サムさんの2013かすみがうら大会奮戦記
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2013/5/1
  岩崎 修 2013.4.21

サムさんの2013年かすみがうらマラソン 男はつらいよ -雨の土浦編-

「男はつらいよ」の寅さんは「つらいよ」とグチをこぼしたことがない。サムさん同じ葛飾だが今回の走りはいかに・・・・時間に余裕のある方のみお読みください・・・

ここは下町葛飾堀切
20:30 店を閉めていざ夕食へむかうサムさん。
食卓には明日に備え、ご飯、味噌汁、豆腐、はんぺん、ポテトサラダ、稲庭うどんが並ぶ。消化の良い炭水化物とタンパク質のオンパレード。おふくろが、たけのこご飯を用意してくれたけど「悪いね〜たけのこは残すよ〜」と言ってごはんだけは腹いっぱいたいらげた。たけのこは繊維が多く便秘には良いが消化は?カットした。パソコンで天気予報とメールをチェック。若林さんからの連絡では富士五湖方面は雪とか。長野もどうなっているやら。

21:00 千代田のラン二ングとTシャツ両方を用意した。Tシャツは新入会の多々納さん用だ。千代田のユニホームを着ると着ないでは大違い。レースに参加したら絶対着るべし!
これは経験しないとわからない。下は短パン+田中さんに勧められたサポーター。痙攣が多いサムさんには寒さ対策にもなり必需品。靴はクッション性を感じるブリックスに決定。事前に届いたB632フル男子招待・陸連登録の部と印刷されたゼッケンをつけながら、つぶやいた。何だかゼッケンが重いね〜「驚き、桃の木、山椒の木、ブリキにタヌキに蓄音機」

5:00 雨音で目が覚めた。布団を跳ね上げ、寒さよけに透明ビニールカッパ、軍手、ホッカイロにランニングの下に着る地獄坂の文字が入った黒のTシャツを詰め込み、帽子と千代田の旗とポールにレジャーシート、スタミナジェル、ミニ羊羹、アクエリアス、塩飴、デジカメで準備完了。着替えをして腹ごしらえだ。

5:30 フルマラソンなのでおもち3個をお湯で3分ゆでる。きなこもちにしておいしく食べ、さらにバナナ2本とカステラ1個。サプリメントはカルシウムとバランスターWZ4粒。スタート30分前に食べるアンパンをリュックに入れる。時間があるので日経新聞を読むと円安が進み日経平均もさらに上昇の気配。ヨッシャ―!おいらも上昇!トイレに直行!「大したもんだカエルのしょうべん」調子がいいぞ。

6:00 出発、まだ小雨が降り続く。「ぐちを言ちゃあおしめえよ!」とだまって傘をさす。
7:00 上野駅で川崎さん、東海林さん、鈴木昌男さんと出会い8:10土浦駅で加藤さん、多々納さんと合流、皆ここまで来たらだんだん気合が乗ってくる。ボストンマラソンの後で厳戒態勢なのだろう警察官の方が多い。本日はよろしゅうお願いします。敬礼

8:30 当初の集合場所は雨と混雑で不適と判断し、野球場のボックス席に千代田の旗を立てる。小雨の中で傘をさしての着替えは過去に記憶がない。トイレと荷物預かりは傘を持った選手で大混雑。何事も余裕をもって行動が大事。選手は皆、屋根のあるところを見つけて雨宿りしている。気温5.2度・北の風2.6m。シトシトピッチャン♪は続きそう。

 
スタート前
岩崎、加藤、多々納
東海林
10:00 ウオーミングアップは屈伸のみでスタート。Bブロックなので約1分でスタート地点通過。走り出してしばらくすると突然大きな水たまり出現。避けきれなかったランナーのバシャバシャという音が聞こえる。さらに左折し上り坂が始まると上から水が流れ落ちてくる。シューズはできれば濡らしたくない。雨は足の皮をふにゃふにゃにし、さらにソックスがぬれるとズレ始める。するとマメができやすい。だから雨の日は履きなれたきつめぐらいの、ピッタリフィットしたソックスを履こう。シューズとソックスのぶっつけ本番も危険だ。

コース序盤は土浦市内を走る。高台までの上りが何度かあり結構長く感じる。前半は無理せず流れについていこう。このレースは国際盲人マラソン大会でもあり伴走者がついたランナーが何人も走っている。よく練習されているに違いない、息も合い実にペースが安定している。この大会、雨だというのに子供たちの「頑張れ〜」の元気な声があちこちで響き渡っていた。さすが全国第3位の参加者数を誇る大会ならではだ。

11:00サムの走りは5kmのスプリットタイムは25分55秒と大きく出遅れていた。雨と上りがやや多く突っ込まなかった分、今から少しペースアップしよう。5kmの給水を境にペースは少し上がった。それでも5km23分台が精一杯。後半はフラットになるはずだ、焦らず後半に期待しよう。途中に折り返しが一か所あり皆に会えると楽しみにしていた。しかし往復わずか600mぐらいと短くて、先を行くタカピー・カッシーの姿を見ることはなかった。彼らは調子よく走っているに違いない。他の千代田のメンバーともすれ違えぬまま中間点通過。1時間41分45秒だいぶオーバー。

目標は3時間20分。この時点で正直、記録は難しいと感じた。「体は心の真似をする、心も体の真似をする」だからいつもポジティブに行かないと体がついてこない。まだ小雨だが残りは半分もある。気持ちを切り替えて行こうと、雨がやまなかったが思い切ってカッパと軍手をはずし係の人に渡した。急に前がスッキリして走りやすくなった。ただ爽快に感じるが汗をかいていたらしく胸辺りがやけに涼しい。25kmまだ余力はあった。ところが28kmあたりで指先がジンジンしてきた。さらに異変に気が付いたのはまず補給用のジェルがポケットから取り出せない。次に開封のキャップが取れない。給水では紙コップを落とす。軍手を外したのは大失敗だった。急激に熱を奪われ体幹部の毛穴が閉じたのだろうか。目がチカチカし始めやたらと汗が目に入る。視界が曇った。急激な皮膚表面温度の低下で毛穴が閉じ、発散したくても行き場の無くなった水分が頭部や膀胱に集中したのだろうか。今まで一度もなかった尿意までも一気に高まってくる。前半抑えた意味がない。

30kmを過ぎるとついに意識朦朧となり、目をつむったりしながら走るので蛇行気味。そういえば箱根駅伝ではよく見かけるが、まるっきりスピードの違う自分は脱水症状ではなく単なる疲労なのだろう。木曜日に駆り出されたバドミントンの練習がチラッと脳裏をかすめた。Bブロックに加えCブロック以降のランナーにも追い抜かれ始めた。寅さんはつらいよと言ったことがない。サムさんどうする。いつの間にか辺りは霞ヶ浦名物のレンコン畑になっていた。応援が減った分コース上には激励の文字でいっぱいの手作りポスターが並んでいる。暖かい応援方法だ。富士五湖や長野はどうだろう。あきらめちゃおしめえだ。とにかくまずは35kmまでがんばれ・・・・。

「サムちゃんじゃない」カッシーだった。
「あれ、加藤さん。何で? どこにいたの」
「今日は、結構上りとかで時間を使ったみたいで」
「先に行ってよ!ペースが違いすぎるから」
「まだ頑張ればギリギリ切れるかも。じゃあ行くわ」
颯爽と走るカッシーの姿がだんだん小さくなっていく。ついていけないじゃなくて、ついていこうとしない自分にハッとした!
すると35km地点が見えてきた。わあ、5kmに30分も。「バナナですよ」「お願いします」この大会のエイドはバナナが多く20kmでいただいたが後半は何か所も用意されていた。食べると少し元気が出た。あと7kmじゃないか。最後まであきらめるなと自分に言い聞かせた。

その時沿道から「タイガーマスクがんばれ」の声が聞こえた。どうやら人気者が後ろに来たらしい。タイガー!そうだ虎だ、寅さんだ。勝手にタイガーを追走するぞと決めた。行け行けタイガー・タイガーマスク♪そこからサムの不死鳥のようなランが始まった。向こうは余裕があり手を振りながら楽しそうに走っている。サムは腕を思いっきり振って食らいつき1m後ろを離れない。1kmだけは追いかけろ。すると動かなかった股関節も楽になり歩幅が広がった。汗が止まりいつの間にか抜かれなくなってきた。それ程早くはないのだがむしろ前のランナーを抜きはじめていた。タイガーマスクは相変わらず手を振っている。ずっとこのペースで走ってきたんだろう。自分も一度やってみたいのだが。その時は寅さんがいいな。ペースに慣れてくると苦しくない。サムも時々子供には手を振る余裕すら出てきた。

40kmまでの5kmはわずかだが1分以上はタイムが上がっていた。そしてなんと
「加藤さん!」
「あれ、よく来たね(*_*)こっちは目標タイムが難しいとわかったらペースが下がっちゃったよ」
「ほら前にいるタイガーマスクに食らいついてきたらペースが上がって・・・」
「フラフラしてたから、今日はもう駄目なんじゃないかと思ったよ」
「いやあ、走りながら休息したのかね〜?残り1kmでタイガーを抜きましょう。ついでにあの女性も抜きましょう。行きますよ。」

そこから先は次々と抜かれたたランナーを抜き返し、こうなるとさっきまでがうそのように走れるから不思議だ。結局最後まで競い合ってカッシーとほぼ同時にゴールに飛び込んだ。「素晴らしい走りをすると、必ず素晴らしいランナーに出会える」サムの言葉
参加賞に大会記念の紫のTシャツと土浦のレンコンが入ったうどんをいただく。

オフィシャルタイム3時間37分58秒(プライベートタイム3時間36分57秒)
1899位/16227人中。またも自己新どころか3時間半をオーバー。気が付くと雨が止んでいた。着替えをし始めると指がかじかんで曲がらないので靴ひもがほどけない。やっぱり相当寒かったと思った。タカピーがやってきた。結果は3時間14分で60歳代4位だった。やっぱり強い、大きな壁が立ちふさがっている。

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