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精神科医マニュアル

最近ふとしたきっかけで、昔精神科をローテーションしていたときに読んでいた精神科医マニュアルを手にする機会がありました。普段内科をやっていると精神科領域は全く縁遠くなるせいか、久しぶりに目にする精神疾患は結構面白くて帰りの電車の中で思わず読み込んでしまいました。

その本はアメリカのマニュアルを邦訳したもののせいか、人格障害とかにも結構力が入っており、便利にして簡潔な解説がついておりました。そこを読んでいてふと浮かんだ疑問、それは人格障害ってのはどの程度からが病的でどの程度が個性なのかって事です。
実際マニュアル本の中の「演技性人格障害」を例に取るとすると、意識下か無意識下を問わず演技により他者に対して操作性を持つのがこの疾患の特徴だったりします。そうすると古典的な恋愛ドラマにおける「構ってほしいので、気を惹く行動(例えば雨の中で傘もささずに待っていたり手首を切ったり)をする」みたいな行動は演技性人格障害の症状に当てはまってしまうわけです。結局のところ、当事者がその行為を、愛深き故の行為とするか病的とするかによって問題になるかどうかが決まるわけで、当事者の了解次第で人格障害か否か決定されるという不確定性があるわけです。
診断の受け手依存性という点においては、他の精神疾患だってその症状を問題視しないコミュニティにおいては病的でさえないので、この議論自体が不毛なのかもしれません。ただ、いずれにしても実際精神科領域の医師はそれを診断しなくてはならないわけですから、かなりしんどいんじゃないかなぁと要らぬ心配をしてしまいます。

なので、当座それっぽい人に困った場合は、当座専門家にお任せしようと思ったわけです。やっぱり心の病気は難しいです。