No.312の記事

スカイクロラ(映画版)

スカイクロラ
今年話題のアニメ映画「スカイクロラ(公式サイト)」を観てきました。はじめ題名の意味が分かりませんでしたが「The Sky Crawlers」という英題がついており、どうも「空を這う者たち」という意味のようです。原作は森博嗣の同名の小説で、監督押井守+制作ProductionI.G.という作品です。
この森博嗣という人は「すべてがFになる」という推理小説でデビューした工学部准教授兼小説家だそうで、実は妻がよく読んでる作家だったりします。自分的には最近推理小説にさっぱり食指が伸びないので縁遠い作家なんですが、スカイクロラのような全く毛並みの異なる小説を書いているとは…不思議な人です。まぁ実際に制作しているのは押井守+ProductionI.G.なんで、この組み合わせだとGhost in the Shellやイノセンスに近いんじゃないかと想像できるわけです。

でわ随分観客の少ない深夜のシネコンで観てきた感想を語りたいと思います。
まずバセットハウンドとかオルゴールとか押井守なモチーフが目に付きました。ヒロインにあたる草薙水素(くさなぎすいと)は小説オリジナルという事ですが、名前的にGhost in the Shellの草薙素子(くさなぎもとこ)を彷彿とさせます。そういう目で見ると、やたらに淡々と進むストーリーやあまり語られていないけど実は精巧そうな世界観などは、Ghost in the Shellを意識したものなのかなぁと感じました。この辺は原作小説を読んでみないと分かりませんが、もしかしたら森博嗣はGhost in the Shellやその原作に当たる士郎正宗のファンなのかもしれません。

あらすじはというと、欧州と北米によく似た国家連合が戦争状態にある架空の世界でのお話。主人公函南優一(かんなみゆういち)はヨーロッパ側の飛行基地に赴任します。前任者の不可解な失踪と仲間の死、そして草薙水素からのアプローチ(?)などがあり、淡々とお話は進んで行きます。ここまで物語の核心部分への言及はほとんどありません。
中盤から草薙瑞希という草薙水素の妹(?)や三ツ矢碧という女性パイロットが出てきて主人公に絡んだりするあたりから物語の核心部分に迫っていきます。あまりプロモーションを見ずに観に行った自分は、三ツ矢の説明的セリフでやっとキルドレの心理が理解できました。この辺でもう少し盛り上げてくるかと思いましたが、意外に淡々と物語は終局を迎えてしまいます。
絵的にはかなり美しいドッグファイトシーンが目をひきます。プロペラ戦闘機の空戦をよく表現していると評判のそれは自分の予想を越えてキレイでリアルした。登場人物たちは一様に淡々としており、草薙水素を演じる菊地凛子は一部違和感がありましたが、他の場面では役柄にあっているように感じられました。

興業的には大コケしたイノセンスに比べると、原作小説を読んでいなくても結構楽しめる点で一般受けはしそうです。ただ僕の大好きなパトレイバー2 The Movieやイノセンスのような押井色濃厚な作品に比べると、やや薄い印象は拭えませんでした。あまり期待しすぎず観ると結構満足できる…そんな作品でした。