2014佐渡国際トライアスロンAタイプ参加記録
一覧へ戻る
2014年9月7日
  徳山 一
◎初めに
 9月7日日曜日開催の佐渡国際トライアスロン大会に参加した。今回千代田走友会からはAタイプ(スイム3.8キロ、バイク190キロ、ラン42キロ)に僕。
Bタイプ(スイム2キロ、バイク105キロ、ラン20キロ)に高橋登美子さんの参加です。

 おお!国際がついているすごい名前だ。もっとも宮古島ではかなり見掛けた外人さんは殆どいない。
 僕は今までBタイプには2回参加したがAタイプの選手の勇姿に憧れ(いつかAタイプに参加したい。あの人たちと並びたい。)と思った。それから2年続けて抽選はずれ3回目にやっと参加できる事になった。
 参加人数は今年からAタイプは1000人。Bタイプは800人。リレーが100チーム。
リレーはBタイプと同じコースだ。
 Aタイプの制限時間は15時間30分。予定としてはスイム1時間20分、バイク8時間10分(着替え10分含む)ラン6時間とする。今年4月の宮古島トライアスロンのランは暑さにやられ5時間50分かかった事を考えればギリギリで余裕は無い。
 タイムがギリギリなら怖いのはトラブルだ。最近バイク練習中のパンクが続いているので前後輪共にタイヤ、チューブを新品にした。何とかパンクしませんように。

◎9月6日(土曜日)
 朝、6時前にバイクを詰め込んだ輪行袋を担ぎ亀有の自宅出発。上野より7時6分の上越新幹線で新潟へ。新潟駅では同じように輪行袋を担いだ人が増えてきた。新潟駅から新潟港までは路線バスで移動。輪行袋が大きいので肩身を狭くしてバスに乗る。肩身を狭くしても荷物は小さくならない。

 やっと新潟港に着き一息ついてジェットフォイールで佐渡島へ渡る。シートベルト着用で飛行機みたいだ。1時間ちょっとで11時20分に佐渡は両津港に着いた。
 さて両津港でいつものラーメンを食べる。これからひと仕事あるので、まだビールは飲まない。
 いよいよバイクを組立てて調整をする。
 東海岸の両津からレーススタート地点西海岸の佐和田まで途中ランコースを下見しながら国中平野をバイクで自走する。
 ランコースは今までバイクやBタイプのランで走ったことがあるので大体の状況はつかめた。きつい坂は無いがゆるやかな坂がある。この坂をどれだけ歩かないで行けるかが鍵だろうな。
 行ったり来たりしながら31キロほど走り大会会場の佐和田に到着。
 スタート会場の海岸に行くとスイムのブイも設置済みだ。おお!明日はここからスタートだ。ここに制限時間内に帰って来られるか。心は弾むがちょっぴり不安だ。
 と、そこでショップのツアーで来ている高橋登美子さんに会う。相変わらず元気そうで調子は上々の様子。僕は若干弱気。
 そこから受付とレース説明会会場のあるアミューズメント佐渡にバイクで移動。
 受付に行くと選手がたくさんいる。みんなガッチリした体をしている。ここに来るといつも自分が場違いなところにいる様な気がする。
 ビビっちゃいけない。貫録なら若い者には負けない。何しろ還暦前だもんね。
 受付をしてレースナンバー等を貰う。おお!憧れの赤ナンバーだ。Aタイプは赤。Bタイプは青なんです。
 15時からの開会式と、16時からレース説明会に出る。レース説明会には選手は必ず参加しなければならない。
 これがビールの前でウズウズしている宮古島トライアスロンと大違い。地域性なのかな。
 さて、やっと旅館の「浦島」までバイクで移動。部屋に入り荷物の整理とレースナンバー付けをする。トライアスロンは用具がたくさんあり面倒だ。相部屋は僕を含めて5人。
 準備完了し風呂に入ってサッパリして夕食を取る。ボリュームたっぷりだ。やっと飲めるビールが美味しいぞ。
 明日の準備の再チェックをして20時半には就寝。明日は長い一日になる。

◎9月7日(日曜日)
○レース前
 3時30分に起床。普段よりぐっすり眠れた。
 朝食をとり4時15分頃には宿を出発。約1キロ離れたスタート会場まで用具を担ぎバイクに乗って会場へ。まだ外は真っ暗だ。
会場に着くと照明が煌々と点いている。バイクをラックに架け、会場の受付で腕にナンバリングをしてもらい、シューズ・ジャージ等用具をセットして準備完了。
 スイムゴールからバイクラックまでのルートをしっかり確認する。
 佐渡のナンバーは年齢順なので周りの人は同じ年の人ばかりなので話し易い。
 ウエットスーツを着込み試泳する。まだ6時前のせいか袖なしウエットスーツには若干冷たく感じる。泳ぎ始めれば暖かくなるだろう。

○スイム
 Aタイプスイムは1.9キロの三角形コースを時計回りに2周し途中1回上陸する。
Bタイプは2キロを1周だ。
 AタイプとBタイプはコースが重なるので小さなブイがたくさんあり、どう泳ぐのかさっぱりわからない。まあ、先頭を泳ぐことはないから大丈夫だろう。
 Aタイプスタートは959人。スタート前にも拘らず何故かテンション上がらない。不安のほうが大きい。
 だけど僕のスイムは決して遅い方で無いはずだ。しっかり戦おう。
 6時。合図と共に一斉にスタートする。僕はアウトコースの真ん中ぐらいからスタート。
 30秒くらいでスタート地点を通過して泳ぎ始める。周りの選手の腕、足がバシバシ当たるが気にせず泳ぐ。
 水底はまだ少ししか日が射さないせいか暗い。750mで第1ブイがありターンするがここに人が集中するため酷いことになるがバチバチ泳ぐ。まったくグーで泳ぎたくなる。
少し選手がばらけてくると隙間を見つけて泳ぐがまだまだ大変。
ふと咽喉元に水圧を感じた。斜め前の選手がヘッドアップした際、平泳ぎキックをしたようだ。まともに咽喉に食らったら一発で撃沈だった。危ない危ない…。
 そこから600mで第2ブイをターンすると朝日に向かって泳ぐことになる。 
 ここは太陽がまともに目に入り目標が見えなくなるので周りの人の方向をよく確かめる。
さて1周1900m泳いだところで1回上陸して再度スイムスタート。上陸して飲む水がとても美味しい。後ろを見るとまだまだたくさんいる。
 2周目になるとかなり選手の間隔があいてきて泳ぎやすくなってきた。スイスイ泳いでタイムを上げようと思ったが、タイムは1周目の方がよい。これは集団で泳ぐための水流のせいか?
 第1ブイから第2までの間で少し波のうねりを感じる。ブイは見えるがなかなか進まない。
  それでも第2ブイを周ると今度は曇っていてスイムゴールが若干見える。
 そして手が砂につくまで泳ぎ上陸。スイムゴールまで走ってスイムアップ。

・スイム 1時間19分53秒 311/955人 

○バイク
 さてバイクラックまで走る。おお!まだバイクはたくさん残っているぞ。
ウエットスーツを脱ぎバイクパンツ、バイクジャージを着てヘルメットをかぶり、バイクシューズを履いて出発。
おっと!忘れちゃいけない自転車乗りの弟に勧められ、大枚はたいて買った磁気ネックレス。
「溺れる者は藁をも掴む」
「ビビる徳山磁気をも掴む」
 効用があるのかは14時間後に判る。
 バイクコースはAタイプが佐和田から時計回りに佐渡島を1周する190キロ、Bタイプは南半分を周る105キロのコース。エイドでは2回ストップの予定。
 さて苦手のバイクスタートだ。
 バイクのスタートはいつもテンションが上がる。ペダリングは踏み込まずに軽いギアで廻す。
 ところがメーターのペダル回転数が表示されない。センサーがずれているのか、大事な時はいつもこれだ。
バイクコースはいきなりきつい坂が続く。結局海岸線以外はほとんど坂という感じだ。
 後続のバイクにはドンドン抜かれる。なまじスイムのタイムが良かったので、バイクの速い選手が後ろにはたくさんいる。いつもは10人抜かれても1人位は抜けるものだが今日は全く抜けない。
 尖閣湾などのある佐渡の西海岸は景色が良いはずだが見る余裕もない。
 65キロくらいで中川さんの故郷の五十浦を通過する。
 五十浦からは最初の関門、高低差130mのZ坂が見える。気合入れていくぞ。見た目は凄いが勾配はたいしたことはない。まだまだ元気だ。どんどん登るぞ!
 平地ではばらけていたバイクが登りでは混み合ってくる。バイクも安定していなくふらついているので注意が必要だ。
 Z坂を上りきると1車線の細い下り道が続く。ここは後を気にしないでゆっくり下る。
落車したら何にもならない。
 ここを降りきると次は高低差100m大野亀の坂が続く。何とかここもクリアし佐渡島の北端を廻り東海岸に出る。
 それにしても佐渡はトンネルが多い。新しいトンネルは広く照明も明るいが古いトンネルは暗く狭い。ライトとリフレクターはつけっ放しにする。
 給水はエイドが空いているところは走りながらボトルを貰うが、混んでいたら一旦止まってボトルを貰う。昨年ボランティアの人がバイクと接触して入院したとか。気を付けないと。
補給食はパワーバーとパワージェルのみなのでいい加減に飽きてきた。おにぎりが食べたい。
 ここで最初のエイド、129キロ地点の豊岡ASに入る。ここまで5時間以上、給水以外はノンストップだ。
 バイクを降り一口おにぎりとバナナを食べ、給水ボトルを貰って早々に出発。
 さてここから小木までは大した坂はないが小さな坂は切れ目なく続く。平らな所は海岸線のみ。
 その海岸線もどこまで行っても向かい風の感じでスピードが22,3キロ位しか出ない。あまり進まないので眠たくなる。こんな事もあるのか。
 161キロの小木ASに入る。一口おにぎりとボトルの補給をして出撃。残りは29キロだがまだ恐怖の高低差140mの小木の坂がある。
 小木の坂は3回目だが161キロ走って高低差140mの坂は本当につらい。特にいきなり最大斜度なのでなおさらだ。
 最初の坂を登り切れば何とかなる。時速は8,9キロ位か。
 ここは残り少ないストックの根性を出して登るぞ!これを越えて海岸線に出たらもう一つ登りがあるがあとは海岸まで下りが続く。
 このあたり、残りの距離から計算するとバイク予定の8時間10分を大幅超過になりそうだ。やばいランタイムが少なくなってしまう。
 最後の坂を下り真野湾沿いに出ると。おお!待望の追い風だ。30キロ超でドンドン走る。今のうちに少しでもタイムを挽回したい。
 八幡館を過ぎるとランに入った選手とすれ違う。
(この人たちは完走ペースだよな。俺はどうなるんだろう。)と他人事みたいに考える。
 とにかくここまで来たぞ。佐和田の商店街に入りバイクフィニッシュ。バイクラックまで走る。
 バイクラックには自転車がたくさん戻ってきている。そうだよな。あれだけ抜かれたもんね。
自分のラックにバイクを架け、バイクシューズをランシューズに履き替え、キャップをかぶる。
隣のラックの人に「行ってきます!」、「行ってらっしゃい!」と声を掛け合いランスタート。

・バイク 8時間25分31秒 821/912人 通過順位766
 バイク実走 188.4キロ、8時間9分35秒、最大時速54.8キロ、平均時速23.1キロ

○ラン
 ここまで既に9時間45分経過したがこれで終わらないのがロングのトライアスロン。まだフルマラソンがある。ビールはまだまだ先だ。
 ランはAタイプが変形Tの字の42.2キロ。2回折り返しがある。Bタイプは畑野ASで折り返しの20キロのコース。
 ランタイムのリミットまで5時間45分。予定の6時間より15分足りなくなってしまった。
 現在15時45分。思ったより若干涼しいので少し楽になる。だけど今は9月初旬。エイドでは水をかぶり、キャップには氷を入れて走る。
 ランスタートして5キロくらいで何か変な感じに気づく。あらあら!バイクパンツを履いたままだ。
実はバイクの際、ランパンの上にバイクパンツの重ね履きをしていて、バイクフィニッシュの時にバイクパンツを脱ぐ予定だったのに脱ぎ忘れてしまった。
このまま37キロをお尻に大きなパットの入っているバイクパンツ履いたままでは走りにくいので考えた末、次のエイドで捨てる事にする。
バイクパンツを脱いだら、かなり体が軽くなったような気がするが(買って3年だし…。)(いくらだったっけ…。)といつまでもウジウジ考える。これで完走できなければ後悔がまた一つ増える。
 6キロ位に名物の行燈がある。まだ日が明るいが帰る頃には真っ暗な所に灯りが入っているだろ。だけど、ここまで帰ってこられるだろうか。
 スタートから1時間10分位で10キロの畑野ASを通過する。ここまで順調だ。うねるような坂が続く。
 突き当りの神社を左折するとすれ違う選手の数も増えてきた。まだ明るいが15キロの皆川ASで反射たすきを渡される。
 やっと最初の折り返しが来た。ハーフポイントまで4.5キロ。まだまだ先が長い。
 ランのエイドは1.4キロから3.7キロ間隔。とにかく次のエイドの辿り着くことだけ考える。エイドで水をかぶるのだけが楽しみだ。
 18時25分頃ハーフ地点を通過。ここまで約2時間40分経過した。残りは約3時間5分だ。
かなり暗くなってきた。ここまで走り続けてきたが22キロから28キロ辺りが本当に辛くて、少し歩きを入れ始めた。
 ところが、とうとう動けず電柱に手をついて1分位ボーッとしていたら審判車が通りかかり「大丈夫ですか。」と声をかけてくれた。ハッと目が覚めたら
 「まだ時間あるから頑張って下さい。」との事。
 「ハイ!」さあ、走り始めたら足が何故だかとても軽くしばらくはドンドン抜いていける。1分休んだだけでも効果があるものだ。
 3年前の「行列」の佐渡トライアスロンで安田美沙子が捕獲された残り10キロの畑野ASにたどり着く。ここまで来て捕獲じゃ本当に悔しかっただろうなと思う。(俺は完走するぞ!)
 残り約6キロで行きに明るかった行燈を通過。今では真っ暗な中に灯が入っていてとてもきれい。
 この辺りは田圃の真ん中で本当に真っ暗だ。所々にある投光器だけ明るい。
さて残り5キロの金丸AS到着。残り時間は50分。周りの選手と「ここまで来たら完走しよう!」と声を掛け合う。
 ゴール前1キロ位から佐和田の商店街に入り急に明るくなる。人も増えてきた。
 名前がコールされて間もなくゴールの競技場に入る。競技場の照明はとても眩く、たくさんの人とすごい歓声。
(ああ、やっと終わる)
 走路横から伸びる手とハイタッチしながらゴールに入る。
(終わった…。)

完走メダルを掛けてもらい、芝生に座り込んで先にゴールした人と話し込んでいたら最後の選手がゴールした様子で歓声が一段と湧く。21時30分になったと同時に走路の照明が消え花火が盛大に上がった。
(ここで花火が見られて良かった。)
長い一日が終わった。

・ランタイム  5時間34分36秒  598/782人
 総合タイム  15時間20分00秒  745/782人(内女性67人)

Bタイプ・高橋登美子さんの記録
・スイムタイム( 2キロ)  40分17秒 246/716人
・バイクタイム(105キロ) 4時間12分05秒 393/707人
・ランタイム ( 20キロ) 2時間22分00秒 461/702人
総合タイム 7時間14分22秒 394/702人(内女性126人)
高橋さんは3月に骨折した足が完治しない中でのタイムでした。次の大会でのさらなる活躍を期待します。

◎終わりに
宮古島トライアスロンでも同様に感じましたが、ボランティアの方と住民の方々の全島を挙げての応援がとても暖かく嬉しかったです。ただ僕が疲れ果て、応援に声を出して応えることができなかったのが残念です。お礼の言葉も出せなかったのが情けなかったです。

いつもバイク練習で120キロ位を超えると首、肩が痛くなるので弟に勧められ磁気ネックレスを着けてみたのですが、あら不思議ほとんど痛みは感じませんでした。
完走できたし効用はあったのでしょうか。取りあえず「お守り」としましょう。それにしてもバイクで455人に抜かれたのは抜かれすぎですね。もっと練習しないと。

これで僕も「アストロマン」になれました。えっ「アイアンマン」じゃないのって?
よく聞かれますが世界各地で開催されている「アイアンマン」の冠が付いているレースで完走しないと「アイアンマン」にはなれません。登録商標みたいなものでしょうか。
日本では8月に北海道洞爺湖で開催される「アイアンマン・ジャパン北海道」(スイム3.8キロ、バイク180キロ、ラン42.2キロ、制限時間17時間)だけです。但し参加費が高くて僕にはハードルが高いです。
ちなみに宮古島トライアスロンは「ストロングマン」。五島長崎トライアスロンは「バラモンキング」です。老舗の皆生トライアスロンには称号は無いみたいですね。

何度か(こりゃ、無理かな。)と思う時もありましたが、とにかく諦めないで完走できたのはうれしいかったです。応援して戴いた千代田の皆さん。有難うございました。

レース中は(誰がこんなコース考えた。二度と来るもんか。)とも思いました。
さて、完走ポロシャツを貰いに行ったら僕のサイズのMがもう無くなっていました。
仕方なくLサイズを貰いながら思いました。
(これって来年はもっと早くゴールしろ。って言う事かな…。)

count: カウンター