☆ 2004年ちさちゃん日記★ 6月 ☆
 

 6月 6日 ☆ 神戸実業学園のイベントにて♪

 この日は、「今日あたりから本格的に梅雨入りに・・」って頃だったと思う。 その日の天気予報には、「お昼ごろから雨が降り」とかだったように覚えています。「うわあー、よりによって、今日から梅雨? 今日のライヴ、屋外だよおー。」と、思いつつも、少しは期待してたの。だって、諸口あきらさんは、 噂によると、すーっごい晴れ男っ!らしいから。もし、今日のこのどんよりな空を晴れさせることができれば、 ホント、太鼓判だもんねーっ。
 今日は、神戸の兵庫区の平野にある「神戸実業学園」という所でイベントがあって、そこで、諸口あきらさんの ライヴもあるらしい。今回はSAM(サム)というデュオグループも一緒なの。
 あたしは、毎週聞いてる諸口さんの深夜ラジオがお気に入りなの。んでもって、先週あたりの放送で 「今度ライヴやる所の出店のチヂミが美味しいんだ。ビールと一緒に飲むのが最高っ。」てな感じの もろさんの言葉に、「なんですとっ!?あたしも美味いチヂミが食べたいっ。神戸実業学園って、どこお?」って、 ラジオの前で一人呟いたのであります。それにSAMの歌は、何ヶ月か前の放送で聞いたから、ちょっと 生で聞いてみたいしねー。それにね、こないだの放送のもろさんが、何だか元気なさそうに思えたから、 「やあ!」って、手を振りに行ってみようかなあー、って。会いに行って顔見せると、少しは喜んでくれそうだもん。
 それにしても、会場になる場所に心あたりがない。どこ??それに、チヂミの出店があったりするってことは、 いっぱい模擬店とかがあって、人がごちゃごちゃしてるってことだから・・今回は一人で行くのは無理っ。 そだっ!こないだの3月のフォートワースでお知り合いになった人にメールしてみようっ♪と思いついたのは何日前だっけかな?

 そんなこんなで、当日、朝10時半ぐらいに家まで車で迎えに来て貰えることになりましたあ♪ この時間に出かけるのは、久々っ。3月までは、自分の番組の生放送に出かけてた時間だわー。なあーんて、 思いながら身支度してたら、「ついたよおー」って、電話があった。急いで急いで、出かけなきゃっ。
 マンションの前にワゴン車で迎えに来てくれたのは、こないだお知り合いになった御夫婦。(3月28日の日記を参照にっ。あの日も お家まで送ってもらっちゃったっけ。)
「今日はね、息子たちも居るから、少し狭いかも?」って、言われ、車内へ乗りこむ。20歳ぐらいの息子さんと、 そのお友達とが、合い席(?)なのです。仲良くなれるかなあー?なんて緊張しつつ、車は目的地に向かうのであります。
 「あ、3月のことが書いてある日記、見たよー」と奥さんが言う。あの時、お知り合いになった車椅子の弟さんが、あたしのHPに、 自分達のことも書いてあるのを見つけて、教えてくれたらしい。「よく、細かく覚えてるねー」って、言われて、「でもねー、細かく書きすぎて、 長くなりすぎちゃうの。」って、あたしは反省。「うちの旦那がねー、自分の事が書いてないって、すねてたよー」って、聞いたのは、この時だったかな? (3ヶ月後に思いだしながら書くと、やっぱ、記憶がうろ覚えになっちゃうねー。)
 「天気予報きいてて、今日、大丈夫かなあー、って思ったんだけど、もろさんって、すっごい晴れ男らしいから。」って、あたしが聞くと、 「うん、すごい晴れ男だよー。空がどんよりしてても、ライヴ前にはお天気よくなるから」って、奥さんが教えてくれる。 「じゃあ、もろさんが、イベントやる近くで、イベントとかしたら、絶対に雨にあわない?」って聞くと、 「うんっ。いっそ、もろさんに来てもらったら、絶対、大丈夫。言ったら来てくれそうだしね。」って、冗談っぽく言われた。 「あー、じゃあ、ビールとかで来てもらって・・っていうか、そっか、きっと、もろさんにお酒をふるまうのは、 お神酒みたいなもんなんだー。お供え物は、お酒で・・。」と、あたしが、悪乗りして言ってしまった冗談に、一同は大笑いっ。
 すっかり和気藹々とした雰囲気の中、車は目的地に近づくのであります。山道山道っ。メチャ狭い道らしい。車がくるとすれ違えないぐらい? かなりの山の中みたい?んん?兵庫区に、そんな山あったんだあー?

 目的地に着き、車を降ると、気のせいか空気が良い感じ?鳥の声なんかも聞こえてて、 キャンプかなんかに来た気分っ。ここんとこ、喉の調子が悪くて咳きがでちゃうんだけど、ここなら、 空気もきれいそうだから、咳きも出なくて済むかしらん?
 空を見上げると、何だか、日差しがさんさんとっ!? んん?今日はお天気悪くなるんじゃなかったっけ??昼前あたりって、今ごろじゃないの? やっぱり、諸口さんは、晴れ男?梅雨入りまでも延期させてしまうことができるのかしらん?
 まず、学園に着いて、理事長さんにご挨拶、って向かった建物で、諸口さんに遭遇っ。 気がつくと、あたしと一緒に来てたご家族の息子さんや旦那さんがせっせと、もろさんの機材や楽器を運んでるっ。 ほとんど、スタッフと同じ動きをしているよおー。息子さん達は、お手伝いの為に連れてこられてるとか?

 ひとしきりの作業が終わり、あたしたちは、運動場へ。そこには、バザーや食べ物の模擬店がいーっぱいっ。 まず、始めに、諸口さんのコーナーへ!そこには、諸口さんの書いた絵のTシャツとかが置いてあるらしい。 「ほら、もろさんが石に絵を書いてるのもあるよー」って、言われて少し興味を示すあたし。んで、その中の、 「これが一番いいと思うよ。空があって、山があって・・」と、一番わかりやすそうなのを一つゲット。 ホントにそこらへんにあったような(それにしては、大きいのだけど)石に、絵が書いてあるらしい。 なんか素朴で良いかも?(その石は、今はあたしの家の玄関に置いてあるよっ。)
 それから、Tシャツ。多分、こないだのもろさんの個展にあった、わりとカッコイイ絵が書いてあるんだと思う。 思わず買っちゃうっ。んで、そのお店の裏方で、焼き鳥を一本ご馳走になったよー。どうも、みんな顔見知りの人達らしい。
 「さて、どうする?何が見たい?」と、奥さんに聞かれ、「チヂミ、チヂミっ。もろさんが、ラジオで、美味しいって、言ってたもんっ」と、 早速トライっ。甘口と辛口のソースがあって、甘口にしたのに、結構、辛目。でも、美味しかったよお♪ お天気は何故か、メチャ上天気。むしろ暑い感じ。車から降りた時は、山の空気が少し涼しめかと思ったけど、 どんどん、暑く晴れてくる。ん?雨ふるんじゃないの??
 一緒に来た人たちは気がついたら散り散りバラバラ好きな所へ行っちゃって、あたしは奥さんと一緒にフリーマーケット散策。 コーヒーカップセットがあったり、食器があったり、ピクニック用の食器セットがバスケットに入って2500円っ! あー、こんなの憧れてたのおー。でも・・我が家にあっても、場所とるだけだよなー。うーーん。
 それから、カバン、カバンっ。可愛い小さいのから、少し変わったDバッグや・・。カバンも大好きっ。 気がついたら、何だかいろーんなものを抱えてるあたしっ!?だって、一緒に見てる奥さんとなあーんか、趣味があうんだもんっ。 嬉しくなっちゃうっ♪
 あまりに帰ってこないあたしたち二人に、探しに来た家族は、「えーー、そんなに買ったの?今日は買わないって言ったのに。」って。 言われた奥さんは「違うって。これ全部、ちさちゃんの!!」・・・はい。ポシェットとDバッグと、 小さいティーポットと、ティーカップ2こセット。そして、服2枚っ。しめて、2000円もしなかった。掘り出し物、掘り出し物っ♪
 みんなの所に戻ると、こないだお友達になった車椅子の弟さんとお姉さんも来ていたよ。そしたら、諸口さんもやってきた。 「今日は一人はちょっと無理って、思ってメールして、連れてきてもらったのー。」って、もろさんに 言ったら、「それがいい!一番バカなグループに入ったなー。」って、言う。もろさんの「バカ」は、 きっと誉め言葉なんだよー。だって、愛情がこもった感じなんだよ。言葉の意味とはうらはらに、ねっ。

 どんどん顔見知りの人達がやってくるらしい。もう総勢、10人ぐらいにはなったかな? 屋根のあるテントみたいな所のテーブルと椅子のある所でみんなで集まってたんだけど、ステージは、日向の影一つない土の上。 「どーする?ここで見る?」って、誰かが言う。ここからでも、後ろの方だけど、見えるのね。 でも、ステージは日なたの中。「うーーん、やっぱり、ステージの前に行く?」
 今まで、いろんな追っかけをやったことある森島ですが、やっぱねー、ステージの人が、 炎天下で頑張ってるのに、うちらが楽して見てちゃいけないでしょー?って精神の、ファン心理。 ・・で、雨一つ降りそうにない、炎天下の中、あたしたちご一行は、ステージの横一列に並ぶのでありました。
 ライヴが始まる、どれぐらい前だったのかな?30分ぐらいは前だったかも?一緒に来た家族の息子さんは、 率先して、椅子を並べに行くし、そのあと、椅子がまっすぐ並んでるかチェックっ!!してる。 学園ない放送で、「あとで、バザーの品物、好きなだけ掴み取り100円ってのもあります。」というのが、あったから、「えー、えー、興味しんしんっ」って言ったら、 あたしを連れてきてくれたご家族三人が横一列に並んだ椅子から声を揃えて、「もう、駄目っ!!」。
 他の人達は・・えと、パイナップルの冷やしたのを持ってきてくれたり、かき氷が売り出されるのを心待ちにしている人が居たり。 あたしは、お隣の席に並んだ新しくお知り合いになった御夫婦とお話してた。何をしてても、とりあえず、あっついっ!! やっぱり、諸口さんは、強力な晴れ男ですっ。真夏のような日差しに、あたしたちは、ひいぃいいいー。恐るべし、晴れ男っ。

 ステージが2時ごろ始まると、少し風が出て来たり、ちょっと雲ってきたりして、少しマシ。あと、歌やお喋りに気がまぎれるのかなー? SAMのお二人の歌はやっぱ、良いです。なーんか、あったかい感じ。 あとねー、メロディーラインがカッコイイ曲があって、曲のタイトルは、♪風が痛い。でも、歌詞をよく聞くと「ツウフウがいたいーっ。」ってっ!?笑っちゃった♪
 SAMのお二人がステージを受け持ってる時に、あたしたちの座ってる席の後方から、聞き覚えのある 声がする。んん?この声ってさー、って思ってたら、客席にいつのまにか座ってる諸口さんが、ステージへ、 大きな声援を送る。あはは・・面白い人なんだよねー、やっぱ、諸口さんってば。
 あと、諸口さんが作詞した曲。タイトルは「真夏のクリスマスツリー」とかだっけかなあ?その曲が できたエピソードを話してくれたの。お笑いの人で太平カツミ・さゆり、って言う夫婦漫才の人が居るんだけど、 テレビで苦労した話をしてたんだって。貧乏でなんにもないときに、部屋でクリスマスツリーだけはあって、 夏なんだけど、何となくコンセントにつないで見たら、点滅した電球がキレイだった、とか言う話をしてたそうな。 それをテレビで見てた諸口さんが、詩を思いついたらしい。良い曲だったよ♪
 今回のライヴのMCを聞いてわかったこと。この実業学園へは、毎年ライヴに来てたみたい。 それから、去年までは、サカイヤショーゴさんも一緒に来てたってこと。SAMは三人のグループだったらしい。
 諸口さんのラジオやライヴを聞くと必ず名前の出てくるショーゴさん。去年の12月に亡くなったらしく、 諸さんは、いつも、そのことを思い出すと、悲しくなってしまうんだよね。ラジオの本番でも時々、 しんみりしちゃうし、今回のステージも最後の方は、もしかして、去年までここで一緒にライヴしてた ショーゴさんのこと思い出してしまったかも?もろさん、そんなに悲しまないで。きっと、天国のショーゴさんが心配するよっ。

 ステージが終わり、あたしたちは、諸口さんのグッズが売ってるテントに非難した。やっぱり、お天気は良くて、暑いんだもん。 テントの中の椅子に座ってると、「森島さん?」って、あたしの名前を呼ぶ声がした。んん?誰か知り合い??って、 思ったら、以前、よく取材に行ってた神戸生活科学センターって所に居た女の人だった。ここ何年も顔を合わせてないと思ってたら、 転勤になって、児童福祉関係設に変わったんだって。んで、今日は友達が居るからとかで、遊びに来てたらしい。 そして、帰ろうとしたら、見たことある女(つまり、あたし!)が座ってたから、ビックリしたらしい。 ほーんと、素敵な偶然に感謝っ☆
 テントの中でボーッとしてたら、「今からつかみ取り100円を!!」って、大きな声がする。ああー、 イベントの時間が最後に迫ってるんだなあー、って、思って、周りを見まわすと・・みんな、どこ行ったのお? 帰って来た息子さんは、ジョージアの真冬用ジャケットと、女物らしきジャケットを2枚、獲得してきた。 「100円っ!!」って、声がしたとたん、ダッシュかましたらしい。結局、ジョージアの男物ジャケットは、 息子さんの友達のものに・・。そして、それをキッカケに息子さんとその友達とあたしで、いろいろ話してた。 「今日は何も買わないから。」って言ってた奥さんも、結局いろいろ掴んできてたよー。親子そろって、頑張った??

 イベントも無事、幕を下し、現場は撤収作業に入ります。気がつくと、旦那さんや息子さんたちは、 率先して、あちこちで活躍しているよう?メチャ働き者の人達だねっ。
 あたしは、一緒に居た人たちの中の一人とトイレへ行った。運動場から建物へ行くには、木がトンネルみたいに感じるところを 通って行くの。ホント、旅行にでも来た気分。気がつくと、咳きも出なくなってるもん。こんな所に、 住んだら、良いかも?
 さて、あたしには、ささやかな企みがあった。 「実はねー、今日、もしキッカケがあったら、友達が作ってくれた、あたしのオリジナルの曲の デモテープを諸さんに聞いてもらおうかと思ってCDに焼いてきたのー」と、トイレについてきてくれた人に話してみた。 「あー、いいんじゃない?」と言われて「うん、でも、タイミングがあれば、って感じなの。」 「渡しちゃえ、渡しちゃえっ!」と、その人は明るく言う。まだ歌は下手っぴいだから、気はひけるの。 だけど、友達の作った曲は聞いてほしい気がして・・。 でもね、この時点では、もうほとんど、「やっぱ、やめよう・・」って、感じになってたんだよ。

 運動場へ戻り、しばらく周りの人とお喋りしてた。天気予報が当ってたなら、雨になってるはずの 空は、まだ晴れている方かなー。「今日はお天気悪いはずなのに、ぜーんぜん、違うよねー?まるで、 夏みたいだもん。焼けたかなあ?」と何気なくあたしは、周りの人に腕を見せたら、「あー、焼けてるっ。 赤くなってるわ。それに、何本か筋が入ってるっ!?」って、笑われた。ああー、しまったあー!! あたし、右手にも左手にも何本か天然咳きのブレスレットしてて、それが、そのまま日焼け跡になって しまってるらしい。しかも、透明じゃないブレスと少し透明な石のブレスとでは、日焼けの跡が違うらしい。 グラデーションっ!?あーーん、日焼けどめを腕に塗ってなかったのが、敗因です。でも、誰が、今日はこんなに晴れるって、予想する? 雨が降らないように、ってしか思ってなかったもん。
 眺めていると、バザーの転とは撤収されて行き、今度は、打ち上げの、バーベキュー大会の準備に変わって行く。長テーブルが並べられ、テーブルへ着いていると、 息子さんとその友達が戻ってきて、椅子に座る。その場の人達で話していると、作業を手伝っている 男の人の中に、息子さんの友達と同じ呼び名の人が居て、息子さんが友達を呼ぶ度に、その男の人は、 自分が呼びつけにされているような気分になるらしく、グッて睨むんだってさ。
 そんな話をしてる時に、突然、息子さんが「ひいぃいいいー」ってような声を出して、椅子からはじかれたように、 どこかへ飛んでいった。んん?って、思ってたら、「あのね、さっきからお父さんが、何か仕事がないか、 目で探してて、やれそうな仕事を見つけたとたん、今度は息子の姿を目で探してたのよー」と隣の席の人が 教えてくれた。ああ、だから、息子さんは、「クタクタなのにー、勘弁してよおー」というような悲鳴をあげつつも、 お父さんの元にとんでったんだねー。働きものだよー、ほんとに。
 周りの人の話によると、その息子さんは、お父さんお母さんが諸口さんのイベントに行く時に、 小学4年生ぐらいの時から連れてこられてて、その頃から、せっせと働いてきて、もう何年??って、経歴の持ち主なんだって。 だから、きっと、この親子は慣れてるスタッフのように手際が良いんだねー?

 打ち上げ開始は夕方6時からの予定。だけど、諸口さんは、明日の仕事があったりするから、6時には、 帰るって。6時少し前だったっけかな?みんな席につき、バーベキューを焼いてる所から、 少しずつ、お皿を運んできてくれた。
、あたしは、お皿にいれてもらったビーフンとかを少し食べ始めてたら、あたしたちのテーブルに諸さんがやってきて、あたしの斜め左前ぐらいの席に座った。 バーベキュー大会は、グラウンドでやってて、スピーカーからは、BGMとして、何か曲が流れてて、 会場のような雰囲気を作ろうとしていたんだと思う。でもね、諸口さんは、「BGMの音が大きすぎる。 会話を楽しむのに邪魔になるから、音を下げろ。」と少しご機嫌ななめ。スタッフの人があわてて、 音をかけている所へ飛んで行き、BGMの音はしぼられた。
 「会話を楽しむ為には、こんな大きなBGMじゃ、駄目なんだよ! 会話をするということが大切なんだ。なー、ちはる、俺は間違ったことを言ってるか?」と誰かに同意を求めてる感じ。 へえー、チハルさんって人が居るんだー、って、一瞬、思ったの。 だけど、なあーんか、あたしの方へ言ってる感じがするの。 ふと、そんな気がしたら、隣の人が、「貴方に言ってるわよ。」って、教えてくれた。んん? そしたら、「なあ、森島っ。」って、諸さんも言いなおす。なんだあー、やっぱ、あたし? あたしの名前まちがって、読んでたのねー。ごめんっ、気づかなかった。
 それから、諸口さんは、こんな話もしてくれたよ。昔、若い頃、フランク・シナトラさんが日本に 来た時に、舞台そでで、見てたんだって。そしたら、シナトラさんは、メチャ音に厳しい人で、少しでも、 PAの音が悪いと、スタッフに厳しく怒ってたって。それを見た諸口さんは、いろいろ思ったそうな。
 「俺のライヴの時は、エコーとかは切るんだ。エコーをかけすぎたりすると、歌詞が聞こえにくくなる。 歌は歌詞が聞こえないといけないんだ。だから、俺は楽譜を見なくなった。少しぐらい音がはずれても、 歌は、言葉が伝わらないと行けないからな。」って、諸口さんが言う。
 諸さんの言葉を聞きながら、あたしは思った。実はここ何ヶ月も、ボイトレが不調なの。始めは喉の 調子が悪かっただけなんだけど、それをキッカケにどんどん自信がなくなり、どう歌えばいいのか、 わからなくなってきて、声も出なくなってきて、歌えなくなってきちゃったの。音をはずしてはいけない。 ちゃんと歌えなきゃいけない、って、ずっと、レッスンで怒られてばっかりで、「必死さ」しかなくなってきたの。 自分の気持ちで歌う、なんて余裕はなくなってんの。むしろ、歌うのが楽しかった気持ちも忘れてる感じ。昔は「技術より、気持ちっ♪」 なんて思ってたけど、今は、どっちもないじゃん!!「歌をメインに」なんてえらそうなこと、考えるんじゃなかったなー、 って、身に染みて感じてる今日このごろだったんだー。
 「やっぱり、これ渡すの、やめようかな」って、さっきトイレに付いて行ってくれた隣に座ってる女の人に 呟いたら、「渡しちゃえー」って、その人はあたしに言い、「諸さん、ちさとちゃんが、お話があるみたいよー」って、 大きな声で諸口さんに言う。「なんだ?」と聞いてくれようとする諸口さんに、 「え、えと・・話ってのじゃなくて。友達があたしに曲を作ってくれて、まだ、あたしの歌は下手なんだけど、 曲は聞いてほしい気がして・・。」って、あたしがデモテープ出そうとしたら、諸さんは「聞かせろっ。」って言う。 今ここで、歌え、って、ニュアンスだったのね、きっと。(3ヶ月後の現在のあたしなら、生で歌って 聞かせちゃうだろうけど、何せこの時は、歌うのが怖くなってたから、ビビッタよ。)
 「え、これ持ってきたから・・」って、あとで、こっそり聞いてもらうつもりで、CDを差し出したら、 「あ、掛けてきますっ。」って、諸さんのスタッフさん?が、さっき、怒られたBGM流してるところへ、 CD持って走って行く!?ひいぃぃぃーっ、こ、こんな所で、自分の歌がオープンで流されちゃうのお?
 「早く聞かせろ」って言う諸さんに、周りの人が「今、掛けに行ったから」って、答えてるうちに、 グラウンドのスピーカーから、♪君の瞳、が流れてくる。何だか恥ずかしくて、あたしは、ひたすら、 お皿に盛ったビーフンを食べるのに集中した。
 1コーラスめをじーーっと、真剣に聞いている諸さん。周りの人も、じっと聞いてる。ほんと、 恥ずかしいっ。まな板の上の鯉って心境?
 1コーラスが終わったら、誰かが「心に染みますね・・」って、呟いた。 諸口さんは、「森島、もっと高音を開発しろっ」ってコメントをくれる。「あ、これね、喉の調子悪くて作ってくれたオリジナル キーよりも少し下げたの。」って、あたしが言うと、「駄目だ、音は下げるな。」って、言われちゃったっ。 (あとで、このコメントを作ってくれた友達に言うと、笑ってた。ああ、君もそう思ってたのねー?)
 2コーラスめを聞きながら、諸さんが、メロディーを口ずさむ。ああ、良かった。 曲は気に入ってくれたみたい?あたしの自慢の友達が作った曲だもん。良い曲のはずさっ。 歌唱力にはまだまだ問題があるけどねっ。
 そうこうしてるうちに諸口さんの帰る時間が来たらしい。とりあえず、「終わりの会」みたいなのが、 始まって。朝礼台みたいなのの上で挨拶してるのかな?恐ろしいことに、ずっとずっと、あたしの曲が繰り返し繰り返し、リピートで流されているっ。  あたしは、穴があったら、入りたいぐらい恥ずかしかったっ。(後に、この時の様子を、曲を作ってくれた友達に 話したら、「僕も曲を作った者として、そんな所で皆さんに聞いてもらうのは恥ずかしいです。」と、その様子を創造して、言ってた!?)
 繰り返し繰り返し曲が流れてくるわけで・・ひいぃぃぃ、ってツライあたしっ。でもね、諸さんが、 マイク持ったまま、「いい曲だねー」って、言ってくれてた。・・もっともっと、頑張りますです。
 諸口さんの挨拶も終わり、帰りかけてる時に、隣の席の女の人が「CD渡すんでしょ?」って、言うから、 「ううん、聞いてもらいたかっただけだから、もう十分だよ。」って、言ったんだけど、その人、走ってって、 CDプレーヤーから、CDを抜き出したみたい。席に戻ってきて、「渡してきたよー」って。はは・・はずかしいっ。

 そのあとは、打ち上げのバーベキューをたあーくさん食べたよお。一緒に来た息子さんが、ほんとに せっせと、食べ物を運んできてくれるっ。お腹いーっぱいっ!! 食べ始めた頃から、何だか空模様が怪しいの。諸口さんが帰ったから??とりあえず、 お腹いっぱいになるまで食べた頃に、ポツンポツンって降り出してきたよー。 みんなは、屋根のある所に避難した。働き者の人達は、せっせと撤収作業をしている。 屋根のある中で子供たちは、まだご飯食べてるね。
 そう、あたし、打ち上げする時まで知らなかったんだ。食べる前ぐらいに、建物の方へ行った時に、 そこに小さい子供達の気配も感じて、あたしと一緒に居た人に何気なく聞いたの。 「ねえ、なんで、あんな小さい子も居るの?」って。ここは寮みたいな所だとは、着いた時に 教えてもらってたんだけどね。
 「ここはね、児童施設なの。いろいろな事情で親と一緒に暮らせない子供たちがね。」と、教えてもらった。 あたし、「学園」って言うから、学校だと思ってたの。全然、知らなかったよ。 そうか、だから、諸さんは毎年ここでライヴしてるんだね?何となく、わかったの。

 雨の中、打ち上げの会場の撤収作業。完了した頃には、雨はほとんど、やみかけてた。 そして、みんなで、帰る頃には、雨はやんでたね。学園の人達に別れを告げ、あたしたちは、 また帰路につくのであります。
 雨上がりの山は、やっぱり気持ちが良かったよー。「もう、やんだ!」って、雨に濡れて撤収作業をしてた息子さんたちが、少し損した気分で 言う。「いいじゃん。帰る時に病めば全て良しっ。」って、あたしはご機嫌っ。 だけど、帰りの車の中、また雨は本降りになってる。結構な降り方の雨を見ながら、 「きっとね、あたしの家に着いた頃には、少しマシになってるか、病んでるよー」「それは、無理っ。」 って、息子さん達は言ってたんだけどね。ホント、あたしの家の前に着いて、車から降りたら、 雨はほとんど小雨状態。「ねっ、ホラ、やんでるよお?」って言うあたしに、「うそ?マジ?!」って、 驚く息子さんたち。へへへっ、どんなもんだい?雨をよけられる力が復活した(!?)ってことは、 あたしは平常に戻りつつあるってことさっ。

 今日は一日、とーーっても楽しかったよお。 最近ね、何だか沢山の人の中に居るのがしんどい気がしてたの。だけどね、今日、出会って、 お知り合いになった人達はとっても居心地が良くて・・勿論、連れてきてくれた家族の人達も、 なかなか良い雰囲気で・・久々に、人と居るのが、こんなに楽しいんだなー、って思えたの。 知り合ったばかりでも、違和感なく、自分の居場所があるっての、ホント久々に感じたよっ。 腕の日焼けは痛いけど・・・今日のお天気のように、気持ちも晴れ晴れですっ☆

 
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