイマイチ指導に力が入ってないというわけです。まぁ実際自分が指導医に近い立場になって、どこまでやって良いものか悩ましいのも事実です。

それについて我々の科の上司も色々考えているようで、今試しに実施しているのが「5年目位の若い医師が研修医に講義をする」というシステムです。何故こんな事を思いたったかというと、ローテーターと話をしていてとにかく基礎知識が全く無いんですね。抗生物質にしても輸液にしても自分が選択する機会がないせいかどんな製品があるのかすらよく分かっていない。
講義の内容の正確さはともかく、簡単なガイドラインなりを教えてあげないとマズイし、そういう知識にこそ需要があると思ったわけです(僕じゃなくて上司がですけどね)。需要の確認のため終了後アンケートをとって不人気な講義をボツにする事にもなっており、講義する方(僕とか)は結構ドキドキだったりします。

まぁしかし始めてみると結構需要が分かって面白いです。自分の知識の整理にもなるし、実際個別に指導するよりも効率が良いのも事実です。好評だと講義する方も嬉しいので、それが動機になってクオリティも上がるわけです。面白そうなのでもう少し続けてあそこで研修して良かったと言われる科になりたいと思ったりしたわけです。