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米子山=よなご (1404m) 

長野県 2011.06.15 単独 マイカー 地図 御飯岳(長野)  三等三角点
コース 栃平林道入口(5.55)−−−栃平林道の看板(6.32)−−−登山口(7.00)−−−米子山(7.52-8.00))−−−登山口(8.35)−−−栃平林道り口(9.30)
米子山山頂

米子山は登山道なき藪山。

日本百名滝に『米子瀑布』という名滝があるが、その米子である。米子瀑布はそれなりに名が知られているが米子山の名を知る人は少ない。登山道もないために登る人も稀な秘峰とでも言うべきか。

東信地方須坂市の奥にある。

須坂市内から406号線を南へ。福寿の湯のところで左へ入る。その先は“豊岡ダム”の道標を追っていく。ダム堰堤の少し下方(採石場のあるあたり)で右手の林道へ入る(乳山林道?)。“熊に注意”の大きな看板。

道なりにしばらく走ると右手へ一本の林道が枝分かれしている。これが米子山への栃平林道。

栃平林道入口はゲートで施錠され入ることができない。看板に「不法投棄などのため平成22年6月1日より閉鎖」の旨が書かれている。これは計算ちがいだった。林道は歩くほかはない。どのくらいの歩行になるのか・・・・。

栃平林道入口の数十メートル先、道幅の広がったところへ駐車、熊よけの鈴と呼子を確認して出発。地図に目を通すと、登山口と目している地点まで、林道で高低差400メートルほどを上がることになる。かなり長い林道だ。

展望もない林道を黙々と足を運ぶ。カモシカがじっとこちらの様子をうかがっている。距離が縮まると身軽な動きで藪の中へ消えて行った。この先も地面には鹿の足跡が数多く目についた。

ダートながら路面状況は比較的良好、ただし通行止めにしているためか落石が放置されたまま、低床の車だとちょっとためらうところも2、3か所あった。

頻繁に地図と見比べながら、予定していた登山口を通過してしまわないように気を使う。しかし頭の中の現在地と地図とがなかなか一致しない。1時間5分歩いた地点で初めて展望が開けた。残雪の後立山から槍・穂高までが一望できる。しばし展望に見入って10メールほど先、道が大きく右カーブするところに、木の枝に結んだ青いテープが目に入った。どうやらここが入口の目印のようだ。

思ったより時間はかからなかった。地図で言えば、豊岡ダムの真南、米子山から西に派生してきた尾根が北へ円曲、林道と1200メートルの等高線とが交わるあたりだ(林道が鋭角に東側に折れるところ)。

目ざす山頂まで高低差200メートル、派生した尾根を外さなければ道がなくても簡単に山頂に達することができそうな気がするが、それほど甘くはない。

しばらくは道型が認識できたがそれは長くはない。あるかないかの踏跡らしいものを拾っていく。獣道かもしれない。ところどころ古いテープが残っている。それと赤い境界標が木の幹にあるのが心強い。この二つの目印を探しながら進む。藪は灌木ではなく笹藪、その笹も背丈を越えることはなく視界が確保できているので不安は小さい。

斜面下向きに生えている笹は、進行に逆らうので歩きにくい。笹の下には倒木、木株などが隠れていて何回も足をひっかけてしまう。下山に不安のありそうな箇所には持参の赤布をつけていく。

尾根を忠実に登るつもりだったが、実際には小さな窪地や、曲折もあって気を抜けない。勾配が強くなり、次第に尾根がはっきりしてくると歩きやすくなってきた。

花をつけたレンゲツツジが2株、カメラに収める。最初はカラマツ、次いで落葉樹、気がつくと周囲はアカマツの林になっていた。頂はすぐそこだった。

登山口から1時間かからなかった。

三角点標石以外何もない寂しい山頂。展望も皆無。密やかに咲いているツマトリソウだけが歓迎してくれているようだ。

しかし登山道もない寂峰に迷うこともなく登ったというささやかな喜びがあった。

山頂から北へ向かって踏跡とテープ類が見える。米子山から東北東方向、林道が山頂にいちばん接近したところがある。北への踏跡はそのあたりへ通じているのかもしれない。(私が登山口とした場所から、さらに1.5kmほど進んだところ)実はこのルートも検討段階では選択肢の一つだった。

付けてきた赤布は全部外しておきたかったので、同じ道を戻ることにした。多分赤布は残らず回収できたと思う。

林道歩きがなければ、1時間半程度で往復できる藪山初心コースというところだろう。

 
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