No.401の記事

半島を出よ!

半島を出よ上巻半島を出よ下巻
村上龍の「5分後の世界」を読んでいて、そう言えば似たような内容の長編小説「半島を出よ」を読んでないなと思い吉祥寺のLIBROで買ってきました。上下巻でかなりのボリュームの長編小説で、経済破綻から右傾化した日本に北朝鮮の反乱軍(と称する侵攻軍)がやって来て福岡を占領してしまうところからお話が始まります。

特に主人公は設定されておらず、高麗遠征軍を名乗る北朝鮮反乱軍と日本政府、占領された福岡のイシハラグループ(イっちゃってる詩人と少年犯罪者のグループ)の群像劇みたいな展開になっています。おかげで登場人物が非常に多く、特に北朝鮮側の人はカタカナ名なので全く覚えられませんでした。ただ巻頭に人物一覧表がついてますし、チョイ役も結構多いので案外困る事はなかったです。
上巻の内容は日本政府と北朝鮮反乱軍の対峙が中心で、主たる登場人物の背景が余すところなく語られます。日本政府の腑抜けた対応にイライラさせられますが、現実にこういう事が起ったら似たような対応するんだろうなと思ってしまうのが泣けます。読者にとって異質な存在の北朝鮮の特殊部隊と少年犯罪者の描写はかなり緻密にされているので、若干読みづらいと感じてしまう部分もありました。
下巻に入ると日本のSWAT、そしてイシハラグループが絡んで俄然イナミックな展開になります。文字通りのカタルシスや人物の内面変化があり、上巻で耐えた分は下巻でしっかり回収できました。

とにかく設定から人物造形までかなり細かく積んであるので、読むのは大変でしたが読了後の満足感は最高でした。久々に読み応えのある小説に出会えた気がしましたね。