No.269の記事

ハゲタカ

ハゲタカ表紙

ハゲタカという小説をお義父さんに勧められて読んでいたんですが、久々にのめり込んでしまったので感想を書いてみます。
そもそもこのハゲタカというのは、経営危機に瀕した企業を買いあさり売り飛ばす外資系ファンドの蔑称で、実際にあった話では、スティールパートナーのブルドックソース買収事件などで有名です(←某wiki受け売り)。
学生時代をほぼ単科大学状態で過ごし卒後も医療にしかかかわっていない自分はこういった経済関係の話には圧倒的に弱く、知識のないまま読んでも大丈夫かどうか不安でしたが、読み進めるにしたがってそれは完全に杞憂に終わりました。というのも普通に娯楽作品として十分に面白かったんですね。

ストーリーとしては、ハゲタカファンドマネージャである鷲津と、日本の銀行マン出身で企業再生に身を投じて行く芝野が、企業買収などを通じて時に戦い時に協力しあうお話です。ハゲタカ上下巻とバイアウト(文庫版はハゲタカII)上下巻の合計4冊にわたる、僕にとっては豊穣の海に次ぐ長編小説でした。

最初はやっぱり経済用語の意味が分らず携帯電話からgoogleやwikipediaを頼りながら読んで行きましたが、お話が緊張感を持ちながらもダイナミックに展開していくので、そう言った作業が全く苦にならないんですね。早く次の展開が読みたい!、と常に思いながら読み進めてしまいました。
あと読んでいて爽快だったものが、鷲津の超人的行動力です。タフで寡黙なクセに次々と買収案件を片付けて行く、まさにハードボイルドな活躍にかなり憧れてしまいました。反面芝野も含めて人間性が垣間見できるエピソードも後半に挿入されており、現実離れし過ぎないバランス感が良かったです。
唯一残念なのは、アラン君に振り掛かった不幸な事件の顛末が不明瞭なままお話が終わってしまった事です。これ明らかに次作への布石だと思うんですが、今の所そう言った作品が出版される気配がないのが残念です。

今となってはちょっと古い作品ですが、ハードボイルド小説を読みながら経済の勉強も進む実にお得な作品です。続編の発表を心待ちにしておりますんで、作者の方よろしくお願いします。