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トニー滝谷

トニー滝谷

村上春樹の短編で、トニー滝谷という作品があります。レキシントンの幽霊という短篇集に掲載されている作品で、トニー滝谷という男の半生を短く書いたものです。
これが今年の始め頃に映画化されてたんですね(公式サイト)。キャストがイッセー尾形と宮沢りえで、音楽が坂本龍一という豪華メンバーです。確か別の映画を見に行った時に予告で見た気がしたんですが、先日TSUTAYAでレンタルDVDを見るまですっかり忘れていました。
考えて見ると、村上春樹の小説で映画化されたものって実は今までなかった気がします。自分の小説のイメージ通りの作風になっているかちょっと不安でしたが、予告編を見る限りは良さげな印象だったので早速レンタルしてみました。

一度目はかなり眠たかったときに見たので途中で眠ってしまいましたが、再度見たときは約80分ぶっ通しで最後まで見てしまいました。結論から言うと、すごく良かったです。久しぶりのベタ誉めです。
まずストーリー、これはかなり小説に忠実です。というより小説を朗読しているようなスタイルで全編進行します。ほぼ常にナレーションがあり、登場人物は時々ナレーションの一部を代って言う、というちょっと変わった形式です。この形式であるがゆえに、小説との違和感を抱かせないではないかと思いました。俳優は流石一流を揃えているだけあって、演技が最高でした。イッセー尾形の孤独な表情も良かったし、宮沢りえの一人二役の切替が良かったです。小説が映画化されると俳優の演技にギャップを感じる事が多いんですが、この点トニー滝谷は予想以上でした。
カメラワークは前半やや単調な印象もありましたが、結婚している時期以外は暗いトーンで描かれていたり色使いもしっかりされており、見ていて違和感はありませんでした。

ナレーションがほぼ独白のみなのでストーリーがやや説明不足ですが、そこは小説を先に読んでおけば大丈夫だと思います。特に村上春樹ファンは必見、そうでない人にも是非見ていただきたい作品です。