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大川入山(1907m)

長野県

1999.11.07

単独  横  岳 三等三角点
 大川入山 2等三角点
コース

治部坂峠(5.35)―――横岳(6.35)―――大川入山―――8.05-8.25)―――横岳(9.30)―――治部坂峠(10.10

 
 
 大川入山

これが2度目の大川入山。正確には一度登頂に失敗しているので3度目ということになる。地味な山ではあるが、中部山岳が一望できる展望の山として、もっとその名を知られてもいい山。

最初のときは、どうしても登山口がわからず、薮を漕いだりしたあげくに撤退。今回は3度目ということになる。

登山口治部坂峠に着いたのは5時半、登山口の様子がすっかり変っていた。観光開発されたなあ、そんな感じだ。国道を少し入ったところに駐車場も出来ていた。

足元もわずかに見えるほどに明るくなっている。すぐに出発。

立ち入り遮蔽の金網フェンスは取り除かれ、国道からそのまま舗装道路がつながっているが、すぐに行き止まりとなる。薄暗がりの中に大川入山を示す道標を確認して、しばらく車の通れるほどの道を進み、水道設備の建造物の先から沢へ下り、鉄製の橋を渡る。わずか択沿いを進んだ後、急な山腹の登りにかかる。

知らない間にコースは尾根状に変わっている。夜の名残が残る登山道を、足元に注意しながら登って行く。登山道に張り出した木の根はツガの林。

最近草刈りが行われたらしく、登山道整備は非常にいい。最初のポイント「横岳」手前の急な登りにかかるところで、行く手にきれいな三角形をした山体が姿を見せる。これが目標の大川入山。すぐにでも行き着けそうな距離感だ。

きつい登りをひとしきり頑張ると候斜が緩んで横岳の肩。三等三角点はすぐ先にあった。山頂といより登山道の一地点に過ぎない。表示がなければ横岳山頂と気づくことはないだろう。ここで一息入れる。

横岳を後にして大川入山へ向かう。展望が開けて正面にめざす山頂が迫って見える。ベンチのある小さな突起で大川入山の美しい姿にしばらく見入る。あと30分もあれば登れそうに見える。周囲の山々はカラマツ林だろうか、山全体が黄金色に輝いている。そして大川入山は笹の緑に一面おおわれ、悠然と構えている。

この先が見かけとは裏腹に長かった。30分などとんでもなかった。もうすぐと思っていただけに、その長さを余計強く感じる。小さなピークを幾つとなく繰り返す。この下りが最後で、いよいよ山頂かと思えば、また小さなピーク。

今度こそ山頂への最後の登りと期待したのに、その後もいくつか小ピークがあった。

ようやく正真正銘最後の登りとなり、針葉樹の中を急になった道を登って行くと、樹林が切れて笹原となり、展望が一気に開ける。笹原の中を山頂へと伸びる道は、見た目よりずっときつい登りだった。

登山道の笹はきれいに刈払われている。整備の熱心は、それだけ登山者の多くなった証だろう。

横岳で「あと30分」と踏んだのは大まちがい。3倍の1時間半を要して山頂に登りついた。誰もいない静かな朝の山頂、気温こそ低いが風もなく穏やかだ。 眺望はまさに360度、ため息の出るような見事な景観。何といっても南アルプス連峰の長々としたつらなりがすばらしい。一つ一つ山名を指呼してする楽しさ。八ヶ岳、その先には浅間山方面もうかがえる。この山頂からは中央アルプスを南側から縦に望む言う貴重な展望がある。安平路山、南駒ヶ岳、空木、宝剣、木曽駒ヶ岳の山々が重なり合うようにして見える。巨大な一つの塊のようにも見える。南方はるかには愛知・長野県境の茶臼山。そして眼下に僻撤するのは東に伊那谷、酉に木曽谷。振り返ると歩いてきた尾根が延々として延びていた。

大パノラマに満足して山頂を後にした。同じコースを治部坂峠まで戻ったが、途中挨拶を交わすのも嫌になるほどの登山者、名前も知られていない地味な山と思っていたが、知る人ぞ知る隠れた名山と云えるようだ。登ってみて魅力を実感する山、それが大川入山であった。


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