自宅から富士山頂踏破(徒歩)
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2009/6/1〜10
渡部 卓夫
2009.6.28
1. この企画の意図
川越市に住む学生時代の山仲間から「大山講」(享和二年)にヒントを得、「昔の人に習って、その先にある富士山まで歩いて見よう」と数年前に誘われた。
その友人は次の言葉を言っていた。
{私たちの生活も、政治・教育・医療すら、コンビニエンスを良しとする風潮が、大手を振ってまかり通る今日。
人々は知らず知らずの内に、困難なことや、手間隙のかかる面倒なことを避けて通る生活習慣を定着させ、やがて物事を深く考えようとしなくなってきている。
この対極にある行為が(歩くこと・走ること)だと思った。}
半世紀ぐらい前にはハードな山登りをしていた仲間も、今ではほとんど老人化してしまった。今でも山登りとランニングをしている私に、誘いの声が掛かった。

2.自宅から富士山頂踏破の企画は、やはりすごかった
面白そうだからと安易に参加する意向を示していた。近くに住む小林正勝さんに計画書を見せたら、すぐに参加の意志を示したのには驚いた。鍛え上げられた体力と精神力はものすごかった。
それも山中湖のマラソン大会を走った翌日からなので、さぞかし奥さんも心配されただろうと察します。
今までに何度となく辛く苦しい体験を経験したが、道中67歳と高齢になった私において「大変さ」は上位に入るだろう。だが高齢になることはマイナスばかりではなく、一つ一つの出来事の成り行きに対して、神さまが教えてくれるのか対処を考えつき、幸いにも数々の困難を乗り越えられた。

3.下手な写真愛好家      
61歳で退職した後の私は、好きな山岳写真撮影の為にと山登りとランニングで体力強化の日々でした。何故、写真撮影にそんな体力が必要かと思われるでしょう。自動車の代わりが人間の身体なのです。
行動中に多少は撮影出来るかもとクラシカルな一眼レフカメラを持ったが、あまり撮影の余裕は無かった。その重さは最後まで効いたが、それ以上の被写体を心の中に焼き付けた。
デジカメが主流な時代にマニュアルなカメラを未だに使用している。買えないのも理由だが、全て電池で作動するデジカメは厳しい自然では使用出来ないのが最大の理由。

4.踏破の成功は
同行した仲間の強健さと絆が大だが、水場のない西丹沢では折り良く雨に恵まれ天水を得、恐れていた富士山八合目から始まる雪の急斜面での強風もなく、むしろ下界より暖かいくらいの好天。道を訪ねた人の温かい言葉など。私は千代田走友会の皆様のように早く走れないランナーだが、悪天候や厳しい状況では経験から来る知恵と気力が沸いてくる。   山登りとランニングが良いトレーニングになっている。
小林さんを通して千代田の皆様からのメールや励ましの電話などは、疲労した心身に活力を与え嬉しかった。浜渡さん、片山さん掲示板へ状況説明ありがとうございました。池田さん、富士山の雪状況をありがとう。その他多くの方からの応援、励ましなど有難うございました。
途中大山頂上で出迎え応援し、1泊して私の誕生日を祝ってくれた学生時代からの仲間たちS君、山中湖の平野で同じく磐田から励ましに来てくれたT君の心温まる声援や差し入れに感謝。H君の差し入れもありがとう。仲間の有り難さを感じた。             

残り少ない人生だが、再度勇気や教えを頂いた。こつこつと不器なことしか出来ない私の人生は、大きな変化を生み出し、乗り越える楽しさに酔いそして祝杯で酔って生きたい。

5.踏破
六月九日午前八時四十七分、我々三人は穏やかな富士山頂に到達した。
早朝の八合目からは残雪深く、アイゼンを効かし、あえぎながら直登した。深い雪の頂上は誰もいなく暫くの歓喜を味わった。達成感で緩んだ気持ちを振り絞り小御岳バス停へ残雪を下った。全行程が終わっての感想は「もう歩かなくてよい」だった。
6月1日〜9日歩きに歩いた。毎日が一杯一杯で、3人の会話は少ない。精一杯歩いても素食と疲労で、明日の為に寝るだけの日々。
18〜19kgのザックを背負ったロードでは、足の裏はマメだらけ。1ヶ月過ぎた今でも厚くカサカサになっている。
今年は7月1日の山開きでも、雪の為八合目までしか登れない。夏の富士山は、人が多すぎるから9月ごろの天気の良い時が良いです。池田さんが企画中。

6.冨士浅間神社へお礼参り
最終日には富士吉田の冨士浅間神社へ詣でる。延享元年(1744年)と刻された石灯籠が並ぶ、長い山道。境内は朝日が差し込み、湧き出る清らかな冨士の伏流水ですがすがしさが溢れている。
富士山の強力は60貫(約225kg)を背負ったことや東京府から富士山登山50回などを知り、我々のしていることの小ささを感じさせられた。

それにしてもこの企画を長年考えて、緻密な計画を立てたK君は素晴らしい人間だ。
近所でマラソン仲間の小林さんも、前日の山中湖マラソン大会で疲れている身体で、よく参加し、最後まで歩き通した精神力と体力に感謝したい。

期間: 2009年6月1日〜10日(実働8日間、1日休養日)
    総歩行時間 62時間30分
メンバー  川井 宏作(学友)  小林 正勝  渡部 卓夫

7.行動記録
期日:2009年6月1日〜10日(実働8日間、一日休養日を含む)
行程:
6月1日(月)自宅(北区西ヶ原)7:00発(1:50)哲学堂(1:10)井草公園(2:00)向台公園(2:30)国立駅(1:10)府中四谷橋(1:20)多摩センターウエルサンピア多摩泊17:45
6月2日(火)ウエルサンピア多摩8:00発(1:20)小山田桜台交番前(1:10)相模原市富士見町内公園(0:55)上溝駅(1:10)高田橋坂上(0:50)
  田代半僧坊(1:30)経が岳(1:10)リッチランド18:00着 泊まり
6月3日(水)リッチランド6:50発(1:20)ます釣り場(大山山頂)(1:15)
  ヤビツ峠(0:30)青山荘15:25着 青山荘泊 67歳の誕生日
6月4日(木)青山荘7:45発(1:30)三ノ塔(1:40)塔の岳(1:10)
  丹沢山(1:50)蛭が岳15:40着 蛭が岳小屋泊
6月5日(金)蛭が岳6:00発(1:50)檜洞丸(1:55)ゴーラ沢出合(0:45)西丹沢自然教室(1:50)善六のタワ(0:50)畦が丸避難小屋16:10着 畦が丸避難小屋泊
6月6日(土)畦が丸避難小屋発6:35(1:00)大界木山(1:10)中ノ丸(1:50)菰釣山(1:30)西沢の頭(3:30)平野旅館16:05着 平野旅館泊
6月7日(日)停滞休養日
6月8日(月)平納屋旅館4:50発(1:10)籠坂峠(1:10)須走浅間神社(3:05 11.8km)新五合目(1:00)六合目(0:40)本六合目(1:20)七合目太陽館15:30着 太陽館泊
6月9日(火)太陽館6:00発(2:40)富士山頂8:47着(0:30)本八合目(4:10)小御岳バス停13:58着 新屋人材開発センター(冨士カーム)泊

*東京都北区〜小御岳バス停 157km       総歩行時間 62:30
*埼玉県ふじみ野市〜小御岳バス停 147km    総歩行時間 60:30
                                      以上

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