第10回日本横断川の道フットレース
一覧へ戻る
2014年4月30日〜5月5日
  大谷 真一 2014.5.25

日本を代表する大河、荒川と信濃川は、山梨県、埼玉県、長野県の三国境に鎮座する甲武信岳によって、水流の行き先をそれぞれ太平洋と日本海に分けられている。荒川を太平洋から上流へとさかのぼり、甲武信岳北側の三国峠を越えて信濃川沿いに日本海へと続く道を「川の道」と呼ぶ。
海から山へ、そして山から海へと2つの大河をたどる「川の道」は荒川と信濃川のほぼ総延長にあたる520kmに及ぶ。

昨年と一昨年に後半の255kmの部(ハーフ)を完走し、今年は全コースの520km(フル)にチャレンジした。
私が初めて走った時、フルのランナーにハーフとフルの違いを聞いた。答えは「同じです」でした。とても信じられません、同じとはどう言うことなのか?
疑問は好奇心に変わり、自分で走れば解る。

4月30日 9:00 葛西臨海公園からスタート
参加者はフル80名ほどと前半ハーフ20名

曇り空で雨の予報、走り始めて10キロほどで雨が降り始めた。
その後は時々止みますがほとんど雨降り、雨が上がったのが熊谷に入ってからでした。
(熊谷署前交差点 CP05 90.4キロ、1日01:00)
一日目から雨に見舞われ、夜中には体温が奪われ厳しかったです。
スタートから延々と続く荒川土手は80キロほどあり、コンビニもありません。
大会で用意したエイドが40、53、70、78キロの4ヶ所にあり、何もない河川敷では助かります。
天候が悪くいつも持って走るデジカメはリュックの中にある。景色を撮りながら走れず淡々と歩を進めるだけ曇り空の景色もいまいちでした。

森岡さんとは熊谷まで一緒でしたが、お腹の調子が悪くファミレスで休むと言うので先行することにした。
90キロも走るといい加減疲れ、熊谷のファミレスに入り、食べながらこの先のことを考えるが途方もない距離に考えても仕方がないので考えないことにした。
食べ終わってうつ伏せで20分ほど仮眠したが寝足りずもう20分・・・。
幸いファミレス内は暖かく雨具をしっかり着て出発。

先ずは最初のレストステーション182キロにある「まほーばの森」を目指します。

走り出してまもなく前方に3人グループを発見、過去に完走したことのある長島さん、篠原さんと初参加で若い女性の飯岡さん。
暗いし道もそれ程詳しくないので付いて行くことにした。
このフルのコースを一度完走すると永久ゼッケンがもらえ、今年は127より若い番号が過去に完走したことのあるナンバーなのですぐに判ります。
長島さんは地図も見ずに後1キロ行くとコンビニがあるのでそこで休もうと、リーダー役をしています。始めはペースを合わせて走りましたが、走るスピードが私より僅かに速く休憩が多いことが分った。
やはりマイペースで進む方が長い道のりダメージが少ないと思い、休んでいる間に先に行く事にした。
寄居から秩父は単独走、カメラを出し良さそうな景色を撮る。

秩父神社を通りせっかくなのでお参りに立ち寄ることにしました。
神社の関係者らしき人に何しているの、と聞かれ「新潟まで」と言うと顔が一瞬固まり、「新潟まで歩くのですか?」と聞かれた。「一応走るのですが疲れたら歩きます」と答える。
(秩父、上野町交差点 CP07 133.5キロ 10:00)
秩父の街を外れると上り坂が多くなり、しばらく行くと自動販売機が並んでいるのを発見、久しぶりに炭酸入りの飲み物を飲みながら休憩していると、後ろにいる3人組が追いついてきた。
一緒に走りましたがやはりペースが合わず、休憩している間にまた先行しました。
その後は埼玉と群馬県境にある志賀坂峠へ上りが続きます。急なところは歩き緩やかなところは走る、この繰り返し。
(志賀坂峠 CP08 168キロ 18:15)
志賀峠を越え、299号線を進むと後14キロで最初のレストステーション「まほーばの森」である。
しばらく行き上野小学校前を左折すると残り2キロ、すでに暗くなっており1人夜道は心細いのですが、登り坂が始まる途中からいきなり急坂変り、これを上るのか?とても走れるような勾配で
はない、歩くのも大変な急坂をひたすら上る。レストステーションはコテージを数棟借り切っている、一つは食事をするところ他は4〜5名に分けて風呂と仮眠場所になっていた。
(まほーばの森 CP09 182キロ 21:40〜2日03:30)

まず風呂に入ってから食事、カレーが美味しかった!同室の方はそれぞれの予定で寝る、出発する。寝る時間食事の時間はバラバラなので挨拶はちょっとだけです。
2段ベッドが2つありましたが、1段目はすでに使われており2段目は誰も居ません。この梯子は上れないのか?私はまだ身軽で2段目で寝ることにした。
たくさん寝たいが、眠気が取れればいいのでアラームは3時間(0時から3時)にしました。
目が覚めると森岡さんから何号室?とメールがあり、すぐに着替えて外に出た。自力でここまで来たけど残念ながら時間オーバーして、ここ182キロでリタイアです。

(2日03:30出発)
「まほーばの森」を出るとすぐに「天空の橋」がありますが、深夜なのでライトに浮かぶ橋梁しか分りませんでした。
4名ほどでスタートしました、今度は「ぶどう峠」に向かって延々と上りが続きます。走れないので早歩きでしたが、他の4人よりは少し速く、徐々に離れ私1人単独で先行した。

(ぶどう峠 CP10 205キロ 08:06)
ぶどう峠に着いたら私設エイドがあり、土田さんが写真を撮ってくれさらに美味しいうどんといなり寿司を頂いた。
この先20キロも食べ物がないことをすっかり忘れ、長い下り坂をひたすら進む。途中郵便局があり横手に売店がありました。そこでクラフトアイスを買いお腹の足しにして小海町へ向かう。
(小海大橋交差点 CP11 225.6キロ 12:17)
小海市内に入れば牛丼はあるだろう食べよう〜♪と思いながら、町人発見してすぐに聞いて見たら牛丼屋は無くコンビニも町外れまで行かないと無いようだ。そうこうしている内に焼肉屋発見!すぐに入った。
焼肉丼を想像してたがそのメニューは無く、焼肉を食べる時間がないので早目のものをとビビンパを注文。水を3杯お代わりして待つ。どんぶりを平らげ空腹はすぐに満たされました。
もう小諸まで32キロ、一気に行こう!マイペースで進む。
長土呂の町に入ったら何とユニクロを発見、実はインナーパンツがシックリしなくていつも履いているパンツに履き替えていたのです。あと3回履き替えるので2つで980円を2セット買った。
長土呂を過ぎると小諸は近い、坂道は少ないのでマイペースで歩を進める。
あと数キロのところで小諸に居る森岡さんから電話が入る。
2番目のレストステーション小諸グランドキャッスルホテルの手前で森岡さん、粟野さん、大竹さんが出迎えてくれた。
到着タイムをチェックしてすぐに駅向こうにある蕎麦屋さんへ4人で行きました。
卵とじそば、温かくて美味しかった!
粟野さん大竹さんご馳走さま。

(小諸グランドキャッスルホテル CP13 258キロ 18:30〜3日01:00)
ホテルの大風呂にサッと入り、大部屋の仮眠室で空いている布団で勝手に寝る。
ここも3時間の睡眠(21:30〜0:30)、起きてから森岡さんに買ってもらったいなりずしとおにぎりを半分食べてから出発用意、今度は軽めにしようと予備のカッパと長袖シャツは置いて行く事にした。だいぶ軽くなった。
(3日01:00スタート)
ここから後半ハーフです、過去に2度走った事にあるコースなので地図は見ないで行ける筈。
上田城跡手前で夜が明けた。
(上田城跡 CP14 276.7キロ 05:00)
次は115キロほど先にある3番目のテストステーション「鹿渡館」を目指す。

先ずは長野善光寺へ、去年はここで夜間用のライトを準備したが、今年はまだまだ明るい。観光客で賑わっている、お店も営業している。私だけ場違いの格好をしている。
3人連れの若者にiPhoneで写真を撮ってもらう、当然何しているの?と聞かれる。東京から新潟まで走っていると答えると驚きはしたけど差ほどアクションが大きくない。お返しに彼らの持っているiPhoneで写真を撮ってあげた。
(善光寺 CP16 314.2キロ 13:50)

長野市内を抜けバイパスに合流すると店がなくなり寂しくなります。浅野交差点までひたすら真っ直ぐ進む。ここはアップルラインと呼ばれ周りにはリンゴの木がたくさんあり白い花を付けている。浅野交差点を右折しここから国道117号線に入る。
(浅野交差点 CP17 329.5キロ16:20)
しばらくすると坂東さんの後ろ姿が見えた、荒川河川敷で颯爽と先へ行ってしまったけど、調子よくないのかな?10分位で追い付き声を掛けると、すぐに道路脇にしゃがみ込んだ、「足がダメだ」と。
一緒に行こうと誘うが「先に行ってくれ」とのこと。実績のある方なので粘りでゴールまでは行けるだろうと先に行くことにする。

次のチェックポイント飯山駅まで17キロ、上り下りあり曲がりくねっている、段々日が暮れお腹も空いてきた。この辺りで名古屋の藤田さんと仙台の河合さんと合流、3人で話をしながら進む。駅前に行けば何かあるかな?と考えながら進むと左手にラーメン屋発見、チャーシュー麺とチャーハンのセットを注文。
食べ終わり30分ほどで飯山駅に到着時間記録する
(飯山駅 CP18 347キロ 20:26)

ここから千曲川を渡る常盤大橋まで河川敷を進むが8キロほどあり結構長く感じる。
この先は飯山線と信濃川に沿って進むが、ゆるい上り下りが続き、気温は徐々に下がり、夜が明けるまで一番寒い時間帯を迎える。寒さと睡魔に襲われていた時に公園にきれいな多機能トイレを発見、覗いて見ると広々としてきれい、暖房も入っている、すぐにここで10分寝ようと決め3人で横たわる。10分はあっと言う間に過ぎそして寒空に出て行く。

どの位走ったか睡魔がまた襲って来た。風避けになりそうな車庫を見つけ、3人で転がり込む、置いてあるブルーシートなどに包み、また10分寝る。起きると身震いするほど寒い。すぐに小走りに走り出す。

飯山駅から鹿渡館まで45キロほど、これまでの速度は時速5キロほどなので9時間かかることになる。
まだまだ遠い、先を考えずにひたすら進む、徐々に夜が明け日差しが強くなり、今度は暑くなる。津南町に入ってからも曲がり角が中々見えてきません。去年走ったときはこんなに遠かったかな?しばらく行くとスタッフ3人が見えた、曲がり角はここか?訪ねると2キロ先。
鹿渡館までは急な下り坂を下り川を渡るともうすぐだ。
鹿渡館到着手前に大竹さんが座って待ち構えていました。足裏を痛めて続行不可能になり途中の駅で寒さにこらえ始発を待って電車に乗ってここまで来たそうです。
 やっと鹿渡館に到着するとすぐにお風呂に入り、そして食事をいただいた。カレー、豚汁、サラダなど十分過ぎるほどある。仮眠室には布団と毛布が敷いてあり適当に空いているところで寝る。タイマーを3時間にセットし、明るいのでタオルで目を覆って、すぐに意識不明になった。
 アラームの音で目が覚め急いで支度をする。預けるスーツケースが一杯でうまく詰め込まないと入らない。到着して4時間が経過。大竹さんを探したけど見当たりません。スタートの時間をチェックして記念写真を撮る。
(鹿渡館 CP19 391.7キロ 4日07:55〜11:50)
スタートしてすぐに大竹さんに連れられて粟野さんが到着した、疲れているようでした。どうも足に大きなマメが出来ているようで厳しい様子でした。並んで写真を撮りすぐに1人でスタートした。

十日町まですぐかと思ったけど中心部まで13キロもあった。コンビニでおにぎりを買って商店街にあるベンチで一服した。
食べ終えすぐに出発、1キロほど走ったところで手にデジカメを持ってないのに気が付き、さっきのベンチに置き忘れたと思い、急いで戻った、途中で藤田さんとすれ違った。ベンチに行って見るとデジカメは見当たりませんでした。ガッカリしてリュックをベンチに置いたらなんと!サイドポケットに入っているではないか!間抜けなことをしてしまいました。

20分ほど走ると藤田さんに追い付いた、また併走することになった。彼は良く下調べをしており、地図にすべてのコンビニのあるところに印がしてあり一緒にいると助かります。
しばらく行くと長岡市に入る。2年前初めて参加した時は、知らずに長岡バイパスに入り2キロほど行ったところにラーメン屋があったので入った。ちょうどランナーが2名いて何やら店員に地図を見せているので現在地を確認しているのだろうと思っていたら、どうもコースが違うとのこと。え〜っ!!
ラーメン屋に入って良かった!そのまま真っ直ぐ行ってしまうところだった。正しいコースを教えてもらい、注文したものを食べてから長岡市内へ向かいました。
(長岡駅前の大手交差点 CP22 451キロ、5日01:50)

10キロほど行くと国道8号線に出ます。ここからが長い!直線で北へ北へと進む。
(三条大橋 CP23 474.3キロ 06:54)

新人の中西悠さんが新潟に帰郷しているので、三条大橋過ぎてゴール20キロほど手前から並走した。
飲み物とおにぎりをありがとうございました。(お父さんの作ったみそ味おにぎりが最高でした)
並走中にお話しもでき長い道のりも気持ち的に早く通り過ぎることができました。

(大野大橋 CP24 501.7キロ 13:23)
河口から4キロ弱折り返したところにゴールがあります。
大野大橋から4キロで信濃川土手に上がり、しばらくすると対岸にゴールの「ホンマ健康ランド」見えますが、タイトルの「川の道」にこだわり荒川河口から信濃川河口(太平洋から日本海)、一旦河口まで行って折り返すことになり。ここはラストランですね、気持ちは高まります!

驚いたことに河口の折り返しに「女将さん」が応援に来ていたのです、こんな遠くまで、私を見つけ思いきりハグしてくれました。
(日本海 CP25 509.5キロ 15:17)
残り4キロ、対岸の河川敷を上流方向へ、小雨が降っていたがウインドウブレーカーを外しナンバーが見えるように整えゴールテープを切りました。
(ゴール 513.2キロ 16:08)
記録 127時間08分07秒
完走 48人中30位

大会中たくさんの方からメールなどで応援いただきました、そして皆さんが私の通過タイムなど気にして掲示板などで情報を待っている。それを知って途中で止める訳にはいきません。その多くの応援がゴールまで私を導いてくれたと思っております。応援ありがとうございました。

フルを経験してハーフとの違いは、ハーフの延長線で時間が長いだけで同じでした。

睡眠は3ヶ所のレストエイドで取れます。1番目は群馬県上野村の「まほーばの森」、2番目は小諸の「グランドキャッスルホテル」、3番目は津南町の「鹿渡館」。それぞれの睡眠時間は3時間、3時間、2時間。これ以外は走行中に眠くて走れなくなったらその都度適当な場所で座ったまま5〜10分程度の仮眠。
このような繰り返しですが、一番厳しく辛かったのは寒さでした。
少し寝るのはいいが目が覚めると身震いがするほど寒く、動かなければ更に冷えるので必死に動き徐々に温まることができます。

メモ
主な通過地
葛西臨海公園→戸田彩湖→鴻巣→熊谷→寄居→秩父群馬県志賀坂峠→上野村「まほーばの森」→ぶどう峠→小海町→佐久市→小諸→上田市→長野市→飯山市→小千谷市→長岡市→三条市→新潟市

今年は雪のため通行できない場所があり、コース変更のため6.8キロ距離が短くなりました。

ゴールを含めチェックポイントが26ヶ所あり、カードにタイムを記入する。

4月30日から5月5日到着まで、レストステーション3ヶ所の睡眠時間と滞在時間
睡眠時間 3 + 3 + 2 = 8時間
滞在時間 5:50 + 6:33 + 3:56 = 16時間19分
count: カウンター