川の道フットレース2018 参戦記
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2018年4月30日-5月5日
  千代田走友会 大竹 祐人

 東京湾から日本海までの514kmを駆け抜ける第14回日本横断「川の道」フットレース(4月30日〜5月5日開催)に参戦してきました。今回は自分だけの永久ゼッケンを付けて大谷さんと森岡さんともう一度完走したい!そう思い2度目の514km挑戦を決意した。
 2年前に完走はしているが、ゴールは決して簡単なものではない!必要な荷物を背負い、猛暑の河川敷から極寒の峠越えや先の見えない直線路で幻覚と闘う。暴風雨の洗礼を浴び、睡魔と闘い、痛みをこらえ、ひたすら日本海を目指す。参加者の様々な想いが一本の道を作り、そして戦士になる。誰がつけたか「川の道戦士」。僕も永久ゼッケンをつけた真の戦士になるためにスタートラインに立った。【スタート 葛西臨海公園 0km 】
彩湖
 今回も体力温存、睡眠時間確保のためにシーサイドホテルに前泊し8時15分ごろに葛西臨海公園に到着。出走確認し、荷物を預けて準備完了。すでに多くの仲間たちが到着していた。千代田走友会のメンバーも応援に駆け付けていただいき、途中まで山岸さんは併走をしてくれた。正直嬉しい。スタート前は、ランナーより応援が多いくらい。とても賑やかだった。全員で記念写真を撮影し、9時のスタートを切った。走路が工事中のため歩きながら進む。荒川河川敷では追い風があり気持ちよく進めたが、風を感じず気温が高く暑い。体温や心拍が上がりすぎないように、ペース調整しながら距離を稼いだ。途中から新たな千代田走友会メンバーが応援ランに駆けつけてくれた。20名を超える大応援団。皆さまの激励や差し入れが大きな力となった。
【CP1 彩湖 39km 】
 CP1彩湖手前で、千代田応援ランのメンバーと別れ少し進むと辻さん、池田さんをはじめ多くの仲間が応援ランに駆けつけてきてくれた。本田エアポートまで並走する。改めて大谷さんと森岡さんの人望の深さを感じた。
【CP3 桜堤公園入口 67.5km】
 ここまで来ると陽が落ち暗くなる。暑さがだいぶ落ちつき風が少し出てきた。エイドでは、暖かいみそ汁とおにぎりをいただきエネルギーを補給。大谷さんも森岡さんもまだまだ元気だったが、スピードが落ちてきた。この先はライトを持って走る。大谷さんと森岡さんは、いつも熊谷のジョナサンで休憩し体力を回復させる。足の遅い僕は、足手まといにならないよう少しでも歩を進めるために大芦橋手前で2人と別れて先行した。次のレストポイントで落ち合う約束を交わす。
【CP5 熊谷警察署前交差点 89.1km】
 熊谷警察署に着くころには深夜0時を超えていた。寄居までの長い道のりを睡魔と闘いながら、ひたすら前進。前を進むランナーのバックライトをひたすら追っかけていく。歩道が狭くて荒れていて走りにくい。2年前はここで板倉さんから深夜のメールが入り励まされた。今年は板倉さんのメールを思い出しながら意識を繋いだ。黒田交差点を超えて、久しぶりのコンビニに入ると遠藤美樹さんに追いつく。昨年のリベンジを果たすべく今大会完走への思いは人一倍強い!お互い疲弊していたが、互いに元気を分け合った。
【CP6 波久礼駅前T字路 110.9km】
 波久礼のCPは今年からエイドがなくなり、先の私設エイドを頼りに歩を進めたが、すでに片付け準備の真っただ中!自分の到着が遅かったらしい。でも水分補給をさせていただくことができた。水がなくなりかけていたので助かった。そして、1回目の夜が明ける。ライトを消し長瀞トンネルの脇道を進む。このころ、股擦れと足裏が痛くなりはじめた。そして、左目にはモノモライが発症!眠気もピークを迎える。
【CP7 秩父市上野町交差点 132.8km】
両神荘
 ここから先、ぶどう峠までは自分にとって初めての道。2年前はこまどり荘からの十石峠。期待に胸膨らませ前進。期待と裏腹に灼熱の太陽がジリジリと登ってくる。暑い!暑すぎる!そして足裏が焼けるように痛い。足の炎症と熱いアスファルトに体力を削られる。日陰を探しながら一歩一歩進むしかなかった。そして、しばらく鳴らなかったラインの着信が入った。大谷さんからだった!二人とも元気に前進をしているとの事。自分も頑張らなきゃと気合が入る。しかし、進めど進めどレストポイントにつかない、ひたすら我慢のランが続いた。やはり、暑いのは苦手だ。
【CP8 両神荘 151.8km 】
 贄川の交差点からかなりの距離を感じたが、ようやく昼頃に最初のレストポイント両神荘に到着。順位は後ろの方、先行ランナーの荷物が大量にあった!寝床が空いているのか心配だったが、先に入浴して、カレーをいただく。何とか寝床を確保し、体力回復の為に布団に入るが珍しく眠れなかった。疲労とダメージが抜けないまま時が過ぎた。そして、大谷さんから連絡が入る!「もうすぐで到着!」嬉しかった。約束通りの合流。関門時間には間に合いそうだったがギリギリだった。僕よりも長く灼熱の秩父を通過した二人は、疲労ながらも笑顔だった。二人から元気をいただき再スタートを切った。
【CP9 志賀坂トンネル入口 174km】
 ここから志賀坂峠とぶどう峠の山越えが始まる。漆黒で極寒の夜を覚悟した。ここから80kmほどコンビニが無い区間が続く、最後のコンビニで食料をザックに詰め込んだ。足のダメージが抜けず上りは早歩きで距離を稼ぐ。満月で月明かりが明るくハンドライトの電気を消し星空を楽しんだ。
 この峠越えで多くのランナーに追いつき追い越す。みんな疲れている。でも追いついた。どうやら僕の登りが速いらしい。走るには痛いが早歩きは可能だった。闇夜のうねり道、木々の風きり音、動物の鳴き声、一人で走るのは怖かったが鼻歌を歌いながら気を紛らわす。
 ようやく志賀坂トンネルの入り口に到着。トンネル向こうから冷たすぎるくらいの風が吹いてきた。持てる防寒着を全て着込み県境を越える。ここから長野県だ!トンネルを出て右に入ると左のガードレールから物音がした。「ガタッ」びっくりしてライトを照らすとそこにはツキノワグマが!!僕よりもクマの方が驚いたようだ!あっという間に逃げ去ってくれた。でも怖い!姿が見えないのを確認して、足が痛いのを忘れて全力で峠道を下って行った。その後もニホンカモシカ、シカ、タヌキなど様々な動物が目の前を横切った。深夜の峠道。動物たちのテリトリーにいるのは僕たちだった。
【CP10 ぶどう峠 207.8km】
ぶどう峠
小海大橋
小諸グランドキャッスルホテル
 必死の下りも眠気には勝てず蛇行を開始。このままではいけないと思い寝床を探した。運よく扉つきのバス停を発見し15分ほど仮眠をとる。起きて出発をしようとした時には気温がだいぶ下がり風が強くなった。寒い。その後、ぶどう峠入口の川の駅で私設エイドの恩恵を受ける。砂漠の中のオアシスとは真逆ながらも温かいスープで心も身体も温まった。ずっとここにいたかったが、進まなければゴールが出来ない!気合を入れなおす。ここから本番の峠道だ!上り道はくねくねと長く、いつまでもCPにつかない。眠気と寒さに震えながら2回目の夜が明けていった。この峠は、行けども行けども同じ景色が繰り返し、ずっと登りが続く、頂上かと思ってもまだ着かない。この時、エリートランナーの梅澤さんが後ろから追いついた!あれ?梅澤さんは確か上位で先行しているはず。話を伺うと一度仕事のために帰ったらしい。外れたポイントから再復帰。完全に超人だ!梅澤さんは急坂を足軽に駆けていった。強者は川の道をめいっぱい楽しむ。僕もそんなゆとりを持ってみたい。気持ちが折れかける寸前にようやくCPへたどり着いた。頂上には私設エイドがあり、暖かいうどんをいただくことが出来た。生きかえる。助かった。写真も撮っていただき嬉しかった。何よりも人と話をすると元気が出た。
 ここからは長い下り道、足のダメージを最小限に抑えながら先に進んだ。麓に降りてからも長い道のりが続く、小刻みに上り下り、同じ風景の連続。自分と同じペースのランナー瀬川さんの背中を追っかけていく。眠気と闘いながら、非情にも雨が降り始めた。
【CP11 小海大橋交差点】
 食料が尽きかける寸前に小海大橋に到着。ここでも2組の私設エイドにお世話になった。1組は瀬川さんの奥様。サポートカーで終始旦那をサポート。中盤同じペースのため瀬川さんの奥様にはかなり助けていただいた。ありがたい。そして、国道141号を北上する。歩道が荒れていて道が狭く交通量が多くて怖い。つまずいて転ばないよう集中して走る。大谷さん森岡さんがリタイアしたポイントはこのあたりだ。その後、久しぶりのコンビニを発見し、ガッツリと牛丼を食べる。米がおいしい。さらなる力を蓄え前進した。
【CP12長土呂南交差点 251.7km 】
 長土呂までの直線がこれまた長くて小諸が遠い。単独だと単調で眠くなる。景色や看板を見ていると眼科の看板を発見!モノモライが悪化していたので目薬をもらうために診療できるか電話をしてみると、午前中で終わりのようだった。残念。諦めきれず周辺の眼科を片っ端から電話したが、全部午前中で終わっていた。自分の脚の遅さを悔やんだ。そして、佐久を過ぎた辺りで5人くらいの集団に抜かれた。慎ちゃん和ちゃんや小タイガーのグループだ!このグループは超人ランナーの集団。道中ビールを飲みながら軽快に走る。酔っぱらってあのスピードは超人としか思えない。憧れる。
 雲が多くなり、雨が強くなる。本降りの雨だ。レインウエアを上下に着こみ力を振り絞る。ここで大谷さんから連絡があった。まだ走っていると。気持ちも高ぶり引き続き前進した。しかし、長土呂近辺は押しボタン式信号が多く、押さないと信号が青に変わらない。ずっと待っていて信号が長いなぁと思っていたら押しボタンだった。ということが数カ所あった。足止めをくらう。CP手前のコンビニで食料を買い込むと慎ちゃん達のグループがお酒を飲んでいた!やはり凄い!
【CP13 小諸グランドキャッスルホテル 259.6km】
 第2レストポイントの小諸グランドキャッスルホテルにようやく到着。入浴して、布団に入る。天気予報は豪雨だった。少しでも雨を避けるために長めの睡眠をとった。4時間ほど睡眠をとって起床する。目が覚めると大谷さんたちが気になった。スマホをみると大谷さんから連絡が入っていた。「リタイアしてタクシーで向かう」と。インナーマッスルが疲弊して身体か傾き真っ直ぐ走れなくなった大谷さん。疲労と幻覚と闘った森岡さん。ギリギリまで頑張った末のリタイアだった。大谷さんたちを探すとロビーのソファーで寝ていた。僕が探しやすいようにここで待ってくれていたのだ。肉体の限界まで頑張った2人に最後まで一緒に走れなかった自分を悔やんだ。しかし、ここで諦めるわけにはいかない。大谷さん森岡さんの想いを引き継ぎ、進む決心を固めた。
 満身創痍の2人が僕の出発を見届けてくれた。絶対に完走する。完走しなければいけない。深夜2時ごろ雨やまぬ闇夜だが、次のレストポイントに向けてスタートをきった。
【CP14 上田城 278.2km】
 3回目の夜が明けるころ上田城に到着。しばらくすると雨が止み、雲の切れ間から太陽の日差しが強く差し込み始めた。湿度が高いまま気温が上昇し、走るには辛い状況に。昼にかけて晴れ間が広がり灼熱のロードとなる。並走する千曲川が雄大で美しいが、猛暑が体力を奪い、スピードが上がらなくなった。身体をケアしながら一歩一歩距離を重ねた。
【CP15 篠ノ井橋北詰 302.3km 】
 暑さがピーク、コンビニで凍ったアクエリアスを購入しアイシングを開始。ここで出会った出口夫妻も満身創痍だ!お互い励ましあいながら次のCPを目指した。
【CP16 善光寺 316.5km 】
善光寺
 川の道後半は何度も駆け抜けた道。地図を見なくとも目の前の景色で自分の居場所を把握。慣れ親しんだ道を駆け抜けると昼過ぎに善光寺へ到着できた。ここはいつ来ても風情があって良い。参道には多くの参拝者。道行く人に応援していただく。「川の道頑張ってください」と!このレースの認知度もかなり上がっているようだ。ここは歩きながら善光寺の雄大な雰囲気を楽しんだ。
【CP17 浅野交差点 330.9km】
 浅野交差点までの直線は別名アップルロードと呼ばれ、リンゴの木々を見ながら風景を楽しむ。このあたりで後半ハーフを走る先頭ランナーに抜かれ始める。シブシブにはここで抜かれる。スタートから60kmは過ぎているのに皆軽快に駆けていく。羨ましさを感じた。CP浅野交差点に到着すると瀬川さんの奥様エイドが!身体を温め4回目の夜に突入する。バイパスと旧道の分かれ道で、左足太ももに違和感を覚えた。かなり痛い!筋肉痛の痛みではない。ズキズキと痛みが突き刺さる。これは肉離れだ。まずい。少し休憩をとり足をマッサージして様子を見るも効果なし。しかし、ここでリタイアするわけにもいかない。歩きでもいい。前に進もう。身体が冷え行く中極寒のロードに進む。途中バイパスのアップダウンが半端なく、さらに体力が奪われていった。
【CP18 飯山駅 347.8km 5/3 3:05】
 飯山駅に到着後、風が強くなり、とにかく寒い。コンビニでホッカイロを三個購入、飯山駅で仮眠し身体を温めた。いつまでも止まっていられず前進するも、走れなくなった足をケアしながら、精神が崩壊していった。とにかく寒いこのまま死んでしまうかも!氷点下ではないが凍死を覚悟した。きっと死ぬほどの寒さではない。でも精神状態が不安定になり。急に涙が出始めた。笑い始めた。精神の限界点を超えていた。気が付いたらいくつかの私設エイドをスルーしていた。夜の千曲川は僕を非情にも座笑う。
 気が付くと、フラフラになりながら1件の旅館のドアを叩いていた。明かりがついている。女将さんらしき人が出てきた。「どうしました?」「体が冷えて凍えそうです。玄関で座らせてください。」とお願いをしている自分がいた。女将さんはが「こっちに空きがあるからどうぞ」と中にいれてくれた。「なんでこんな夜中に走っているの?」大会のことはどうやら知らないらしい。川の道フットレースの事を話すとそっと布団を引いてくれた。「そのままでいいからここを使いなさい。」女将さんの優しさに涙が溢れた。お金払いますと言うと「1,000円でいい。」と・・優しさに甘え1時間ほど暖かい布団で眠ることが出来た。挨拶も出来ないまま置手紙をし、宿を後にした。この女将さんの優しさは一生忘れない。改めてお礼に行こうと心に決めた。
外に出ると4時を過ぎていた。崩壊した精神と肉体疲労が一気に回復している。足が軽い!ゆっくりだが走ることが可能になった。横倉トンネル、高倉トンネルは幻覚の宝庫だが、今回は幻覚が見ることはなく川の道コース難所を乗り越えた。
【CP19 三箇小 393km】
 レストポイント手前でコータローさんと藤原貞子さんに出会った。二人とも速いランナー。藤原さんは歴代優勝者。コータローさんは、途中で温泉に入り食事とビールをたしなむ強者。今回初めて永久ゼッケンを狙う!2人に別れを告げ第3レストポイントの旧三箇小に到着した。スタッフが暖かく迎えてくれる。ここは新設後すぐに廃校になり、設備は新しくてきれいなところ。湯船はないがシャワーを浴びて睡眠をとる。旅館で休めたので睡眠は短くすまし、カレーライス等で栄養補給。肉離れは痛むが、筋肉痛の影響はなし。足指・足裏5カ所に肉刺が出来ていたが水を抜いて処置をした。胃腸は元気。だいぶ遅れたと思ったが順位は上がっていた。ほかのランナーも苦戦しているようだった。皆からのフェイスブックに届いた応援メッセージを胸に刻み最終レストポイントをスタートした。このタイミングで竜ちゃんとすれ違う!竜ちゃんも疲労がMAXだ!
【CP20 魚沼橋南詰 421.8km】
 日差しが照りつけるなか国道117号を淡々と直進する。十日町の直線で、箱根往復ラン200kmで知り合いになった。ラン友の平賀さんに遭遇した。懐かしさのあまりハグ!そして握手!彼は後半ハーフに出場。フルに申し込んでいたが仕事が休めずハーフに!怪我の影響もなく軽快に走っていた。彼のスピードには追いつけず直ぐに別れを告げたが元気をいただいた。魚沼橋を越えるとアップダウンが続く、ひたすら走りながら最後の夜がやってきた。
【CP21 和田邸 437.2km】  
和田邸
日本海海岸
 疲労と眠気が襲い始めたころ和田邸に到着した。ここは元私設エイドだった場所。今では正式なCPに!豊富な食料とお酒で胃袋を満たしてくれる場所。和田さんの笑顔が素晴らしい。お酒も飲みたかったがゴールまで我慢をして出発。ここからは睡魔との戦いが続く県道498号線、直線が長く、信号間隔が長い。幻覚を見始める。光るものすべてが人影に見えた。いつも仮眠をとるバス停に先客がいて、なかなか仮眠が取れなかった。
【CP22 長岡市大手通交差点 451.8km 5/4 3:51】
 気温がだんだん下がる。寒さに震えながらようやく長岡に到着。持っている防寒着を全て着込んでも寒い。眠気と疲労で蛇行しはじめたのでひたすら歩き身体を温めた。長岡市街を歩く酔っ払いに声をかけられ、眠気がさめる。横を走るタクシーに乗りますか?と2度声をかけられたが丁重にお断りをした。ひたすら直線が続く、我慢の時間だ!進め!進め!長岡先のICにさしかかるころ、最後の朝陽が昇ってきた。「これが沈む前にゴールしなければ!」気合が入る!
【CP23 三条大橋南詰 474.9km】
 直線天国に突入。眠い僕には好都合だった。ただただ真っ直ぐ、半分寝ながら走る。いつまでも直線。疲労がピークを迎えるころ、大谷さんと森岡さんから励ましのラインが入った。「祐人頑張れ!」ありがたい!力が入る。太陽が照りつける中ようやく三条大橋に到着した。東海道を走っている渡辺健介に新潟の三条大橋の写真を送るとすぐに返事が来た。お互いの健闘を称えながら歩を進めた。
【CP24 大野大橋南詰 502.5km】
 引き続き直線天国。進んでも進んでも大好きな直線。応援ランの二人組に出会う!白根バイパスは風が強かったが幸運にも追い風だった。晴れているけど暑さを感じない。ウインドブレーカーを着こみ、とにかく進む。進んでいるつもりでもかなり追い抜かれた。みんな最後の直線で軽快に走る。僕はここで順位を少し落とすことに。途中、小林さんの私設エイドでお世話になり最後の力を振り絞る。
【CP25 日本海海岸 510.4km】
 手前のコンビニで祝杯用のビールを購入。夕陽にビールで乾杯!今回の川の道のクライマックスに決めていた行事だ。購入後心が躍る。痛めていた足も怪我も疲労もいつの間にか忘れて走り出していた。そしてついに!ついに!ついに!念願の感動の川の道岬に到着。涙が溢れる。手前に数人の人がいる。その中に飯塚さんと芹沢さんがいる!速いですねー?と声をかけたが、リタイアをしたとの事。蜂窩織炎で足を引きずり最後まで頑張っていたのだ。足が痛いのにここまで来て皆の応援をしてくれた。本当にありがたい!元気をいただいた。強風の中、岬で数枚写真を撮っていただき、念願の乾杯をおこなった。至福の瞬間だった。いつもまでも余韻に浸っていたい。でも、そうしてもいられない。あと残り3.6km最後の力を振り絞り走る。
【ゴール ホンマ健康ランド 514km】
 ホンマ健康ランドの曲がり角にはスタッフが手を振って待っていた。おめでとうの言葉にまた涙が溢れそうになる。最後の曲がり角を曲がると念願のゴールが見えてきた。嬉しい!感動のゴールだ!
 タイムとしては2年前を下回った。やはり2年前の大谷さんの支えは大きかった。大谷さん個人のタイムも超えていない。自分にとって永遠のレジェンドだ。写真を撮影し、館山代表と抱き合った。
 大谷さん森岡さんとの3人での完走は成しえなかったが、終始応援をいただき3人で走っている感覚だった。今回も人生で忘れられない5日間となった。また、スタッフの皆さん、私設エイドを出してくださった皆さん、ラン友の皆さん、すれ違ったランナーの皆さん、応援してくださった友人たちや、沿道の皆さん、すべての人に感謝申し上げます。

肉体、疲労、眠気の限界に立ち向かい、自然の猛威に挑む「川の道」。
身体が動く限り毎年、参加したい

ルート
東京湾・荒川河口(葛西臨海公園)→荒川遡上(戸田〜熊谷〜秩父)→上野村→信濃川下降(佐久〜小諸・千曲川〜信濃川ステージスタート〜長野〜長岡)→新潟市・日本海海岸→同市・ホンマ健康ランド。

タイム
129時間27分20秒
63位/127位

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