sumi-Cノート <excerpt> … 正確には六臂如意輪観世音菩薩である。きらびやかで美しい観音様だった。 … 続き
(55)今週の出来事 2020年9月~12月
[仏教ざんまい5] '20.9.21
[仏教ざんまい4] '20.9.13
[仏教ざんまい3] '20.9.8
[仏教ざんまい2] '20.9.4
[仏教ざんまい1] '20.9.3
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[仏教ざんまい5] '20.9.21
夢枕獏を読んでみた。題名を『沙門空海唐の国にて鬼と宴す』という。
面白かった。
この本、今回はネット通販で買った。普段だったら書店へ行って買うのだが、
もちろん文庫本だ。届いてみると、恐ろしく分厚いものだった。しかも4巻まである。… 読み終わるのに半年ぐらいかかってしまうのではないかと思ったが、面白かったのでひと月足らずで読めてしまった。
この作品は、徳間文庫と角川文庫から出版されている。角川の方が 30円安い。しかし、本のカバー(ジャケット)のデザインがあまりにも可愛らしかったので、30円高い徳間文庫にした。
この絵はコラージュでつくられていると思っていたが、
どうやら版画のようである。
木版画家、立原位貫の作と書いてあるから、
『沙門空海唐の国にて鬼と宴(うたげ)す』だが、呪詛のシーンや妖異なものの出現シーンが多くある。空海はそれらと闘いながら、事件のなぞ解きをするのだ。… しかしながら、この作品を読み終わってみると、( 落ち着いた良い作品だった。)こんな印象を持たされるのである。… 夢枕獏の渾身の作なのだろう。高品位な仕上りになっているのだ。
… 空海は遣唐使船に乗って唐に渡った。空海は国際都市である長安の、高度な文明に触れた。そして彼が目的としていた知識を収集し日本に持ち帰ったのである。空海は2年間、唐にいた。… この小説はその2年間のことを書いている。
ぼくにとってこの小説は、多くの利益をもたらしてくれるものになった。
ぼくも一緒になって、唐の都である長安の、地理を理解しながら散策ができたのだ。… この小説の舞台の時代考証については、かなりの正確度があると思う。… 長安の街並みには、柳の木やマメ科らしいが槐(えんじゅ)と呼ばれる木が植えられていて、街の風景を作っていた。寺院などの庭には牡丹の花が咲いていた。古代の中国人は牡丹の花をめでていたようである。
空海が短期間で灌頂(かんじょう)を受けたことは知っていた。だが、授けた高僧の名前とか、どこの寺院でのことだったのか、とか忘れていたのだ。この小説を読んだおかげで記憶に留めることが出来たのである。… 恵果阿闍梨と青龍寺。… 真言宗の開祖は空海(弘法大師)である。ぼくは真言宗の宗徒なので、得られた知識は直接の利益になったのだ。
[仏教ざんまい4] '20.9.13
たまった小冊子を読み終えたころ、ふっと、映画が見たくなった。見るといっても、DVDでの鑑賞のことである。
具体的には、『空海-KU-KAI- 美しき王妃の謎』という作品だ。染谷将太主演。数年前にテレビでの予告をみて、見てみたいと思ったのだ。
作品を手に入れるのに、レンタルビデオ店の会員にはなっていないので、DVDを置いてある店へ行って探すか、ネットで注文するかである。… 価格にもよるが、なにも新品でなくてもよい。
購入の計画を立てるときは、当然、作品の情報を入手する。すると、原作が夢枕獏だったのである。
夢枕獏の作品では、陰陽師というのがあって、それが映画化されている。ぼくはそのDVDを持っている。中古のだが、… 好きなシーンがあるのである。
昔、夢枕獏の作品を読んだこともある。そのひとつは、題名は忘れたが、大男がシャモンという名の黒猫を肩に乗せて活躍する、妖異なものが出てくるバイオレンスものだった。またその大男はトヨタのランドクルーザーに乗っている。
『空海-KU-KAI- 美しき王妃の謎』の原作が夢枕獏であることが判ると、… 迷いなく計画を変更したのである。… 映画の購入は後回しにして、まずは原作を読まなくてはいけない。原作を読む計画に変更する。
原作を読んでみて、自分が、その原作に基づいて映画をつくるとしたら、… どんな作品にするだろうか? 好みのシーンをつなぎ合わせて、… どのようにクライマックスへもっていくか? そしてどのように大団円を迎えるか?
そのあとで実際の映画作品をみてみる。… 自分の仮想作品と実際の映画作品とイメージが同じになるか、まったく違うか、比べてみる。ちょっとしたたのしみになる。
[仏教ざんまい3] '20.9.8
ここで書いている[出来事]の表題を「仏教ざんまい」としたのだが、「ざんまい」の意味を、量と時間をたっぷり使って楽しむ、みたいに解釈して使った。… 表題を決めてしまってから、一応、辞書で調べてみたのだ。すると、なんと、ざんまい(三昧=さんまい)とは、仏教がらみの用語だったのである。しかも、「梵」の字の音写だった、samādhi 。知らなかった、というか、忘れていた! 表題を変更をすることはないが、なんだか、仏教ざんまいと書くと、俳句で、季語を二つ入れてしまった感じである。
話は変わるが、 [仏教ざんまい2] で卒塔婆と梵字のことを書いたが、これも、お寺から配布される小冊子に取り上げられていた記事だった。正確には、その小冊子の付録のパンフレット。だからこの、お寺から配られる小冊子に目をとおさざるを得ないのである。面白い話題が載っている。
[仏教ざんまい2] '20.9.4
[仏教ざんまい1] で問題を出しておいた。並べた五つの梵字が読めますか? というものだ。
実は、この五つの文字は卒塔婆(そとばorそとうば)に書かれているものである。
お盆には新しい卒塔婆を先祖供養のためにつくるので、誰もが見ているはずである。
ぼくがそうだが、… 毎年目にする梵字である。いったい何と発音してどんな意味があるのだろうか? と、興味を持つのは自然なことである。そう考えると、真言宗のお寺の檀家の人々は、すでに知識にあって
[仏教ざんまい1] の問題をたやすく解いているかも知れない。とにかく下記で解答するが、
解答の前に、この梵字は真言宗のお寺で使われているものである。他の宗派のお寺の卒塔婆にどんな文字が書かれているのかは、ぼくは知らない。だから、他の宗派の人や、まだ家にお墓のない人は、遠巻きに説明に付き合ってもらうようである。
では問題の答えだ。 キャ カ ラ バ ア と読む。 左の図は [仏教ざんまい1] でUPした梵字を縦書きにしたものである。加えて、卒塔婆の板に書いた形にしてある。
さて、肝心の意味だが、… その前に、上から数えて6こ目の文字の「サ」は別物である。供養の目的で変えるようである。ちなみに、「サ」は聖観音様を表している。
さて、肝心の意味だが、… 下から読んだ方がしっくりいきそうである。ア=地 バ=水 ラ=火 カ=風 キャ=空 である。地水火風空だ。
そして、キャカラバアで大日如来を表しているという。… 少し密教の中に入るが、キャカラバアで胎蔵界の大日如来を表すのである。
卒塔婆の反対側にも梵字が書かれている。思いっきり細ながーく書かれているが、
と書かれている。「バーン」と発音する。こちらも大日如来を表している。こちらは金剛界における大日如来である。曼荼羅の世界だ。
あと、お寺の卒塔婆に書かれている書体だけでは、文字の構造がわかりづらかったので、 [仏教ざんまい1] での梵字は Wikipedia から収集させてもらった。だから、フォントが違っている。
卒塔婆の文字は書道の筆で書かれているが、本来は、梵字、アラビア文字を書くのに使う筆記具のカラムのようなもので書かれていたのだろう。… 大きな文字は板ベラのような。… 梵字、天竺や吐蕃の国から古代中国に渡ったときに書道の筆が使われるようになった? … この辺のことを考えるのも面白い。
[仏教ざんまい1] '20.9.3
上の文字は梵字である。さて、君は読めるだろうか? 解答は次回 [仏教ざんまい2] で、
7月8月はたっぷりと時間が出来てしまった。長雨で仕事が出来なかったり、猛暑、酷暑で、やっぱり仕事が出来なかった。それに、コロナ禍の影響で、お盆の親戚への訪問も今回は中止になっていた。つまり、外出もしなかったのである。
じっくり本を読む時間が出来たのだった。
お寺から小冊子が届く。… 正月、春、夏、秋と発行されるものだが、1年分以上、読んでいなかったのだ。
この小冊子は、電車に乗るときなど、読むのにちょうどよいのである。リュックサックに入れておくのだが、このところ電車に乗ることもなくなってしまった。こんなこともあった。… 家族が病院に行くというので連れて行って、待合室でこの小冊子を読もうとしたのだ。つづきのページにはお寺の建物や仏像の写真が載っている。… ( まてよ! 病人の前で仏教の本を読むのはまずいかも知れない )と、にわかに気づいたのだった。冊子をリュックサックから出すのを止めた。
そんなわけで、なかなか読む機会を逸してしまっていたのだ。
今読んでいるものではなく、少し前に読んだものだが、仏像が紹介されている「号」があった。複数体の仏像が写真つききで紹介されている。
その中で目に留まったのが、東京都文京区にある護国寺のご本尊、如意輪観音だった。正確には六臂如意輪観世音菩薩である。きらびやかで美しい観音様だった。片膝を立てて、その上に肘をつき、その腕の手を掌屈させて、傾けたお顔のほおをかるく支えている。物思いにふけるような、なんともやさしい観音様なのである。
この小冊子に掲載されている如意輪観音だが、案外、貴重な画像=資料なのかも知れない。ネットでこの如意輪観音を見てみようと試みたのだが、見つからなかったのである。せいぜい、お寺で販売しているのだろう、絵葉書の写真を一般人がUPしたものだけだった。
この観音様、毎月一回だけ決められた日に公開されている。… 撮影は禁止されているのかも知れない。
この小冊子の如意輪観音は、被写体を撮るカメラの角度といい、照明といい、文句のないものだった。… ぼくの家の宗派は真言宗である。護国寺の宗派も真言宗だった。だから、美しい観音様の写真を、小冊子をとおして見られたのは同じ宗派の「おかげ」ということなのである。