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紀里谷監督のGOEMONを見た

GOEMON
5年くらい前にCASSHERNを発表してからあまり動きのなかった紀里谷監督ですが、ついこのあいだGOEMON(公式サイト)が公開されました。公式サイトの予告編は実に紀里谷テイストが溢れており、いろんな意味で強く惹かれたので近所のシネコンに観に行ってきました。
タイトルのGOEMONというのは義賊で有名な石川五右衛門の事で、豊臣秀吉が天下を治め関ヶ原の戦いに至るまでの期間の活躍を描いています。この安土桃山時代はどっちかと言うと派手な感じの文化と学校で習った気がしますが、出てくる風景はそんなレベルをはるかに超越した極彩色の紀里谷ワールドで、個人的には嫌いではないんですが一般的には悪趣味かも…という感じの世界観でした。
その極彩色の世界の中で、GOEMONが(文字通り)金庫破りをしたときに見つけた南蛮の箱から、もとの主君である信長暗殺にかかわる重大な秘密に触れてしまう、というのが大まかなストーリーです。

CASSHERNの時もそうですが、この紀里谷和明作品はどういうわけだかキャストが豪華で、若干引っ掛かる人はいるものの演技は問題ないレベルでした。ただ人物の掘り下げは浅い感じで、物語を通して絡む猿飛左助と小平太のエピソードでさえもイマイチ感情移入しづらかったです。全体で2時間超の長い映画なのでもっと人物の背景を語っても良さそうな感じですが、後半から急に駆け足になり関が原のエピソードにいたっては最大の見せ場のはずなのに「まだあるの?」って気分にさせられたりと、詰め込みすぎで尺不足になったんじゃないかなと思いました。
あと自分的には「平民から大名、おそらく才蔵やGOEMONでさえも乱世に翻弄されて大事なものを見失ってしまい、それに気がつく頃には大切なものを沢山失ってしまう」という事がテーマだったように感じたんですが、相変わらず表現がストレートすぎるので若干陳腐な印象を受けてしまいました。この辺はCASSHERNと似てましたね。
他に気になったのは、エフェクトバリバリのせいか顔の描写が粗く、所々低解像度の動画を引き延ばして見ているような感じになったところです。CASSHERNの時は暗い色使いが多かったせいかほとんど気になりませんでしたが、地デジの高解像度の動画に慣れてしまうと「ちょっと画質悪いんじゃないの?」と思ってしまいました。

エンタテイメントとしては、独特の破天荒なアクションと極彩色の紀里谷ワールドがCG技術の進歩で前作品より格段にグレードアップしているので、CASSHERNがイケる人なら間違いなく満足できる気がします。
でも物語を十分に書ききれていないという部分では、やっぱりプロモーションビデオの監督なんだなぁと思っちゃいましたね。