大阪国際女子マラソン&大阪ハーフマラソン
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2012/1/29
  岩崎 修 2012.2.10
大阪ハーフマラソンと綾ちゃん応援の報告

関西空港に降り立ったサムを真っ白のワーゲンが待っていた。旧家のたたずまい北邸に着くと二人で明日のレースプランをつまみに前夜祭を行った。そこへ綾ちゃんからの連絡が入った。(1)すれ違う予定ポイント(2)綾ちゃんを応援する場所(3)待ち合わせ場所を確認しあった。そして明日の健闘を誓いあった。今回3時間10分切りを目標にするという。半分しか走らないハーフのサムとしてはやはり1時間30分切りを狙わざるを得ない。明日はやるそ!

朝はゆっくり7時まで寝た。朝食は丸いお餅を焼いてバターで食べた。これが関西風?さらに好物のバナナ2本とコーヒーと軽めにしてスタート地点の大阪城公園に向かった。途中、南海電車が岸和田駅を通り「カーネーション」のいとちゃんが浮かんだ。6月の「だんじり」は一度見物してみたい


長編ドキュメントを書きました お暇な方のみお読みください。

サムさん限界への挑戦 「括約筋が活躍した日」

10時大阪城公園駅に到着。空気が実にさわやか。駅で本日2度目のTタイムも快調。

時間もたっぷり、受付嬢に「もっとお日さまにがんばるよう言ってえな」と変な大阪弁をかます江戸っ子サムはすでにハイテンション!着替え前に大阪城をバックに写真撮影。しばらくすると「11時で荷物預かりは締め切りです・・・」何度もスタッフが回ってくる。しつこいぐらいやって来るが大事な仕事だ。ハーフマラソンでトップランナーなら1時間で走る。その前にゴールの長居陸上競技場まで5000人分の荷物を運び並べるというのだから。東京マラソンの新宿公園と同様に大きく口を開けたトラックの群れが早くしてくれと言わんばかりに出発を待っている。

10時40分、気温は5度だがそれ程寒くはない。スタートの12時10分には1時間半もあるので寝転がっていれば良かったのだ。お気に入りのビニールシートを忘れた事もありゼッケンをつけ早々と着替えあたりの散策に向かった。ピンクの陸連登録のゼッケンが千代田のブルーのユニホームに 映えた。それより強烈に目立ったのは腹と太ももにガンバレアヤコの文字が輝くおっさんの姿であったろう。千代田の名前を見て「皇居を走っていらっしゃるんですか、なんてうらやましい」とシャッターを押していただいたご夫婦。北さんがしっかり千代田走友会を売りこんでいました。きっとどこかで千代田を応援してくださるに違いない。

10時50分に問題の荷物を預けた。ここからが恐ろしく長かった。毛糸の手袋とビニールの袋をかぶったのは良かったがホカロンを忘れ、気張ってハーフパンツにした事を後悔した。その後も全く太陽が顔を出さない。ふくらはぎがぶるぶる鳥肌になった。
こんな時応援団がいればギリギリまでジャージを着ていられる。

11時10分 陸連登録はAブロック。早くも選手が集まっている。北さんをさそって早めに並んだ。前からは5mぐらい。風が来ない中央に陣取る。身を寄せ合って寒さをしのぐ猿の集団。

11時40分 あと30分の辛抱。ここからはもうこの場所を抜け出せない雰囲気になっていた。孤独にも強いのがトップランナーなのか。皆無言。ただ時間の過ぎるのをじっとこらえている。誰1人この場を離れようとしない。大阪らしくねえんじゃん。
「北さん、少し溜まってきた感じがすんだけど」そう言いながらサムは足をさすりしゃがみ込んだ。すらっとした柱が何本も重なって見え熱帯魚のようにカラフルなシューズ。ショートパンツのランナーは足に皆圧縮サポーターを付けている。彼らの対策は万全!自分の下腹をそっと押してみると確かに貯まってきているのがわかった。

12時00分 「スタート地点に移動します」ぞろぞろと歩き始めた。
北さんが「岩崎、トイレに行くなら最初がいいよ、後からだと待つから」とアドバイスをくれた。彼は経験豊富だ。途中棄権とレース中のトイレ使用は経験がない。「わかった。綾ちゃんに会うまでは何とかなりそうや」それが91分に及ぶ膀胱括約筋との二人三脚の始まりだった。

スタートしてまず大阪城公園の中を走る。TVで見た曲がりくねった公園の道路。
1kmも行かぬうちに普段は全く気にならないトイレの文字が飛び込んできた。走る刺激で少し疼く?が我慢できた。されど用心深く走っている為かスピードが無い気もした。2つ目のトイレが見えた時はさすがにどうしようか迷った。するとトイレから駆けもどるトップランナーが出てきた。30秒ぐらいのロスなのか。すごいスピードで消えて行き別のランナーが飛び込んで行った。結局、公園を抜けてしまい応援の多い通りに出てしまった。体が温まり膀胱括約筋が活躍したのか尿意が薄らいでいた。5km地点21分32秒片町橋南詰め通過、目標からは17秒遅れ。

10km付近で綾ちゃんと会うまでは何とかなりそうだ。ストレートな玉造筋は応援の人だかりで実に気分がいい。この大会のゼッケンは持ちタイム順であった。走りながら自分より小さなゼッケンNOのランナーをマークした。しかしいつもの癖で今回も気になる女性ランナーを見つけてしまった。しかも3人も。女性はペースが落ちないので前半同じスピードなら良い目標になる。前を走りの軽いスリムなレッド・地面すれすれに足を運ぶ中肉のブルー・ややポッチャリ蹴り上げるような走りのピンクが並走している。ゼッケンの数字からは本命レッド・対抗ブルー・大穴ピンクの順だがはたし
て。

8km付近で女子マラソンのトップが見えてきた。玉造筋は道幅も広くしかも中央分離帯があり女子のランナーのそばまで近づけないが右側ぎりぎりを走った。かろうじて福士選手の顔が見えた。「福士ガンバレ〜」ランナーで大声を出したのは私だけであった。そして黄色の帽子を取りぐるぐる回した。TVに映ったかどうかは不明である。

しばらく分離帯越しに綾ちゃんを探し右を見ながら走った。勝山4丁目を左折し勝山筋の10km地点通過。5kmが21分23秒で通算25秒遅れ。そろそろ出会うはずなのだが。
まだゼッケン177が見つからない。ブルーに白い横線をさがす。あの走りだ、思わず「綾ちゃーん」と叫んだが全く反応がない。何と!人違いだった。照れ恥ずかしかった。でも見つけなければ走った意味がない。いた今度こそ綾ちゃん。1年ぶりか。しかしとっさに声が出ない。さっきの失敗からくるトラウマか?確かめてからと慎重になった。綾ちゃんは丁度特設ドリンクに気がいってこっちを見る余裕がなかったらしい。二人はこのまますれ違うのか。万事休すかと思った時サムが思いっきり叫んだ。
すると何と気がつき振り返りながら手を振ってくれた。こんなに早くサムが現れると思ってなかったのに違いない。そうだろう。トイレをキャンセルしてここまで頑張ったんだから。

肩の荷がおりた安堵感と同時に膀胱括約筋が合図を送ってきた。「ご主人さまそろそろいかがでしょうか?」えっ・・・ちょっと待てよ!折角良い調子でここまで来たんだ。ここから踏ん張れば自己新狙えるぞ。それにあのレッド・ブルー・ピンクの3人はどこに行ったんだ?「おお!いつの間に」20mも先に行ってしまっている。綾ちゃんに気を取られて走っていたら置いて行かれていた。右ばかり見て1km近くはしったので気が付かなかった。あの3人に追い付きたいと思った。膀胱括約筋もう少しだけ俺に協力してくれ。

今里筋に入ってもあの3人との差が全く縮まらない。3カ所ある最後の給水地点が近づいていた。女性ランナーは給水でスピードが落ちる。この3人もそうであった。ここが勝負と思い空いている場所を狙いスピードを落とさず給水し何とか追いついた。残念だったのは手袋が濡れてしまった事。手袋を外すことにした。

15km地点通過5kmが21分48秒通算58秒の遅れ。3人に追い付くのが精いっぱいだったようだ。背の高い男子ランナーをレッドが追走しペースが上がった。ブルーとピンクもついて行く。少し離された。3人全員に負けかよ情けね〜。おまけに指先が冷たくまた膀胱括約筋が「そろそろいかがでしょうか?」と言ってきた。今日はここまでかな。

3人の中の1人で良いから抜こうと決めた。抜かれたランナーの足元を見て前を見ず無心でついて行った。時々顔を上げると少しブルーに近づくのがわかった。1kmで少し汗をかいているブルーに追い付いた。すると元気が出るものでさらに1kmで軽い走りのレッドに追い付いた。大穴予想のピンクはピッチを上げたのかだいぶ先にいた。

もう残り3kmの表示が現れた。18kmすぎで自分のスピードが落ちたとはっきりわかった。あのピンクに追い付くにはどうすればいいんだ。その事ばかり考えながら走っていた。早くしないと逃げ切られてしまう。あたりは長居陸上競技場の外周で徐々にゴールが近い事を教えてくれていた。こういう時間帯でペースが落ちたら自分に刺激を送らないといけないと教わった事を急に思い出した。冷たい手で顔をぺたぺた叩いた。地面を強く蹴った。

もうあと2kmだが冷たい手と地面を蹴った反動で刺激を送ってしまった。もう相当溜まっているに違いない。走り終えたら真っ先にトイレに行く。そう思ってロングスパート態勢に入った。と言っても気持ちだけでスピードはさほど上がらない。それでもピンクの姿がやや近づいたような気がした。

20km地点通過。5kmは22分18秒 ああ何と通算で121秒オーバー。自己新はあきらめ後1kmをピンクを抜く事に集中した。競技場のトラックは300m。競技場の入り口までには追い付きたいが差が詰まらない。とうとう長居競技場の入り口で10m差まで接近した。勝手にこっちが目標にしているだけに有利だった。競技場は女子マラソン到着を待つファンでいっぱいだった。絶好の見せ場を作れると勝手に解釈した。

残り200mであと5m。行けると確信した。しかしピンクがここからラストスパート。抜けないまま50mになった。やばいここまできて!もう行くしかない足がピクピクしたがゴール1m手前で抜き去った。最後の1kmちょっとは4分7秒。結局1時間31分8秒だった。12月の足立区のハーフよりはタイムが良かったが18km〜20kmが課題だと思う。それにしても今日は綾ちゃんと競り合ったレースと偶然だが良く似ていた。今はどこを走っているのだろう。

ゴールしてタオルをかけてもらい真っ先に「すいません!トイレはどこですか」と言った。競技場内のトイレに駆け込んだ。ハーフパンツの紐がほどけず本当に危なかった。どっと脂汗が出た。終わったあと伸び切ったゴム風船のような感覚の下腹部に酷使した事を実感した。

着替えた後は会場のイベントである湯村温泉の足湯につかり北さんを待った。その後一緒に但馬牛のバラ焼き肉を食べたり完走賞を取りに行ったりして時間をつぶした。

長居競技場手前の外周
ゴール800m手前付近
3時 綾ちゃん応援のため競技場外に向かった。サブスリー組が必死に走り抜けていく。ゼッケンには名前が大きく印刷されていたので名前で応援した。しばらくして綾ちゃんが帰ってきた。早くきたので驚いた。いったいどんな練習を福島二本松でしてきたというのだ。急いで競技場に戻るとちょうどデッドヒートしてゴールした直後であった。3時間7分13秒。完全復活だ。彼女が報道陣の集まる関係者出口からさっそうと出てきたのは1時間程先であった。堂々としたもので日本代表のような風格だった。しかもピンクにまとめたコーディネートは芸能人。それから綾ちゃん親衛隊「おじんこクラブ」の2人とピンクレディーの3人で難波へ乗り込みオシャレな雰囲気の串の坊へ入った。ビールで乾杯し串カツ三昧。たらふく食べた。もちろんサムの膀胱括約筋の話で盛りあがったことは言うまでもない。

大阪ハーフマラソンはスタート時間が12時10分であり東京から朝6時台の新幹線で受付に楽らく間に合い3つの楽しみが味わえる(1)まずは大阪ハーフを走り(2)その後女子マラソンの応援をして(3)最後に大阪を見物+食事をして20時まで楽しむ。21時の新幹線で帰れば日帰りは十分可能な大会だ。是非とも来年の大会のご参加を検討いただきたい。あと50歳以上のおじんこクラブ入会者はサムまでご連絡下さい。

★冬のレースのまとめ
応援団を頼み込む努力とギリギリまで並ばない努力ホカロン・ビニールカッパ・レジャーシートは必需品スタート30分前までは何度でもトイレに行きましょう。

長々お読みいただきありがとうございました。サム

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