sumi-Cノート <excerpt> お神楽の日はまだ納骨が終わっていない。… つまり、ぼくは「ぼく」だったのである? 神社の境内に入るべきではない身だったのだ。 … 続き

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(39)今週の出来事 2015年 5月~8月

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[李克強首相] '15.8.9
[南部陽一郎] '15.7.21
[キリル・ペトレンコ] '15.7.19
[エルニーニョ現象] '15.7.14
[ひまわり8号] '15.7.9
[ひばり] '15.6.18
[ぼく抜き5] '15.6.12
[タマムシ] '15.6.11
[ぼく抜き4] '15.6.2
[ぼく抜き3] '15.5.27
[ぼく抜き2] '15.5.25
[ぼく抜き1] '15.5.22

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[李克強首相] '15.8.9

この日、県知事の選挙があった。投票率はかなり低い。イデオロギーは関係ないし、都市近郊県は争点がないといえばない。知事選あたりになると、候補者個人の能力を争う選挙になるのかも知れない。

ぼくは投票のために公民館へ行った。午後の7時半ごろだった。公民館のフロアが投票所になっている。

ぼくは投票用紙に候補者の名前を書いて、それを投票箱に差し入れた。その直後、目の前の長テーブルの向こう側に座っている立会の人に会釈しながらフロアを出ようとしたのである。ぼくは、そこに座っている人を見てギョッとしたのだった。

なんと、李克強(りこっきょう)中国首相が座っていたのである。スーツを着て身動きせずに座っている。… え?、え?、え?、

… よく見ると、違っていた。 

… もっとよく見ると、なんと、同じ村に住んでいるぼくの同級生だった。スーツ姿を見たことがなかったので、にわかには識別できなかったのだ。



[南部陽一郎] '15.7.21

大阪大が17日に発表したというのだが、南部陽一郎氏が5日亡くなられたそうである。94歳だった。アメリカ国籍なのでアメリカにいるのかな、と思ったが、大阪市内の病院で亡くなったそうだ。

最近彼の本を読み返したばかりだった。

ヒッグス粒子のことを理解したかったためである。そのために、もう一度基礎をみておこうと、… 数年前に、その粒子が発見されたというニュースがあったのだ。

物質(素粒子)そのものには質量が無いというのだ。ヒッグス場なり粒子があって、質量が生まれる、生まれた、というのである。


この新書本は昭和56年に刊行されたものだ。
… 今年を昭和90年?とすると、
90-56=34年前のものということになる。

この本には、ヒッグス場のことが少し出てきたが、
ヒッグス粒子の働きとその粒子の探索のことは
出て来ない。


わかったような書き方をしたが、実は、ぼくは、素粒子物理のことをほとんど解っていない。あるいは、イメージができていないのである。

1ボルトの電圧で加速された電子のエネルギー(1eV) と、乾電池の持っているエネルギーと、雷が持っているエネルギーと、粒子加速器で粒子に加えられるエネルギーと、… それぞれどんな … グラフにすると、… 位置関係にあるのか? 想像が付かないのである。


もうひとつ、ニュートリノが光より早かった! というニュースがあった。本当だろうか? ということで、素粒子物理の本を読んでみたくなったのだ。

素粒子の世界では、超励起状態のようなときに? 光より早くなる場なり物質が出現することは、否定されていないようだ。

のちに、案の定、このニュースは、観測器がおかしかったようで、誤りだったことが判った。



[キリル・ペトレンコ] '15.7.19

ベルリンフィルの主任指揮者がサイモン・ラトル氏からキリル・ペトレンコ氏に代ると、新聞が伝えていた。

サイモン・ラトルは特別好きな指揮者ではなかったが、印象に残る演奏を創出していたのは記憶している。

… キリル・ペトレンコ? 聞いたことがない。… グスターボ・ドゥダメルやアンドリス・ネルソンスの世代なのだろうか?
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どうやら、上記の若手指揮者が30代なのに対して、ペトレンコは40代のようだ。若いには違いない。

… ネットであたってみると、映像を見ることができた。タワーレコードのサイトで、『スクリャービン“法悦の詩”より』というショートフィルム? をやっていた。 … なかなかよさそうである。… パソコンからの音でも、良さは判る。



[エルニーニョ現象] '15.7.14

『エルニーニョ 続く可能性 夏の長雨・寡照懸念』と、新聞は一面の見出しで伝えていた。

気象庁は10日、エルニーニョ現象が、来年1月ごろまで続く可能性が高いと発表した。

この現象が顕著になると、冷夏、暖冬になる。 … 備えておく必要があるだろう。



[ひまわり8号] '15.7.9

7月7日、正午の少し前、NHKの天気予報は、静止気象衛星ひまわり8号が本格的に運用を開始したことを伝えていた。

6号、7号では観測が30分ごとだったのだが、8号では10分ごとにまで短縮され、さらに地域を限定すれば2.5分ごとの観測も可能になっているという。

実際、赤道近辺の3つの台風(9.10.11号)を鮮明に映し出していた。… 正確に言うと、もっと右の方に渦巻きがもう一つある。だから、渦巻きは四つ映っている。

ぼくのやっている農業は露地栽培なので、天候に左右されやすい。だから、天気予報はできるだけ精度が高い方がよいのである。

さらに、長期予報の精度も高めてほしい。今年はエルニーニョが発生しているというが、どーなるのだろうか?



[ひばり] '15.6.18

自宅から一番遠い畑に行って、農作業をしているときのことだった。ひばりの囀(さえず)りと、高く飛んで、それから下降して、草むらに消えるのを目撃した。 6月8日のことである。

… ひばりを目撃したのはたぶん、… 20年ぶりとかだろう。ともかくうれしかったのだ。

ひばり。漢字では「雲雀」と書く。

ひばりが消えた草むらは、残念ながら畑ではなかった。ショベルカーなどの重機が入っている雑草地だった。



[ぼく抜き5] '15.6.12

ぼくの住んでいる地域では、農家を中心に、住宅の造りはほぼ同じになっている。結婚式、葬式、やおつり(新築祝い)など、親戚や隣組を集めた「人寄せ」が出来るように、座敷が二つ続けて設けられている。

宮司さんの家も同じ構造だった。南側に面した玄関を上がると、南北の廊下の左手が座敷になっていた。座敷の向こう側に襖(ふすま)があって、その襖はすでに開かれていて、その奥にもうひとつ座敷の部屋があった。その奥の部屋は、普通の民家だと「床の間」になっているのだが、その部分が、つまり西の壁全部が白木でできた神棚、祭壇になっていたのである。

宮司さんは、ぼくを奥の祭壇の部屋に案内した。前の部屋を通って奥の部屋に入った。

座布団に座るように促された。… 通して胡坐(あぐら)でよいと言われた。… 宮司さんは、そこで衣装に着替え始めたのである。その時間を使って、誰が死んだのか?とか、色々雑談をしたのだった。… 話してみると、宮司さんは、ぼくの伯父のことをよく知っていた。だから、宮司さんとは初対面なので、どんな会話をしてよいか見当が付かなかったのだが、その心配はなかったのである。

奥さんがお茶を運んで来てくれた。

ぼく抜き。そのお祓いと祈祷。思ったより時間の掛かるものだった。宮司さんは、祭壇に向かって10分以上、15分近くか? 祈祷を続けた。

… 考えてみれば、ぼくにとっては贅沢な時間である。神主さんが、ぼくの為だけに祈祷をしているのである。… 戦国武将なども、戦(いくさ)に臨むとき、神社やお寺に行って、一人、お祓いや祈祷を受け、身の安全と勝利を祈願したに違いない。… こんな心もちか?と想像したのだった。

ぼく抜きの祈祷が終わると、宮司さんは小さめのお札をくれた。それに、小さい紙垂(しで)が付いた小さい幣束と、砕いた米に塩を混ぜてある清めの粉。これらをくれたのである。… 家族に用いるようにと、… お札には、「忌引祈祷神璽」と書かれていた。

… 知らなかったのだが、神社の境内に入るぼくだけがぼく抜きをしてもらった、というのではなく、結局、家族もしてもらっていたようである。つまり、ぼくは、家の代表で来ていた。



[タマムシ] '15.6.11


6月2日のことだ。久しぶりに、庭に、生きたタマムシが落ちていた。? 足を閉じて死んだ振りをしていたのである。 きっと、木の上にいて、鳥に襲われて、回避行動で落ちて来たのだろう。


ぼくは会話で、玉虫色の表現をよく使うので、本物のタマムシも好きである。



[ぼく抜き4] '15.6.2

ぼくは車で宮司さんの自宅へ向かった。神社ではなく自宅に来るように言われたからである。ぼくはジーパン姿だった。ボタンダウンのシャツに一応、チャコールグレーの … これしか持っていないのだが、… ブレザーを羽織った。

宮司さんの家の庭に車を乗り入れた。それほど大きな屋敷ではなかった。ごく普通の民家である。ただし、庭木はよく手入れが行き届いてる。ぼくの愛車レガシィだが、たまたま洗車してワックスが効いているところだった。そのきれいな庭にピカピカの車がよく似合った。

庭の石畳を何歩か歩くとすぐ玄関になるのだが、その間、ぼくは身構えたのだった。

… 玄関の外は普通の住宅なのだが、中に入ると、もしかすると、京都御所の紫宸殿や清涼殿のようになっているかも知れない。

… 案の定、そのとおりになった。

… 家の中で待っていたのは、水色の袴を履いた若い神主さんだった。その彼に案内されて、中庭を見ながら長い簀子(すのこ=縁側)を歩かされた。部屋は御簾(みす=すだれ)によって仕切られている。

… どうやら、客間に通されたようである。そこは黒光りのする板張りの部屋だった。

一人で待っていると、御簾に人影が動いた。部屋に入って来たのは、2人の美しい巫女さんだった。白装束に赤い袴。長い髪は後ろで一つに結わえられている。

ほぼ顔の位置まで持ち上げて運んできたのは、どうやら、酒と酒の肴らしかった。酒は急須のような器に、酒の肴は、漆塗りの、三方に似たお膳に乗せてあった。

白い素焼きの盃(さかずき)があるが、その形状をした黒い盃を、一人の巫女さんから渡されれた。

「お神酒(おみき)でございます。祈祷の準備が整いますまで、どうぞ、お召し上がりください」

「 … い、いただきます」

車で来ているのをすっかり忘れて、ご馳走になってしまったのである。


庭の石畳を何歩か歩くとすぐ玄関になるのだが、その間、ぼくは身構えたのだった、と先に書いたが、… こんなことになったらどーしよう、と身構えたのだった。
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心配はなかった! 実際には、玄関のあがり口に、ぼくを見下ろすように立って出迎えてくれたのは、宮司さん本人だった。



[ぼく抜き3] '15.5.27

宮司さんに電話してみた。神社にいつもいるとは限らないので、… 予約のためである。

宮司さんの自宅へ電話すると、宮司さん本人が出てくれた。事情を説明すると、『それはぼく抜きをした方がよいでしょう』だった。… 何だか、忌服(きぶく)のこととは関係なく、依頼されれば断らない。そんな雰囲気がない訳でもなかった。

『あんた、どこの誰?』こんな風に宮司さんから尋ねられてしまった。初対面だったのだ。簡単に説明した。… 宮司さんにとって、ぼくは、めったにないクライアントだったに違いない。

祈祷料はおいくらですか? と、質問してみた。5千円からそれ以上だった。仕方なく5千円でお願いした。… 内心では、『3千円コースはありませんか?』と尋ねたかった。

祈祷料を入れる祝い袋には、何と書くのかきいてみた。『初穂料と書いてくれ』だった。『奉納』とでも書くのかと思ったが、

宮司さんは、祝い袋にも種類があることを説明してくれた。

ダメな袋もあるという。… 水引が蝶々結びになっている、普通の祝い袋にするように言われた。… ダメな袋は、結婚式などで用いる、水引が『結びきり』になっているやつだそうだ。… 電話でのことだったので、水引の違いについて、宮司さんは必死になって説明してくれた。

『結んだ紐の最後が上を向いているやつがダメだど!』 こんな具合に説明してくれた。… 祝い袋、祝儀袋、のし袋、呼び名は色々あるが、… ぼくは、祝い袋について若干の知識があったので、宮司さんが熱く説明してくれるのを、ちょっと楽しんで聞いてしまった。

ネクタイを締める必要はありますか? ときくと、神殿の中に入る訳ではないので、普通の恰好でよいということだった。



[ぼく抜き2] '15.5.25

どこかの神主さんに、… 喪に服する期間は、本人にとって、父母、夫、妻、子、兄弟、それに同居しているような人で、うすら覚えだが50日、つまり一親等、二親等あたりまで、それ以外の人は、葬式とかの間だけでよい、と聞いた記憶がある。(うすら覚え = うろ覚え)


また、今回、ネットで調べてみると、… 権威のありそうなホームページではなかったが、… 叔父・叔母(おじ・おば)で20日だという。

ぼくの喪の期間は、上記で言えば、叔父に当たる人なので、「決まり事」的には、20日が過ぎているので問題なく神社の境内に入ることができそうなのである。

が、しかし「気持ち」の問題がある。

… 故人のことを想ってというより、… いい加減な判断で鳥居をくぐってしまって、当たらなくてよい罰(ばち)に当ってしまってはいけない! という心配である。

やはり、庶民感覚として、何だかの対策をしない訳にはいかないのである。… お神楽の会議に出席したときに、村の長老にも相談してみると、… 火葬場で亡骸(なきがら)の骨を拾ったのなら、「ぼく抜き」は必要だろう、と助言されたのだった。

結局、ぼくは、ぼく抜きの祈祷なり、お祓いなりをしてもらうことにしたのである。… ぼく抜きと書いたが、一般的用語では、「ぶく払い」とか、「徐ぶく払い」と言うことになりそうである。

もちろん、ぼく抜きは神主さんに依頼する。そこで、ひとつ離れた村の神主さんに電話したのだった。

… ひとつ離れた村の神主さんは、天神社の宮司さんである。… この宮司さんは、我が村のお神楽に来て祝詞(のりと)を上げてくれる人でもある。

話は変わるが、お神楽には今年入学した小学1年生も来て、神前に玉串を捧げる。今年の小学生は2人だった。



[ぼく抜き1] '15.5.22

4月の9日に、村の「お神楽」があった。神社の神様へ神楽舞を奉納する行事である。村には神社の役員、つまり氏子の人がいるのだが、その他に、下働きをするような役員がいて、… 帳番や釜番であるが、帳番という役員の方は、上組、中組、下組とあって、それぞれの組の中から帳面に書かれた順番などで任命される。

帳番というのは、帳面番のことだと思うが、いまだに奉納された祝金などは、半紙を使って帳面をつくり、筆によって記録する。昔は帳番は提灯(ちょうちん)を持ち歩いていたので、提灯番の意味なのかも知れない。

久しぶりに、ぼくにその帳番が回ってきたのだった。

しかし、帳番を引き受けるのに、ひとつ問題があった。… ぼくの親父はすでに他界しているのだが、親父の兄弟がここで亡くなったのである。お神楽の日は、まだ納骨が終わっていない。… つまり、ぼくは「ぼく」だったのである? 神社の境内に入るべきではない身だったのだ。


さて、この辺で注釈が必要だろう。

上記で「ぼく」と書いたが、ネットで調べても、辞書で調べても、… 辞書は古語辞典まで調べてみたが、… 「ぼく」という単語は出て来なかったのである。地域限定の言葉かも知れない。… 音声でしか存在しない単語?

… そのことを、青梅のみたけ神社の宮司さんは「ぶく」と呼んでいたのを思い出す。漢字では「服」と書くのだと思う。喪に服すの服だろう。

ぼく=ぶく のとき、人々は神社の参拝を避けるのだが、服(ぶく)には、「遠慮する」の意味があるそうである。忌服(きぶく)、服喪(ふくも)などという言葉がある。



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