第8回日本横断「川の道」フットレース
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2012/5/3-5
  大谷 真一 2012.5.19
信濃川〜千曲川ステージ 255.3km

 2005年に始まったこの大会の520キロと聞いて驚いたのを覚えています。
スタートが葛西臨海公園だったので、3人?で自転車に乗ってスタートを見に行きました。
こんな距離を走る人はどんな人なんだろうと興味津々でした。行って見るとたったの4人。
当時はサポートカーを付ける必要があり、私なんかとても参加できる大会ではありませんでした。
 毎年参加者が増え、520キロ完走した人の話も聞いたことがありました。去年ひょんな事から前半と後半のステージがあることを知り、日程的には5月3日から5日までの3連休を利用できる後半のステージ(255キロ)なら参加が可能と言うことが判り、まだ空きがあるのですぐに申し込みました。参加費 17,000円 この距離の大会では安い

 スタート前日、明日から3日間ほとんど寝られないので少しでも多く睡眠時間を確保するため前泊することにした。
 5時に仕事を終えそのまま小諸へ直行。19時頃到着、小雨が降っている。

5月3日
こんな格好です
 スタートは11時なので朝はゆっくり出来ました。雨を予想していましたが明方に雨は上がり曇り空、良さそうなコンディションだ。9時過ぎにホテルをチェックアウトして会場へ、小諸グランドキャッスルホテルまで1キロ余り街を見物しながら向かう。
 この種目(小諸→新潟)の参加者は29名、思い思いに荷物のチェックなどしている。知っている人もいるので挨拶、仁平さんに紹介していただいた古川さんを見つけ挨拶する。皆昨日まで降っていた雨で天候が気になるようだ。

 11時スタート、千曲川に沿って国道18号線を長野方面へ、太田さんに付いて見たけど結構速い! 先頭から10人目辺りをキロ6分ほどで走るが、これでは速い、徐々に落とし速い人に抜かれる。
しばらくして雲が切れ晴れ上がり暑い!
 上田駅近くに来て交差点先の道が細くなっているので地図を見たが良く判らず、通りがかりの人に尋ねるが、その人もはっきり判らず、真っ直ぐ行って見ようと交差点を渡ったところで後ろの方から違うよ〜っと声が聞こえ、、。男性一人と女性二人組みでした。
 男性はスタート前に挨拶した古川さんでした。案内してもらい何度か角を曲がりながら上田城址公園入口に到着、最初のチェックポイントだ。
(CP14 18.8km 13:12 上田城址公園入口)

 飲みもの、パンなど軽く口に入れ5分ほどで出発、この後もひたすら国道18号線を進む、千曲市に入り戸倉上山田温泉の看板が目に入る。優雅に温泉には入っている余裕はなし。
長野市に近づき国道117号線に入る。
(CP15 43.4km 17:15 篠ノ井橋北詰)

私(左)と青谷さん、森さん
 真っ直ぐ行くと約10キロで善光寺。古川さん一行と井口さん合わせて5人で善光寺まで併走する。暗くなった山門で*フルの青谷さんと会う、森さんと一緒だ。二人ともすでに300キロを超えている。調子を聞いたところ青谷さんは「足がミイラのようだ」との返答。とっさにどんな状態なのか判らなかったが、もう自分の足ではなくボロボロっと折れてしまいそうな状態なのか。歩くのがやっとの状態である。  我々もお参りをしてから夜間走行の準備でヘッドライト、懐中電灯、赤の点滅ライトを出して装備する。
(CP16 56.3km 19:15 善光寺)
*フル:東京→新潟までの520キロ

 上田で一緒になった古川さん一行が追いつき前後しながら進む、途中で一緒になった井口さんと「すき屋」で牛丼を食べた。この辺りになると出来るだけ自分のペースを守り相手に合わせることをしません。たまたま併走するときに話をするがコンビニ寄るのもマイペース。
 暗い夜道をひたすら進む、浅野の交差点を右に曲がるので注意して標識を見ながら走る。
(CP17 71.6km 21:18 浅野交差点)

 ここには私設エイドがあり白玉ぜんざいとミルクティーを頂く。聞くと昨日の深夜から居るそうで20時間余り経過している、我々の為にありがたい。座っていると寒くなるので早々に立ち去る。この先のコンビニからしばらく食べ物が売ってないので、念のためにパンとおにぎりを買ってリュックに入れる。ここから18号線とお別れして117号線を飯山線に沿って北上します。長い登りを進むと前方に歩いているフルの秋葉さんがいた、挨拶して先へ進み18キロ先のCP18飯山駅を目指す。
(CP18 89.1km 4日01:40 飯山駅)

 ここから117号線、飯山線、信濃川の三つ巴で右へ行ったり左へ行ったり登り下りの長い道のりが続く。コンビニで休んでいると秋葉さんが追いついて来た、身体が傾きながらも走っている。二人で併走する。夜が明ける頃に雨が降り始めた、屋根付きのバス停らしい所でカッパを着る。しばらく秋葉さんと併走眠いので交代で1キロずつ先行して進む。この辺りから周りは残雪が多く気温が下がる。冷たい空気が漂い霧が立ち込める、幻想的ですばらしい景色だが浸っている余裕はない。

 途中有名な野沢温泉を通り、県境を過ぎると川の名前が千曲川から信濃川に変わり津南町に入る。長時間雨に濡れ、足が完全にふやけているようだ、歩道が傾斜しているので、足の裏がずれるような感覚がする、水溜まりもあるので平坦な車道の方が歩道よりも走り易い。
 十日町市10キロ手前辺りから秋葉さんは走れなくなり歩くと言うので、私は先に仮眠所のある「民宿かみや」へ向かう。十日町市に入ってから117号線から逸れ、信濃川を渡り残り5キロですが、道は上り坂に変わり曲がりながら結構登る。やっとのことで到着、スタッフの皆さんが出迎えてくれました。
(CP19 143.8km 12:14 かみや到着)

<風呂、食事、仮眠、着替え合わせて3時間14分>
 相変わらず雨は止まない、意を決して濡れたタイツを履き、使い捨てのカッパを着て再出発(15:28)

 坂道を下り国道117号線へ戻り信濃川と飯山線の間をひたすら走る。日が落ち二晩目の夜に入る。この辺は記憶に薄いところです。
(CP20 162.5km 19:00 魚沼橋南詰)

 土手を車が勢い良く走っているので側道を進むことにした、しばらく進むがどうも様子がおかしいのに気が付き、標識もなく人もいない、ビニール袋に入っている iPhone をリュックから取り出しGPSで現在位置を確認すると、左に逸れていることが判り、右方向へ軌道修正3キロ程でコースに復帰する。小千谷市に入るとレストラン、スーパーなどが営業していた、もう少し良さそうなカッパを探したが売っていません、諦めてこのまま進む。
暗い夜道、前方から傘をさして近づいてくる人がいる、見ると段さんである。もうすぐだよと和田エイドまで迎えに来てくれたのです、ほっとしました。 ここは毎回ボランティアで和田さんの自宅車庫を使って皆さんのためにカップ麺、飲み物を振舞ってくれる、さらにストーブが置いてある。寒い雨のなか本当にありがたい。すぐに段さんは次の選手を迎えに出て行きました。ちょっとしたことですが選手にとってはありがたい行動です。
 15分ほどして段さんに迎えられて園山さんが到着、毎回ここで日本酒をご馳走になるのを楽しみにいるそうです。
 私もゆっくりしたいが先へ進まなければ、5分ほどして冷たい雨降る夜道をゴール目指す。
国道17号線に合流して長岡方面へ向かう。
(CP21 180.4km 23:30 越の大橋西詰)

 地図を見ると一本道のようなのでひたすら前進。長岡バイパスを進むと交差点右角にラーメン屋発見、寒いしお腹も空いたので入ることにした。二人の選手が食べ終え店の人に道を尋ねているようなので横から伺う、どうもコースから外れているようだ!?・・・
 考えようによっては、ここへ入って良かった、そうでなければこのまま進んでいただろう。方向は分ったので、塩ラーメンを注文、暖かくなったところで左方向へ軌道修正、3キロほど進むと本線へ戻る手前で先ほどのランナーに追いついた。
 このまま行けば長岡駅前、大手通交差点がチェックポイントですがはっきり判らず左へ曲がってみることにした。駅前なのでこんな時間でも若者が歩いている。やはり判らないので若者に尋ねると、どうも最初に曲がった交差点のようだ。どこへ行くの?と尋ねらて新潟と答えたら遠いよと言われ、小諸から新潟までの途中と言ったらもっと驚かれた。大手通交差点へ戻り通過時間を記入。
(CP22 193.0km 5日03:10 大手通交差点)

 街を抜けると明かりが無く歩道には水溜り避けて歩くのも面倒、いよいよ眠気が・・・自動車販売店前で座って仮眠をするが5分ほどで寒くて目が覚める。また走ったり歩いたり蛇行したり花壇につまずいて手を付いたりもした、いつのまに立ったまま寝ていること数回。幻覚か夢か現実と行ったり来たり、それぞれが瞬時に切り替わりハット驚く場面も多々ありました。フルの人は私よりももっと眠いのかな?
 長岡東バイパスに出ると夜が明け、雨も上がった。三条大橋南詰が次のチェックポイント、京都の三条大橋は行ったことがあるがどんな橋だろう。
 もう眠気は覚めた、がんばろう!
 前後にはランナーはいません、たまに会うがほとんどが歩きである。歩いているランナーばかり、ランナーと言うのはおかしいような気がします。思えば後半追い越されるランナーはいませんでした。
(CP23 216.4km 08:03 三条大橋南詰)

 三条大橋は普通の橋でした、自分を入れて写真を一枚撮る。曇っていて映りが悪い。
 この辺りではたまにランナーに会うようになった。暗いときは皆何していたのだろうか?9時頃から晴れ上がり暑くなった。約30キロ道はほぼ真っ直ぐに北上、ひたすら走るだけである。しばらくすると靴を脱いで座っているフルのランナーを見つけ声を掛ける、
 左足指の皮がむけ痛そう。しばらく行って休んでいると先ほどの方が追いついて来たので、しばらく一緒に歩くことにした。
残り20キロほど、直線道路が続く
 ゼッケン21は過去に520キロを完走しその時のナンバーを永久ナンバーとしてをいただけるのです。年齢は私よりも上のようでゼッケンに名前があるので「生方」と書いてある。残りは全部歩くと言うので、いろいろ話をしながらしばらく一緒に歩きました。その中で疑問に思っていた眠気について尋ねた。フルの人は3カ所仮眠するところがあり、合計で14時間も寝たそうです。思っていたよりも多く寝られるんだなと思った。
 生方さんは蓮田走友会の方で、現役で仕事をしているそうです。
 1時間ほど歩いただろうか、時間が気になるので先へ急ぐことにした。
(CP24 243.8km 13:15 大野大橋南詰)

後ろが日本海

残り3.7キロ ご馳走になりました

GOAL
 いよいよ残り11.5キロ、ゴールが見えた。もう歩かずに走ろう〜!
(CP25 251.6km 14:30 日本海岸)

 信濃川河口に着きました。荒々しく薄茶色の波が打ち寄せる日本海、雨と雪解けの水が信濃川に流れ込み水量が多くなったためこの様な色になっているのだろう。ここにも私設エイドがあり、先客三人は20分ほどゆっくりしていたようです。入れ替わりに私が座り、トン汁、ビール、お菓子など振舞ってくれました。ゴールする前にビールを2杯も飲んでしまいました。後3.7キロだから、まっいいか。そうこうしている内に20分が経過、ゴールタイムも気になるのでお礼を言ってゴールへ向かう。
 河口の橋を渡り、下って来た河川敷の対岸を上流へ戻ります。歩かず一気に行きます。後続のランナーは見えません。眠気もありません。お腹が空きました。風呂へ入っておいしい物を食べよう〜。辛かったことは忘れてしまいました。一人よりも二人の方が感動大きいのかも、でも今は一人だけだ。ゴールに近づくと曲がり角にスタッフが立っており、後200mゴールまで案内してくれました。ゴールテープが見えたときは嬉しかった!
(GOAL 255.3km 15:20 ホンマ健康ランド)

 一人で走っているけど一人じゃない。ウルトラマラソンはたくさんありますが、少人数で長距離の場合は話し相手が少ない、長時間に渡り悪天候と疲れで精神的に参ります。支えになるのは仲間がいること。「今頃雨の中を走っているだろうな大変だな」と、きっと誰かが思っているに違いない。そして私はゴールすることで勇気を与えられる仲間がいること、ここでゴールしない訳には行かない。仲間の顔を思い浮かべながら勇気と力をもらい、前進力に変えることでゴールに辿り着けたのだと思います。

count: カウンター