☆ 手の握り方 ☆


 何年か前に『アイマスク体験』で訪れた小学校で、「それでは、森島さんと握手をしてお別れしましょう」と、 長テーブルの前に座らされ、「握手会」のようなモノをするハメになったことがある。(後にも先にもこの時だけですが。) 「握手会」なんて、行ったことはあっても、まさか自分がそんなことをやることになろうとは思ってもみなかったから、「勘弁してくれーっ」「 なんて思いながら、恥ずかしく座った。子供達は全部で100人にも満たなかったはず。それが3グループに分かれて授業をしたから、合計3度も「握手会」もどきをしたことになります。
 始めは何だか恥ずかしくて、どうすれば良いかわからなかったけど、子供達は列をなして、握手を待っている。 「障害者やのに笑ってるわ、明るいわ」なんて子供の言葉が耳に入り、なんだかなあー、とか思いつつ、 握手は続く。子供がそんなことを言うのは、周りの大人がそう言ってるんだな、って。障害を持ってる人は暗いのか? じゃあ、そうじゃないの見せてやるしかないじゃんねぇ?・・・そんなことを頭の片隅で思いながら、握手は続くのである。
握手をしているうちに、あることに気がついた。握手をすると、その子が自分に対して、どれだけ好意的に思ってるか?それが判るのかもしれないと。 ある子供は、面倒くさそうに、指だけひっかけた握手。ある子は普通に握手しながら、何か一言いってくれる。 そして、ある子はあたしの手を両手で包み込むように握手してくれる。それぞれの子がそれぞれに自分に対して近しく思ってくれてるか? それともそうでないか・・・そんなことがおおざっぱにわかるのが、「握手」なのでしょうか?
 そういえば、街で出会う人達も、人によっては、あたしの手を大切にぎゅっと握って、連れていってくれる人が何人かいる。 人によっては、あたしの腕をむんずと掴み、そのままモノのように、持ってく(連れてく)人や、 手首をいきなり掴まれた時は、さすがに心臓がとまるほどびっくりしたこともある。せめて声をかけてからにしてほしいよね、そんなふうに思うのは本当にめったにないことだけれど。
とりあえず、あたしの手を本当に優しく包むように握って連れていってくれるのは、女の子に多いかな? 「アイマスク体験」の講師の仕事を時々するあたしだけれど、必ずしも「こうなければいけないっ!!」とは、 あたしは、思っていない。あまりにもモノのように扱われるのは、さすがに修正してもらうけど、 大切に手を握って連れて行ってくれる人に関しては手のぬくもりや、握り方から あったかさが 伝わってくるから、そのぬくもりを心地よく感じながら、歩いていくのです。本当に人の手のぬくもりって 心地よいものなのですよっ。まるで気持ちのあったかさまで感じられるような気がします☆

’(2002年 9月16日著)

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