No.325の記事

蛇にピアス〜映画版と小説版

蛇にピアス(映画)蛇にピアス(文庫)
ちょっと昔、綿矢りさの「蹴りたい背中」と金原ひとみの「蛇にピアス」が芥川賞を取りマスコミに注目されたことがあったんですが、早速綿矢りさの「インストール」を立ち読みしたところあまり引き込まれず、そのまま興味を失って忘れ去ってしまいました。
ところが最近映画の予告を見ていると「蛇にピアスが映画化!」なんてプロモーションをしており、そう言えば金原ひとみの「蛇にピアス」はすっかり手付かずだったな〜と気になり始めました。なんでも村上龍が推した作品だそうで、その辺も気になってまず映画から見ることにしました(公式サイト)。あんまりメジャーな作品ではないのか、近所で公開しているのは池袋のシネリーブル(公式サイト)のみだったので、そこまで観に行ってきました。

んで感想。
登場人物は、主人公の19歳の女の子ルイとスプリットタンを勧めた同年代のパンク兄ちゃんアマ、そしてそのアマに紹介されたドS彫師のシバの3人のみ。ストーリーもルイが刺青を入れ終わるまでの3人の関係(というか三角関係?)を描いたものでした。
まず感じたのはアマとルイに意外に理解できなくないと感じたことです。ルイに依存的でまたカッとなると自分を抑制できないアマの行動を、最初はルイがたしなめるような関係でした。でもアマが失踪すると今度はルイが取り乱し、現実的な捜索が全然できずシバに依存したり、警察に八つ当たりをしてしまうんですね。30代の今みるとあまりの子供っぽさにゲンナリしてしまうわけですが、じゃあ10代の自分はどうだった?と自問すると批判ばかりできないかなと思ってしまいました。さすがにこの作品のような破天荒な人生は歩んでいませんが、依存的でキレやすいという意味では、大差なかった気がします。その2人とくらべるとシバはちょっと超越したキャラだったので掴みきれませんでしたね。
あと自分はピアスも刺青も美容形成も好きではないんですが、そういったことをすることにより自分に変化が訪れるような気がするという気持ちは分かるような気がしました。そういう意味ではメガネをやめてコンタクトレンズに変えたり筋肉トレーニングをしたりするのも同じなのかもしれません。
ただひたすら叙述的な作品なのに、なんだか心に残る作品でした。

で、予想外に面白かったので翌日くらいに早速書籍の方を買って読んでみました。まぁ2時間の映画で充分に表現できるくらいの内容だけに文庫本は非常に薄く、数時間で読み終えてしまいました。結論から言うと映画は小説の完全再現でした。台詞の一部がちょっと違うくらいで本当に細かく再現されていました。そしてほとんど内容をいじらなかった蜷川監督は偉い!と思いました。
あと巻末の村上龍の解説は非常に良い事書いてました。自分にとって非現時的なストーリーに、なぜここまでの共感を感じられたのか分かった気がしました。恐るべし村上龍。

ということで決して万人受けする作品ではないと思いますが、自分以内ではかなり面白い作品でした。