sumi-Cノート <excerpt> 人類の歴史のおおかた、夜の光源は地べたにあったことになる。 … 続き
(4) 今週の出来事 2003年 9月~12月
[枯葉] '03.12.27
[ジョウビタキ] '03.12.20
[真犯人] '03.12.13
[原始の夜] '03.12.6
[手首]12.1
[タンチョウ鶴] '03.11.22
[小鳥] '03.11.4
[地蔵堂の幽霊2] '03.10.31
[地蔵堂の幽霊1] '03.10.25
[1万4千円の腕時計の話2] '03.10.17
[1万4千円の腕時計の話1] '03.10.11
[柱時計1] '03.10.1
[瞑想] '03.9.29
[くね結び] '03.9.17
[蚊] '03.9.5
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[枯葉] '03.12.27
ぼくの住んでいるところの小中学校では、学校開放といって、休日や夜間に、校庭や体育館を地域の住民に提供してくれている。
先日のことだが、その日の夜は、中学校の体育館でバレーボールの練習があった。
仕事が終わってからなので、あわててジャージに着替えて、レガシーに乗りこんだ。
庭から公道に出ようとしたときのことだ。突然、?!?股間に激痛がはしった。
「これはいけない!」と心に叫び、バックで玄関先まで引き返し、部屋に飛び込んだのである。
パンツを下ろしてみると、パンツの中から小さな杉の枯葉が出てきたのだ(蜂などでなくてよかった)。
洗濯をした時に入ってしまったのに違いない。風のいたずらだろうか?
ともかく君も、パンツをはく時にはあわてずに、十分注意してくれたまえ。
そこで一句浮んだので、したためておくことにする。
枯葉かな
パンツの中で
激痛が
[ジョウビタキ] '03.12.20
前回、突然「ジョウビタキ」という鳥の名前を登場させてしまった。にわかにはどんな鳥なのかわからなかったかも知れない。今回はその小鳥について触れておくことにする。
スズメ目ツグミ科で、スズメくらいの大きさである。ぼくの家の庭で我が物顔でいるのはメスで、メスは薄い茶色、あるいは薄い灰色をしている。尾羽にオレンジ色のさしが入っている。オスは見たことがない。
調べてみると、中国、モンゴル、サハリンなどで繁殖するらしい。日本には越冬に来る。小さな身体(からだ)なのに、渡りの距離は長く、けなげである。
数年前のことだが、庭の掃除をしていると、近くでカチカチという音がする。音源をたどってみると、どうやら3メートルぐらいの距離にいる小鳥が出しているようだった。
警戒音にも感じられたが、それにしても馴れ馴れしい。人間の活動によって這い出してくる虫を狙っているのだ。
越冬期には単独で行動していて、縄張り性が強いそうだ。
車のミラーを攻撃したのはそのせいだった。
フンの害に関しては、車のミラーにスーパーでくれるレジ袋をかぶせておくことにした。そしたら幾分被害が小さくなった。
[真犯人] '03.12.13
少し前、 [小鳥] という見出しで書き込みをした。それは、ぼくの乗用車が頻繁に鳥に糞を掛けられてしまっている、という内容だった。
その犯人をスズメと決めつけた。しかし、真犯人は他にいたのである。
ジョウビタキである。
スズメたちには疑ったりして悪いことをした!
新顔のスズメたちがやって来たのと同時期に、ジョウビタキもまたやって来ていたのである。実はそれは知っていた。
だが、しかし、糞の中に小さな植物のタネが含まれていたことや、また、糞が多量だったことから、複数で活動しているスズメたちと判断してしまったのだ。
ジョウビタキに関しては、昨年、クモを食べているのを目撃しているので、てっきり肉食とばかり思っていたのである。
また、ぼくの家に来ているジョウビタキは一羽なのだ。しかもメスである。まさかこんなに「おてんば」だったとはつゆ知らずだったのだ。
ジョウビタキは少なくとも3年前から我が家に来ている。同じ個体ならば、いたずらはしないはずである。個体が変わったのかも知れない。
[原始の夜] '03.12.6
現代人は、夜を過ごすのに蛍光灯の光を使っている。
しかしそれは、夜を過ごしているのではなく、昼間を延長しているのだ。
我々人類は、20万年も前から火を使っている。
たとえば焚き火。夜は暖や灯(あか)りをとるために焚き火をしていた。
ここでは、焚き火の光源の位置に注目したい。
つまり、人類の歴史のおおかた、夜の光源は地べたにあったことになる。
現代人の大脳皮質の奥深いところに、地べたに光源があったときの記憶が残っているのではないかと思うのだ。
背中に迫る闇への恐怖や畏怖の感覚に対して、火への安心感である。
ぼくはたまに、部屋の全ての電気を消して、灰皿の中にロウソクを立てて、しばらくその光を見るようにしている。
揺らぐ炎を見ていると、どこか落ち着き、また、どこか活性化するのだ。
ロウソクは光量が少ないので、部屋の天井の四隅などが闇の中へ溶け込んでしまっている。何かそれは、現実世界とは別の、異質な世界とつながっていそうなのである。そこから、創造的なものを引き出せないだろうかとつい思ってしまうのだ。
[手首] '03.12.1
深夜、帰宅するためにレガシーを一人で運転していた。
雨上がりで、夜になって気温が上がったせいか霧が出始めていた。普段使わないフォグランプを点灯した。
人気(ひとけ)のない雑木林にさしかかり、しばらく走った時のことだった。ぼくの目と神経は道の中央に集中させられたのである。小さいものが落ちているのだ。後続車がないのを確認してからブレーキを踏んだ。
見ると人間の手首だった。(ゾゾ~ッ)道路からにょきっと生えていて、ちょうどこちらに止まれをしている。
まさかと思いよく見直してみると、何の事はない、ただの厚手のゴム手袋だったのである。それが奇跡的に手首のところから立っているのだ。まったく人騒がせな落し物である。
[タンチョウ鶴] '03.11.22
このところ、あまりにもつき合いが多過ぎる。
夜遅く帰宅し、風呂に入り食事をすると、あとは泥のように眠るだけなのだ。
そんな疲れている時に、布団に入りながらつい見たくなるVTRがある。
NHK特集の釧路湿原の映像である。なぜか落ち着くのだ。
特にタンチョウ鶴が出てくるシーンがいい。ぼくが無意識に、単調な生活に憧れているからに違いない。
釧路湿原のタンチョウ鶴は、渡りをせずに一年中そこにいるらしい。単調な生活をしているのだ。ちゃんと調べたわけではないが。
[小鳥] '03.11.4
ぼくの愛車レガシーのことだが、都合で、朝になると車庫から出して庭に置くようなのである。そのために、ここ数日前から、小鳥にふんを掛けられてしまっているのだ。
ドアミラーとすぐ後ろのドアウインドーのところだ。かなりひどい。
どうやらスズメたちが自分の姿を映しているようなのだ。鏡を突っついた痕がある。
最近やけに家の屋根にスズメの数が多い。秋になって、どこか別の場所から移動して来た連中だろう。
毎日雑巾で拭き取るようなのだ。いたずらにもほどがあるのだ。
そこで一句浮んだのでしたためておくことにする。
あさ寒に
ふんがいしたぞ
小鳥ども
地蔵堂の幽霊2] '03.10.31
ぼくは、携帯に付いているカメラはほとんど使わない。だが、気まぐれに撮影して、たまたま保存した画像をチェックしてみたのである。
その中に記憶にない画像があった。何だろう?と、顔を近づけてみると、それが地蔵講のとき撮ったお堂だった。
その画像のなかに不思議なものが映っていたのだ。お堂の前の大木のわきに、白いワンピースを着た女性が立っているのである。
祭りの準備のとき女性はいなかったし、足のない女性などいればちゃんと覚えているはずである。( ヒェ~ )
もちろんビット数の粗い携帯のディスプレイと、その時の光のいたずらに違いないのだが、それにしても驚かされたのだ。
話はかわるが、このお地蔵様には面白い話がある。
お堂の前の大木とはイチョウの木なのだが、その木からこぶが垂れ下がっている。
そのこぶをさすると乳飲み子のいる女性はお乳の出がよくなるというのだ。
このイチョウの木の信仰のことは以前から知っていたのだが、今回(8月のこと)初めて目にしたのである。
幾つものこぶが本当に垂れ下がっていた。ぼくは、別に、お乳の出がよくならなくてもよいのだが、ついさすってしまったのである。
[地蔵堂の幽霊1] '03.10.25
ぼくの住んでいるところは都会なのだが、いまだに村の人々は、辛抱強くまた敬虔に昔ながらの行事を継承している。
ぼくの家に帳番という役が回ってきた。親父が死んだことで、ぼくがその役をやらざるを得なくなってしまったのだ。
帳番というのは、村の神事や仏事を行うにあたっての役員、班長のことである。
ぼくの仕事は、年に一度の「地蔵講(祭り)」での帳番だった。
地蔵講というのは、お地蔵様をまつってあるお堂に村人が集まり、捧げ物をしたりお坊さんにお経をあげてもらったりする、お地蔵様の功徳をたたえるお祭りである。
僕は帳番なので朝早くお堂へ行って掃除をしたり、「花」を掛けるための棟木(むなぎ)を外の柱に打ち付けたりした。
お祭りの準備が出来て、みんなで一服しているときのことだった。
誰かが携帯のカメラでお堂をバックに記念写真を撮り始めたのである。
ぼくは「ふん、くだらん」と、それには参加しなかったのだが、しかし、自分の携帯にもカメラがついていたので、気まぐれに、人をいれずにお堂だけ撮っておこうと、何回かシャッターを切ったのだった。
8月24日のことである。
次回へ続く。
[1万4千円の腕時計の話2] '03.10.17
XXXXウォッチ館だとか、色々な時計店をみたのだが、ぼくの気に入った腕時計はついに見つからなかった。
そこで、半年もたっているのだが、あの腕時計を彼女から買おうと、某百貨店の売り場に行ったのだった。
女の子の店員を見つけて
「すみません。」と声を掛けると、
「あっ」
という感じで、ぼくを覚えていてくれたのである。
言っておくが、半年前、目立つ格好で店を訪れて、彼女が否が応でも覚えていた、という訳ではないぞ! たとえば、演歌歌手が着るミラーボールみたいなジャケットを羽織っていたとか、北斗の拳やマッドマックスに出てきそうなモヒカン刈のヘーアスタイルをしていたとか、
今回は、
「これください」
「はい!」
これだけの会話だった。客と店員との間で、半年前から時間が止まっていたという感じだった。
ぼくにとって、ちょっとドラマチックだったのである。
最初のときの会話だが、女の子の店員がこんなことを話してくれたのだった。腕時計はちゃんとメンテナンスしながら使うと、親から子へ、子から孫へと世代を超えて使うことができる。すると本来の価値が出てくると。
[1万4千円の腕時計の話1] '03.10.11
以前、腕時計の話をしたことがある。1万4千円の腕時計の話だ。… 某百貨店で買ったのだが、そのいきさつが面白い。
某百貨店の時計売り場に行くと、すぐに若い女の子の店員が応対してくれた。ぼくがひとつの時計に関心を示していると、その時計は、自分(女の子)がみずからの責任で海外から仕入れた、と言うのである。
その話をきっかけに、彼女は腕時計のいろいろな話を、熱く饒舌に語ってくれたのだった。
ぼくが見ていた時計は、ぼくの好みには違いないが、完璧に気に入ったものとも言えなかった。
しかし、その店員の話にほだされたこともあって、
「じゃあ、これください!」 と言ってしまったのである。
ところがである。彼女は意外な言葉を返してきたのだ。
『もう一度よく考えた方がいいですよ。』と。
まだ迷っているのを見透かされたようだった。
それにしても、普通の店員だったら、客が購入の決断をしたのなら(やったぁ!)と心に思って、すぐに契約の手続きをするに違いない。
さて、彼女はいったい、客を身内のように考えるピュアな女の子なのか、それとも最終的な利益を理解している才女なのか、とにかくいい子がいるものだと思ったのである。
間もなく、ぼくは前言を取り消して、
「じゃあ、よく考えてからまた来ます。」と言って店を出たのだった。
そして、もしあの時計を手に入れるのだったら、彼女からにしようと思った。
次回に続く…
[柱時計1] '03.10.1
親父の友達が新築祝いに贈ってくれた柱時計があって、座敷の柱に掛けてある。
メーカーは「アイチ」と英語で書いてある。聴いたことのない名前だ。その柱時計のぜんまいが壊れてしまって久しいのである。
ここで、親父の一年忌の法事を予定している。法事には親父の友だちも招く。それまでに動くようにしておこうと考えて、時計店に修理に出したのである。
残念ながら一年忌には間に合わなかった。今日、修理が終わった時計を時計店に取りに行って来てた。そして座敷の元の位置に掛けたのだ。
修理に要した費用は、ぼくにとって高額だったが、しかし、時を知らせる渋い音を久しぶりに聞くと、財布の痛みよりも時計が蘇生したうれしさの方が大分(だいぶ)まさっていると感じたのだ。
[瞑想] '03.9.29
自分の誕生月とかではないのだが、ぼくにとって9月下旬は、なぜか特別なのである。
9月下旬の陽気が、ぼくにとって、なぜか瞑想するのに適しているのだ。
晴れた日の午後に、部屋の畳の上であぐらをかいて、目を半眼にして瞑想する。陽の光が、畳の上を、窓の輪郭をもやもやさせながらゆっくりと動いていく。
宗教家でなくても瞑想することは重要だ。今年は9月29日がふさわしい日に思えたので、仕事もほっぽらかして瞑想することにした。
君も9月下旬になったら、風もない晴天の日を見つけて瞑想してみてくれたまえ。
… ただ、昔は9月の中旬に最適日が多かった。これからは10月上中旬かもしれない。地球温暖化が進み続けている影響である。
[くね結び] '03.9.17
庭の楓(かえで)の枝が変な方を向いている。しかし必要な枝だったので矯正することにした。
しゅろ縄を使う作業があるのだが、どうしても「くね結び」の結び方が思い出せない。
そこで、ろくに手も洗わずにパソコンのところへ行って、インターネットで検索してみたのだ。
ところが「くね結び」は存在しないという表示である。仕方なく辞書や百科事典で調べてみた。やはり載っていない。
植木屋さんのバイトをしたときに、たしかにくね結びの呼び名はあったはずである。
ぼくの住んでいるところでは、生垣(いけがき)のことを生けぐねとも呼んでいる。
いったい「くね」というのは、業界用語なのか、方言なのか、それとも古語なのか、
ともかくインターネットがあまり役に立たないことがわかった瞬間だった。
[蚊] '03.9.5
朝、布団の中で、腹ばいで目がさめたのだが、見ると、前腕部に蚊がとまっていて、目いっぱい血を吸っているではないか。
反対の手で叩こうとしたのは言うまでもない。その時である。何もしていないのに、どういう訳かその蚊は、ぽとりと畳の上へ落ちてしまったのだ。
見ていると、腹を上に向けてピーピーと羽音を立てて回転し始めたのである。
結局ティッシュでつぶしたのだが、いったい何んだったんだろうか? ぼくの血を吸って苦しみだすとは!