No.453の記事

ヴィヨンの妻を観た

ヴィヨンの妻
今年は太宰治生誕100周年という事で、本から映画まで太宰治作品が出てきてます。特に映画のヴィヨンの妻〜桜桃とタンポポ〜はモントリオール映画祭で監督賞を取ったりとなかなか話題になっています。太宰治というと人間失格と走れメロスくらいしか読んだ事ありませんが、予告を観ると結構期待できそうな内容だったので早速観に行ってきました。ただ公開から結構時間が経っていたせいか観れる映画館が数えるほどしかなく、今回は渋谷のヒューマントラストシネマ渋谷まで行ってきました。渋谷駅の東、明治通りを北上してちょうど宮下公園のも向かいのcocotiという複合ビルの中にありました。

お話は小説家の大谷(浅野忠信)という作家が行きつけ小料理屋で盗みをはたらき、家に逃げ帰ってくる所から始まります。小料理屋を営む夫婦(伊武雅人と室井滋)が大谷の家までやってきますが、大谷は刃物を振り回して逃げてしまい残った妻(松たか子)が借金のカタに小料理屋ではたらく事を決意します。結局大谷が懇意にしてる飲み屋のママから立て替えてもらい事なきを得ますが、もともとロクな収入がなかった(と言うより大谷が全部使いきってしまう)妻はそのまま小料理屋に住み込みではたらく事を決意します。
妻は昔好きだった男性に出会ったり自分に好意を寄せる男の子に出会ったりしながら一生懸命仕事を続けますが、そんな妻に男ができたんじゃないかと大谷は疑いはじめます。
それでまぁこの大谷が典型的太宰キャラで、妻は疑うくせに自分は飲み屋の女の子と寝たりしながら事あるごとに「死にたい」と口走るとんでもない奴です。そして他の太宰作品と同様、昔貢がせた女の子と自殺未遂を起こしてしまいます。

僕は原作を読んでいないので差異は分かりませんでしたが、主人公たる大谷の妻が救われない話である事はきちんと再現できているようで、観てると確実に気が滅入ります。劇中に音楽が流れることも全くなく、間を重視した会話が淡々と展開していくので、雰囲気的にも明るい要素はほとんど感じられません。だからこそ大谷の妻の馬鹿正直ともいえる行動が目立ち、大谷のダメさ加減が浮き立ってました。
演技としては、松たか子、広末涼子、浅野忠信、それぞれ人間臭さがでており、太宰作品の雰囲気を再現とまではいかないにしろ実写化としては十分成り立っていると思いました。

そんなわけで、正直もう一度観たい!となかなか思える作品ではありませんでしたが、時にふと手に取りたくなるかもしれない魅力がありました。太宰作品の実写が観てみたい人は是非お試しくださいな。