No.368の記事

カンヌ国際映画祭とEUREKA(ユリイカ)

カンヌ映画祭で受賞した映画というと日本では商業的に上手くいっていないイメージがあり、その年はメディアを賑わすにもかかわらずその後さっぱり見かけなくなってしまう印象があります。そうすると受賞作品をかなり見逃してる事になるわけで、ちょっと前に弟とカンヌ映画の話をした時に気になってWebで調べてみました。すると意外と観ていることが判明。パルムドールをとっている作品だけでも、パルプフィクション、さらばわが愛/覇王別姫、ダンサーインザダークなどは既に見ていました。

EUREKAパッケージ
とは言えまだ見ていない作品で結構気になるものもあり、とりあえず「EUREKA(ユリイカ)」を観ることにしました。主演のバスの運転手に役所広司、そのバスに乗っていた兄妹に宮崎あおいと宮崎将(…実の兄妹だそうで)という配役で、2000年の作品なんで宮崎あおいが完全に子供でしたね。で、偶然居合わせた彼らがバスジャックに会い、生き残ってしまうところからお話が始まります。
その後役所広司は放浪の旅に出てしまい、宮崎兄妹も家とお金はあるものの言葉を失って生活しているんですが、偶然再開した彼らが同居をはじめ、いきなりやってきた従兄弟を含め4人でバスの旅に出ることになります。

物語は冒頭から最後まで淡々と進み、音楽といえば劇中でかかっているラジオくらいしかなく、絵もほぼ全編モノクロというかなり単調な雰囲気の映画です。さらに宮崎兄妹は失語状態なのでほぼまったく喋らずどの人物の内省も語られないので、無口な役所広司が誰かとしゃべる会話でしかストーリーを知りえない構造になっています。さらに恐るべきことに上映時間が3時間40分もあり、眠気と戦うにはかなり長期戦を覚悟しないといけない作品でした。ただ僕の場合、何回かの当直の合間に途切れ途切れに観たので、気がくじけることはありませんでした。

感想は、淡々とした描写しかないがゆえに登場人物の気持ちをアレコレ想像せざるを得ない、という点で結構面白く観れました。一見無駄にしか見えない描写が山盛りあるんですが、ないと素っ気無くて逆に眠くなってしまうんだろうなって思いました。途中で起こる残虐な事件については、そこに至る犯人の心理過程に同意する事は全然できないんですが、もしかしたらそういう不条理こそが現実なんだよ!と言っているようにも感じました。
なんだか突拍子もない出来事を並べた映画でしたが、意外とリアリティ高いのかもしれません。自分は結構好きなタイプの作品でしたね。