第3回みちのく津軽ジャーニーラン参戦記
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2018年7月14日-15日
岩木山に向かって 千代田走友会 大竹 祐人

第3回みちのく津軽ジャーニーラン263km(7月14日〜7月16日開催)に参戦してきました。この大会は第1回から参加してる僕の好きな大会。前回大会は、森岡さんと参戦するもCP今別ふれあい文庫150km地点で無念の関門アウト。今回は昨年のリベンジを誓い大谷さん森岡さんと親子三人で青森の地へ向かった!今年は心強い!

○レース前日昨年の反省を踏まえ、少しでも体力の温存と睡眠を確保するために前泊。弘前に夕方到着し天然温泉付きドーミーインホテルにて早い睡眠についた。

○レース当日チェックアウトギリギリまで身体を休め、ラン仲間からの誘いで昼食会場DOに向かう。そこで大谷さんと森岡さんと合流しカツカレーハンバーグ乗せを食べ英気を養った。そして、13時半から受付兼説明会へ。昨年は空調も効かずスタート前から脱水及び熱中症ぎみになったが、今年は弘前文化センターの快適な空調の中、スタート前の準備をすませる。

川の道514kmは完走しているが、津軽263kmのゴールは決して簡単なものではない!何よりも制限時間が短い。寝場所の確保も時間もないのだ。必要な荷物を背負い、灼熱の太陽に耐え、暴風雨の洗礼を浴び、睡魔と闘い、痛みをこらえ、ひたすらゴールを目指す。自分の成長と限界を超え、師匠の大谷さんの偉業に追いつくためにスタートラインに立った。
■7/14弘前公園東門17:00〜CP1嶽温泉19.4km 19:34
津軽太鼓のサプライズセレモニーに見送られ17時にスタート。長い道のりあせらず徐々にスピードアップをしていくが、湿度が恐ろしく高い。日差しは落ちかけていたが暑い!無風の中体力が削られていった。岩木山の夕焼けが雄大で見惚れる。通り過ぎるランナーと声を掛け合いながら距離を稼いだ。そんな中、師匠大谷さんの汗が尋常に無いくらい噴き出していた。心配だった。自分はそこまで汗をかいてない。しかし、大谷さんはランパンまでグッショリ汗で滴ってる。不安を拭えないまま日が暮れCP1嶽温泉に到着。ハンドライトを取り出し、闇夜の山間部へ走り出した。気温が高くないうちに距離を稼ぎたい。少しハイペースで県道3号を抜けていった。
■〜CP2日本海拠点館/鯵ヶ沢46.3km 23:30
日付が変わる前にCP2日本海拠点館に到着。切れかけた水の補給と給食をすませ入念な足裏マッサージをおこなう。昨年よりもタイムが速く気持ちに余裕があった。深夜でも気温が下がらず蒸し暑さは続いていたが、ゆっくりもしていられず次のCPへ向けて走り出した。そして、このレース初めてのコンビニを発見!次のコンビニまで相当な距離があるため、ここで出来る限りのエネルギーチャージをおこなった。
コンビニを左折し闇夜のストレートが続く。大谷さんの足取りが少しずつ重くなっていった。力が出ない。汗が止まらない。眠い。意識がもうろう。大谷さんが蛇行し始めた。
「祐人先に行ってくれ」
「大谷さん大丈夫ですよ。ゴールまで頑張りましょう!」大谷さんを必死で励ます。
尋常じゃない汗が噴き出す大谷さん。命の危険を感じた。
「大谷さん次のCPまで一緒に行きます。そこで、リタイアしましょう」
「まだ大丈夫だ走れる!」大谷さんの闘志は消えていなかった。
■〜CP3亀ヶ岡遺跡64.6km 2:51
霧雨かガスかわからないが辺り一面真っ白になり視界が悪くなる。そんな中眠さで蛇行しながらもCP3に到着した。腰を掛けて補給するも大谷さんの体調がすぐれない。
「祐人先に行ってくれ!あとから追っかけるから!!」
大谷さんの体調が心配だった。葛藤し悩んだ。
悩んだ末、レジェンド大谷さんの復活を信じゴールを目指した。
続く闇夜の津軽道、大谷さんの体調を心配しながらひたすら進んだ。
十三湖が見えてくると昨年の土砂降りを思い出しながら二日目の朝陽が登ってきた。
 
■〜CP4鰊御殿92.4km 7:13
ジリジリと気温が上昇!灼熱の太陽が、眠気を飛ばしてくれたが体力を奪っていく。
フラフラになりながら鰊御殿に到着。ここではシャワーを浴びて仮眠ができる。暖かいカレーとシジミの味噌汁で体力を回復させた。シャワーは男女交代制。自分の順番が来るまでデポした荷物から必要なものを入替えすぐに出発できる準備をおこなった。シャワーは冷水のみ!しかし、火照りきった身体には最高のアイシングに!生き返った!
仮眠をしている時間はなかったが、少しでも体力を回復させるために15分だけ横になった。仮眠をとっていると「おー間に合った!」大谷さんの声が聞こえた。慌てて飛び起きる!
体調は大丈夫との事。ホッとした!闘志も消えていない!5時間ぶりの再会を果たしたが、次の関門が迫っているため先にCPを出発した。
■〜CP5津軽の像記念館97.5km 9:05
雲一つない青空。日本海の絶景。気温の上昇が止まらない!脚はまだまだ動くがスピードが出ない!日陰を探しながら海岸線を進んでいく。龍飛に向けての最後のコンビニに到着。あまりの暑さにクラッシュアイスを購入。持ちながら走るのは大変だったが、首と頭を冷やす。溶けた水は、飲料用またはかけ水として活用した。ここからは、道に迷いやすいポイント地図を入念に確認し津軽の像記念館に到着。CPだがスタッフは不在。時間を記入しこのレース最大の絶景龍泊ラインを超え龍飛岬を目指す。
■〜CP6龍飛地区コミュニティセンター123km 13:13
ここからアップダウンが激しくなる。平坦と下りは走って、上りは歩く。登りに強い脚力を活かしスピードを上げていった。ここで多くのランナーを抜いていく!絶景を堪能しながら眺瞰台への急坂が立ちはだかった。見た目は壁。体力が削られるポイントだ!去年は暴風で真っ白。何も見えない。今年は大丈夫そうだと思った矢先に豪雨が降り始めた。慌ててレインウエアを着こむ。我慢のランが続く。眺瞰台が見え始めたころ雲が切れ、雨が止んだ。やっとの思いで頂上に到着。絶景に疲れが吹き飛ぶ!今年は、簡易エイド設置されていた。スタッフのたっつあんとじゃれ合いながら記念撮影もしてもらった。給水給食をすませ出発。標高が高いため風が冷たい。冷たい風が身体を冷やしていく。身体を温めるために長い下りでペースを上げたが、脚にダメージを蓄積していった。風車の風切り音が聞こえ始めるころ、津軽海峡冬景色の歌碑のある所にたどり着く。昨年よりいいペース。そのまま階段国道を下りたい気持ちを抑えて、階段を上っていき龍飛岬にたどり着いた。
感動の龍飛岬!余韻に浸る時間もなくCPへ急ぐ。
CPに着くと何人か仮眠していたので横になるが、ランナー同士の会話がうるさく眠れなかったので仮眠を諦めた。ここで大谷さんから電話が入る。「津軽の像記念館にスタッフがいないけど大丈夫か?」元気に走っている連絡を受けて安心した。走りに力が入った。
■〜CP7ふれあい文庫139.2km 16:21
港町の風景が永遠と続く道。風情溢れる津軽海峡とイカ釣り漁船を横目に次のCPへ急いだ。なぜ急ぐのかというと昨年の関門アウト地点だからだ。悔しさが1年続いた。昨年の自分を超えたい。疲弊した脚が復活していった。湿った空気が海から吹き付ける。軽快に距離を稼いでいった。
道迷いポイントを抜け念願のCPふれあい文庫に到着。関門予定よりも1時間早く到着していた。自分の成長に驚く。大谷さんもギリギリ前のCPに滑り込んでいた。
ここでカップラーメンとソーメンをいただきエネルギーを蓄える。出発してすぐ左側にある今別診療所を発見。昨年終電もなく朝まで過ごした診療所。ドアを開けてみると今年も待合所が使用可能だった。記念撮影をして次のCPへ進む。この時の写真が後程役に立つとは思いませんでした。
この頃、188kmに参加していた森岡さんからリタイアの連絡が!胸が苦しく日本海拠点館にて無念のリタイア。森岡さんの分も頑張らなきゃと力が入る。
■〜CP8道の駅たいらだて158.6km 20:10
目標を突破してから足取りが重くなりスピードは低下。気持ちが途切れる。このままではいけないと思い風通しのいい場所で10分だけ仮眠をとった。重い脚に鞭を打ち走り続ける。港町の風情溢れる集落が続く海岸線。アップダウンが多く登りで走れなくなり、歩く時間が増えた。だいぶ後続に追いつかれて、追い抜かれていた。ずっと海を左手に眺めながら、今年から初めての新コースを楽しむ。超ウルトラの醍醐味、大好きなラン、疲弊する身体、完全なランナーズハイになり。暗くなる道のりでスピードが増していった。
真っ暗になる頃、他のランナーの赤色灯を追っかけCP道の駅たいらだてに到着。
ここは、一番わかりづらかった。前のランナーがいなかったら完全にスルーしていたかもしれない。漆黒の闇に案内灯もなくCPの場所にもライトが灯っていない。どうやらトラブルらしいがウルトラにトラブルはつきもの。そのトラブルも楽しむ。
ここまでくると前後のランナーの距離が離れ単独走になった。夜の津軽道、途中ランナーの赤色灯を見失い不安になる。
■〜CP9ふるさと体験館178.4km 1:27
長い長い海岸線。波音は聞こえるが暗くて何も見えない。街灯の明かりは意外に明るい。ほぼ直線のこの道で眠気がピークに蛇行を開始。ふらつき危ない時は道端にしゃがみ込み1分目をつぶってまた走る。この繰り返しで前進。精神が崩壊しそうなまさにその時!大谷さんから連絡が入った。今別のふれあい文庫CPで関門に8分間に合わなかったと。僕が昨年リタイアした地点で大谷さんが間に合わなかった。スタート地点に帰る電車もない時間だ。そこで、先ほど通過時に撮影した今別診療所の写真が役に立った。写真を送り、ここで朝まで滞在できる事を連絡。大谷さんの分も頑張らなきゃ!ボロボロの身体に力が宿る。ふるさと体験館までの5kmを力いっぱい走り抜けた。レース中盤だけど順位が上がっていく。みんな辛い時間帯だ。ふるさと体験館に到着すると先行ランナーは疲れ果て多くが仮眠をとっていた。ここもシャワーブースが3つ。ただし、入口が1つなので男女入替制。出発の準備を整えながらシャワーの順番待ち。シャンプー・リンスはないが石鹸があったので、石鹸で全身を洗う。カレーをたらふく食べてエネルギーチャージ。仮眠所がいっぱいだったので体育館にて15分ほど仮眠をとった。背中が痛い!
■〜CP10パルナス204.2km 7:00
パルナスに向けて出発。この先は携帯電話の通じない山間の区間。このレースで一番長く感じた区間。漆黒の闇。クマ出没場所。緊張しながら走り続けるが、同じ景色に眠気がぶり返す。もう丸2日まともに寝ていない。集中力を高めても、歌っても何しても眠たい。死にたいほど眠たい。精神がまたしても崩壊しかけたその時。ついにやってしまった。道の側溝に落下した。死んだと思った。幸いにも落ち葉が豊富でふかふかの場所だった。一瞬で眠気が覚める。ゾッとした。これが川だったら崖だったら絶対に死んでいた。そんな場所沢山通過したにもかかわらず。安全な側溝に落ちたのは本当に幸運だった。後ろのランナーが慌てて駆け寄ってくれた。気を引き締めて夜のやまなみラインを走り抜けた。長いトンネルを抜けた頃、2日目の朝がやってきた。188kmの部との合流地点後にバス停あったので5分仮眠をとった。パルナスまであと少し、ジリジリ気温が上がり始める。
パルナスまでの間に結構抜かれた。ようやく到着したパルナス!関門1時間前に何とか滑り込む。ここからは関門時間との闘い。ゆっくりもしていられない。疲弊した身体に鞭を打って再スタートをきった。
■〜CP11金木町観光物産館212.1km 8:56
パルナスから金木町観光物産館までは8kmほど、気温がグイグイ上がってきた。予報に反して気温34度日陰なし。頭痛と吐き気が襲う。今思えば軽い熱中症にかかっていた。
久しぶりのコンビニでクラッシュアイスを購入し首と頭を冷やしながら命を繋ぐ。この後3回ほど購入し暑さをしのいだ。本当に暑くて暑くて死にそうになる。
188kmの選手にどんどん抜かれる。やっとの思いで金木町観光物産館に到着。必死で走ってきたツケが足にきていた。肉刺が4か所。痛いけど痛みの耐性が出来ていた。肉刺の痛みは川の道で克服済みだ。CPで処置をし、ゴールへ向けて急ぐ。関門時間とのせめぎ合いが続く。
■〜CP12道の駅つるた231.4km 12:38
国道339号バイパスの延々と続くストレートに頭がおかしくなる。おかしくなりかける寸前に森岡さんや板倉さんからメールが入る。意識を繋ぎながらひたすら進む。後半歩くより走る方が楽なことに気づく。歩くよりテンポよく走り続けることが体の負担をやわらげた。進め!進め!進め!がむしゃらに!気温がピークになりかけるころ道の駅つるたに到着。ここまでがきつい関門のピークだ!次のCPまで5時間の猶予が与えられた。安心して横になると15分ほど寝てしまった。慌てて次のCPを目指す。もうがむしゃらに!
右手に岩木山が見えた。津軽平野の雄大な景色を楽しむ余裕はまだあった。
■〜CP13松の湯交流館252.3km 16:15
睡眠は累計で1時間あるかどうか。睡眠をほとんど取っていないので、気を抜くと眠くなる。そんな時は気合いの入れ直しダッシュする眠くなるの繰り返し、ゆとりがあると思った関門もじわじわと迫っていた。日差しがキツイ、湿度が高い、汗が噴き出る、眠い。でもゴールはもうすぐだ!頑張れ自分!もう気持ちでしか走ってない。
何とか松の湯交流館に到着。名物のつゆ焼きそばとアイスは、期待を裏切らない美味しさだった。ここまでくるとあと10キロ!
■〜CP14田舎館役場前257.2k 18:15
田舎館役場まで距離が近いと知ると急に脚が重くなった。気持ちが切れてしまった。でも、ここから歩きでは間に合わない。痛い足に最後の無理をさせた。歩くより走らなきゃ。気持ちは走っているがもはやスピードが徒歩レベル。5キロに2時間もかかる。日がゆっくりと沈み始めるとともに焦りも沸き起こってきた。何とかCPへ到着するも残り2時間を切っていた。田んぼアートをみるのに間に合う時間に到着するが、観覧に行く余裕はなかった。補給しすぐにゴールへ向かった。残り6km。大谷さん森岡さんに最後の連絡を入れる。
■〜Goalさくら野百貨店263.1k
ここから長い道のりを振り返っていた。辛く過酷で厳しい道のりだった。ゴール前にもかかわらず涙が溢れてきた。まだ早い。早いとわかっていても。感動の涙が溢れた。一歩一歩踏みしめながらゴールを目指す。
ゴール手前で大谷さん森岡さんが待っていてくれた。自分の事よりも二人の体調が心配だった。「祐人おめでとう!」大谷さんと森岡さんと熱い握手を交わす。二人とも元気そうだった。最後は3人で走った。
やっとやっと念願のゴールが見えてくる。昨年の悔しさを振り払う最高のゴールだ!
涙目のまま歓喜のゴールを切った。その後館山代表と熱いハグ!
感動で足が震えた。過酷で雄大な津軽!決して楽ではない道のりが、また自分を強くしてくれただろうか?
今回完走できたのも自分の力だけではありません。応援してくれた全ての皆さま。大会運営のスタッフの皆さま。本当にありがとうございました。心から感謝します。

また来年も走りたい!!!

タイム
263km 50時間28分34秒
91位/177人中

コース
弘前公園東門〜弘前公園追手門〜岩木橋〜嶽温 泉〜鯵ヶ沢港〜亀ヶ岡遺跡〜鰊御殿〜津軽の像 記念館〜龍飛崎〜今別役場前〜国道280号〜道 の駅たいらだて〜県道12号〜ふるさと体験館〜 中泊町総合文化センター「パルナス」〜金木 「斜陽館」〜五所川原市街地〜国道339号線 (鶴田町〜板柳町〜藤崎町)〜黒石市街地〜田 舎館村(田んぼアート)〜弘前市「さくら野百 貨店/ホテルリコルソ弘前」
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