佐渡国際トライアスロン大会 Bタイプ完走記
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2010/9/5
  徳山 一 2010.9.19
 徳山が国際とタイトルが付く大会に出てもいいのか?
 いいんです! だってほとんど先着順なんだもん。

 参加するBタイプはスイム2キロ、バイク105キロ、ラン20キロのミドルコース。
 制限時間14時間30分  参加人数 675人

 ちなみにAタイプはスイム3.8キロ、バイク190キロ、ラン42.2キロのロングコース。制限時間15時間30分。  ほとんど人間業ではありませんね。

 と言う訳で中川さんの故郷の佐渡ヶ島に行ってきました。


○9月4日 土曜日
 6時15分、輪行袋に詰め込んだ自転車を担いで葛飾の自宅を出発。
上越新幹線で新潟駅へ。バス、佐渡汽船のジェットフォイルを乗り継ぎ11時半頃佐渡は両津港に着く。

 日本全国記録的な猛暑だ。佐渡はどうだ。
 「やっぱり暑い…。」

 ともかく、自転車を組立て両津から明日の大会会場の佐和田まで20キロ、バイクコースの一部を逆方向に自転車で試走する。

 佐和田に到着し「アミューズメント佐渡」で選手登録を済ませてから大会会場に行きトランジットエリアとバイクコース、ランコースの確認をする。スイムコースの海岸まで行くと波が高い。高過ぎる!
 まるで7月の鎌倉スイム状態で若干ビビる。

 その後、旅館まで自走し宅急便で送ったバックを受け取り荷物の整理。4時半からの競技説明会に出席する為再び「アミューズメント佐渡」に行く。

 参加者は40代が一番多くて結構年齢層が高い。50代半ばの私でも浮いた感じはしない。

 競技説明会で明日の予想気温32度と発表があった時には静かだった会場が予想水温27度と聞いた時どよめきが上がる。
 水温が高過ぎて危険なので脱水症状に注意。スイム前後によく水分補給せよとの事
 又、今回はスイムをスキップしてバイクからスタートする事を認めるとの事。
 これはスイムもかなり悪条件と言う事が私にも理解できる。

 旅館に戻ると相部屋同室の人は私含めて8人で私以外はナント全員Aタイプ選手!
 皆さん40、50代だけどさすがに細マッチョ!

 風呂に入り明日の準備をする。自転車にカロリーメイト、パワージェルを5個づつ積み込む。

 皆で夕食を取るがビールを飲むのは私含めて二人だけ、晩酌するのは私だけ。
 トライアスリートはストイック。

 Aタイプレース開始は明朝6時なので9時前には消灯、就寝。Bタイプは明朝7時スタートです。

○9月5日 日曜日
 Aタイプ参加の人たちと一緒に3時半に起床。旅館の弁当を食べ、Aタイプの人たちが出発した後、少しゆっくりして私も宿を出る。

 会場まで2キロを自転車自走するが何しろ荷物が多い為ヨタヨタと走る。
 ここで転んで怪我でもしたら目も当てられない。

 大会会場に入りトランジットエリアで自転車をラックに掛けボディマーキングをした後、用具をセットしてウエットスーツに着替えて試泳をする。

 幸い昨日とは違い波は殆どなくベタ凪ぎ状態。水温は28度で昨日の予想より1度高い。水はきれいなので泳ぎやすい。
 スイムスキップを選択した人は2人との事。

 スイムスタート前に朝スイムのクラブで一緒のAさん、Bさんの二人の女性と会う。
 「タイムはともかく完走できるよう頑張りましょうね!」とお互いに言うが二人には絶対に負けないと心秘かに誓う。

≪スイム≫
 スイムは佐和田海岸より三角形を時計回りに泳ぐ2キロのコース。

 例の「プァ〜ン」と言う気の抜けた笛のスタート合図の後、同室の人のアドバイスに従いインコースの最後尾からスタートする。リレータイプも含めて750人超のスタートは初めてだ。

 海岸は遠浅なのでバトルを避けるため腰上くらいまでかなり歩く。
 隣の人と「そろそろ行きますか。頑張りましょう!」と挨拶してスイム開始。
 スイムバトルは苦手だがコースが良かったためかバトルは手賀沼トライアスロンの時ほどひどくない。

 水中視界は7メートル程度か。前方確認のため平泳ぎしている人が後ろから見えるので助かる。これが手賀沼や波崎の様にきたなくて視界がきかないといきなり蹴られる。

 第一マーカーは順調に廻り最短距離で泳ぐ。バトルは相変わらず続くが水温の高さはさほど感じない。
 第二マーカーを廻り岸のゴールへ向かう。が、この辺りからゴールの方向が分からなくなり軽いパニックになる。
 選手もかなり横に広がりバラバラの方向に泳いでいるように感じる。
 こういう時こそ自分の信じる方向に向かえば良いのだが一番信じられないのが自分なので始末に困る。

 それでも蛇行しながらゴール前にたどり着く。
 何しろ遠浅なので手が砂に付く位まで泳いで海から上がる。時計を見るとなんと50分!
 目標は45分なのであまりの遅さにビックリ、ガッカリする。
 (やっぱり、水温が高いから。蛇行したから。)といつもの言い訳を考える。

 そしてスイムゴールゲートを通過。

 スイムラップ 50分01秒  309位/675人

≪バイク≫ 
 バイクコースは小佐渡と言われる佐渡ヶ島南半分を時計回りに一周する105キロのコース。
 トランジットエリアに入るとバイクはすでに半分くらいになっている。
 ウエットスーツを脱ぎバイクパンツ、靴下、バイクシューズを履き、グローブを着けてトイレに行ってからバイクスタート。
 おっと、忘れちゃいけないヘルメット。
 手早く着替えと行きたい所だが濡れた足に5本指靴下が入らない。
 時間の経過と心だけが焦る。

 とにかくバイクスタート。
 出だしは好調! のはずがサイクルコンピューターにケイデンス(ペダル回転数)が出ない。よく見たらクランクのセンサーがずれている。
 (ありゃ!昨日までちゃんと出てたのに!)
 ケイデンスがないとペースがつかめないが今更バイクは止められない。そのまま勘で行く事にする。

 国仲平野は若干の高低差がある。15キロ付近から向かい風が気になったのでは恥も外聞もなくフロントギアをインナーに入れる。最後までアウターに戻す事は無くインナーに入れっ放し。

 20キロで最初の住吉エイド。
 エイドの手前のゴミ箱に手持ちのボトルを捨て給水の準備をする。

 エイドに入るとボランティアの高校生が水、スポーツドリンク、コーラの入ったボトルを持って並んでいる。
 私たちが「スポーツドリンク下さい!」と叫ぶとボトルを差し出してくれるので徐行して走りながらボトルをキャッチ!
 心配していたけど何とか取れた。ボランティアの人にお礼を言う暇がないのが心残り。

 エイドで気になったのは皮付きのバナナがあった事。
 (片手どうやって皮を剥くの?)
 正解は両手離しでバイクを漕ぎながら皮を剥くんだって。左手しか離せない私には食べられない訳だ。

 エイドを過ぎると海沿いに出るとアップダウンが始まるがこの辺りまでは順調に周りの選手について行ける。

 25キロ付近で先行していたAさんに追い付く。抜き去る時「頑張って下さい!」と声をかけるが、すぐに抜き返されたら格好が悪い事に気が付き後悔する。
 これが後で現実となる。

 小さなアップダウンは相変わらず続く。バイクに積み込んだカロリーメイト、パワージェルを食べたり給水したりしていると結構忙しい。
 追い風、向かい風は若干感じるがさほど苦にならない。

 35キロ位から抜かれ始める。最初は女性に抜かれると「ム!」としたが段々それどころでなく盛大に抜かれる。しかしこのコースはワンウェーで手賀沼トライアスロンのような周回ではないので速い選手に追い捲られる事もなく道幅も広いので恐怖感はさほど無い。

 65キロ付近でAさんに抜かれる。追いすがるが置いて行かれじきに見えなくなる。
 (又、千代田と同じことをやってしまった。カッコ悪。)といつもの後悔。

 バイクも3時間も過ぎるとかなり暑さを感じる。
 後半ではエイドで貰ったスポンジで汗をぬぐう余裕も出てきた。

 76キロの小木エイドを過ぎるといよいよ小宮山さん、岩本さんから聞いていた最後の難関、標高差140メートルの小木の峠だ。
  だらだらとした上り坂が続く。立ち漕ぎの出来ない私は座ってひたすらインナーローギアで漕ぐ。
  なにしろ普段は荒川、江戸川しか走った事の無い私に峠越えは未経験。
  歩いてバイクを押している人も何人いる。
  そして何とか峠を越えた。

 後は下りだ。ビュンビュンスピードが出る。
  地球の重力をこんなに有り難く思った事はない。
  調子に乗っていると最初は気持ち良かったが次第に怖くなる。ブレーキをかけながら恐る恐る下る。

 やっと海沿いに出る。もう坂は無いだろうと思ったらまたもや坂の出現。気が萎える。
  気力を振り絞り登っているととうとう左太腿が攣り始める。
  あまりの苦しさに道端で応援している人に「この坂はあとどのくらいですか?」と聞いたところ「15キロ位」との返事。
  思わず(おいおい!15キロだったら全員死ぬぞ!)と腹を立てるが私もヘタっているので「この坂は」が聞こえなかったのかと気が付き納得する。御免なさい。

 下りに入ると痙攣は治まる。(なんとかこのまま持ってくれ!)

 そのうちバイクゴールに近づいてくるとすでにランに入っている人達とすれ違う。
 商店街に入るとゴールは間近だ。
 そしてバイクゴールライン前で下車。
 バイクを押してトランジットエリアに入る。

 バイクラックには既にかなりのバイクが戻っている。
 自分のバイクをラックに掛けてペットボトルの【お湯】と化した水を二口飲む。
 (全然美味くない!) ついでに頭からかけるがまるでお湯のシャワーだ。

 バイクパンツを脱ぎ、シューズを履き替えキャップを被りランスタート前にトイレに行く。
 用を足して扉を開けようとするが今度は扉が開かない!
 再び軽いパニック状態になり思いっきり鍵の部分を手で叩くと何とか開いたが手のひらを傷める。
 バイクの後で良かった。バイク前だったらハンドルが握れない。

 トイレを出ると喉の渇きに気が付く。最初の八幡エイドまで3キロ以上あるのでバイクラックまで戻って【お湯】を飲む事にするが今度は焦ったせいかバイクラックが見つからない。
 やっとの事で辿り着き【お湯】を飲み、いざ!ランスタート。

 バイクラップ  4時間31分43秒(トランジットタイム含む)  477位/663人
      実走 4時間18分45秒 平均時速24.4キロ  最大時速49.9キロ

≪ラン≫
 ランは国仲平野を畑野エイド折り返しの片道10キロ、往復20キロのコース

 ランのスタートゲートをくぐってビックリ。なんと可愛い女子高校生が冷たい水、スポーツドリンクを持って並んでいる。
 (ああ! トイレから真っ直ぐ来ればよかった)といつもの後悔。

 バイクの後のランはいつも走ってみないとわからない。
 バイク105キロの後のランは今回がもちろん初めて。

 ところが案外調子が良い。先月の手賀沼トライアスロンの時より走れる感じだ。
 (バイクであれだけ抜かれる位遅かったから足が残っていたのかな?)
 と後ろ向きに考える。

 3キロ付近で再び左太腿が攣るが少し立ち止まりマッサージして走り出す。

 そのうちに後ろから白バイが「ヌッ」と出てくる。
 (おお!Aタイプ1位の選手だ。)
 さすがに走りは颯爽とは行かないが私を追い抜いていく。

 エイドでは必ずスポーツドリンク2杯を飲み塩を舐める。食べ物がある所ではバナナを食べる。
 そして水を頭からかぶる。水をかぶった時は気持ち良いがエイドを出るとすぐ暑くなる。

 (暑い…)暑い訳だよ。なにしろランのスタートは12時半頃だもんね。
 ただ、風がある時は若干涼しさを感じる。

 距離表示がないので何キロ位なのかさっぱり分からない。
 あまり考えないでひたすらダラダラ走る。

 コース上では歩いている人も多い。結構順調に抜いていく。
 バイクでは気がつかなかったがランコースもかなりアップダウンがある。 

 7キロ付近で靴紐がほどける。屈むと足が攣りそうな気がして靴紐を結び直すのに苦労する。

 道端ではホースを出して水を掛けてくれる人もいる必ず立ち止まり水をかぶる。

 10キロの畑野エイドを過ぎて折り返す。すれ違う人は歩いている人も多く落武者状態。
 (人の事を言えるか?)

 17キロ付近から急に足がキツくなる。なんとかここまでエイドと水かぶりの他にはほとんど止まらないで来た。止まらない事、歩かない事だけ考えて走る。

 ゴール前の商店街に入ると応援の人も多い。
 衛星放送のMCがゼッケンナンバーと名前を放送で呼んで「お帰りなさい!」と言ってくれるのが聞こえる。結構嬉しいぞ。最後の頑張りが出る。

 そしてゴール。私にとっての長いレースが終わる。

 ランラップ 2時間16分08秒  281位/649人

≪夢の跡≫
 
ゴール後完走メダル、バスタオルを掛けてもらう。

 Aタイプのバイクの終了した選手が続々とトランジットエリアに入ってくる。
 これから42キロのランが残っている。
 タイムリミットまであと7時間弱。(選手の皆さんがんばってください。)

 少し休んで早速売店でビール!
 ビールが美味い!但しこれだけビールが飲めるならもう少し追い込めたかな?
 (でもいいや今日はこれだけ頑張ったんだもん。)といつもの妥協。

 ビールを飲みながら隣の人とレースの話をする。
 見知らぬ人でも「今日は暑かったですね。」といえば話は尽きない。

 荷物をまとめて旅館に帰る。
 同室の人は当然だれも帰っていないと思ったら一人帰っていた。

 バイクでオートバイと接触してリタイアしたとの事。とても諦めきれない様子。

 風呂に入り荷物を整理してもまだ5時前なのでAタイプのゴールを見に会場まで自転車で行く。
 不謹慎にも又もやビールを飲みながらAタイプのゴールシーンを見る。
 この時間にゴールするのはかなり速い選手だけどゴールするなり倒れて担架で運ばれていく人もいる。

 (やはりいつかは「ロング」に出たいな。)

 トライアスロンのコースは長い。しかしどこ迄行っても応援して下さる人たちがいて励まされた。
 ただバイクエイドでは除走でも走り抜けてしまうためボランティアの人たちに「有難う」とお礼が言えないのが心残り。

 記録は7時間37分52秒  370位/649人
 最初のスイムで309位、バイクで147人抜かれランで86人抜き返す。
 バイクが弱すぎるが4時間18分間、一度も止まらずに水分・栄養補給が取れ、峠も越えられたのは良かったかな。

 バイクで抜き返されたAさんはランで失速して8時間20分台。
 Bさんは7時間30分台前半で私は敵いませんでした。

 バイクの強化とトランジットのドタバタがなければもっとタイムも上がると来年の作戦を練っています。


 と言う一席で御座いました。


 徳山 一 記

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