山岳巡礼  hkk-1542
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  キラズ山(1188m)

 富山

 2016.09.15

単独  三等三角点 
 コース

作業道入口(1040)---分岐(11.25)---登山口(11.30)---キラズ山東方のピーク(12.50)---キラズ山(13.15- 13..20)---登山口(14.10)---作業道入口(14.50)

【富山の百山】―83座目

登山口が見つけられず、諦めてキラズ山へ。

国道41号の猪谷の信号から宮川にかかる神峡橋を渡って対岸へ。つきあたりをを左折してから、農作業のおじさんに道を尋ねる。林道を進むと右手へ逆V字に折り返す感じの作業用林道がある。その道が登山口への道。見落として通り過ぎても2~300m行くと左に大きな石の碑があるからそこで引き返せばよいとの親切なアドバイス。ついでに「クマに気をつけろよ」との注意。

注意していたのに、作業用林道に気づかず通過、石碑が見えたところで引き返す。赤テープが一つ、風にひらひらしていた。よく見ると草に覆われた林道がある。分岐には車一台分のスペースしかない。駐車できなかったら石碑に広いスペースがある。

キラズ山山頂

作業用林道は半分ほど舗装されているが、木の枝が散乱したり、道幅も狭い。対向車とのすれ違いも考えると進入は避けた方がよさそう。45分ほどで道は二又に分かれる。白い杭が立っているが道標はなく、登山口は左の道へ入って2分のところ。「キラズ山登山口」という古びた看板が草の中に倒れている。このあと道標は一切ない。

かろうじて山道と判別できる踏跡が森林の中へと延びている。分かりにくい道、赤テープを頼りにして緩い勾配を登ってすぐ、杉の伐採木が20本ほど積み重ねたところから、右手へ水平移動するように赤テープが導いている。水平に近い巻き道のようなところを歩いてどうなるのだろう・・・?心配になってくる。足元もルンルンとはいかず、石や凸凹、前を見るより足元だけに注意が行く。

道型を追っていて、ふと気付くと赤テープが見えなくなっている。しかしこの先も人の手の加わった感じの踏跡らしいものは続いている。このまま進んでもいいのだろうか?小さな疑念が湧いてくる。登山口から見たらキラズ山の裏側へ回り込んでいるような気がする。おかしい・・・。

運悪く雲が邪魔して太陽は隠れたまま、東西南北の判断がつかない。気が付くと左手に尾根らしい高みが見えている。その尾根まで登ってみよう、何か見当がつくかもしれない。帰りに迷わぬよう、赤フープをつける。急斜面の藪を分けて一歩一歩上って行く。付けたテープが見える位置で次のテープをつける。その作業の連続。気が付くとストックを持っていない。テープをつけるために手から放し、そのまま置き忘れてしまったらしい。これだけ慎重に目印を残せば帰りに迷うことは100%ない。

キラズ山の東の小ピーク

灌木の露と汗で頭から下着までびしょ濡れ。それでも何とか藪の急斜面を突破して尾根へ出た。さらに尾根を高い方へと進む。これも藪との闘い、もううんざり。そして一つのピークへ立った。巨木が一本立っている、キラズ山?しかし三角点も表示もない。この先、何となく歩きよい感じで藪が切り開かれて道らしきものが下っている。ここはどこだ?地図はびしょ濡れで文字がにじんでしまい役に立たない。木の幹に赤ペンキの印がある。これを進めはどこかへ出られることはまちがいない。ただ、駐車場所とは無関係の離れた場所だったら・・・それが不安、そのときは残してきた赤テープを目印に戻るしかないだろう。

目の前にピークが影のように見えてきた。キラズ山か・・・希望が兆す。藪の急斜面、勾配は半端ではない。きついが文句を言っている場合じゃない。藪の灌木につかまり、木の間を抜け、急斜面と格闘。ふと左手に藪が薄い様子がうかがえる。横移動していくと手入れされた山道。そして急斜面にはロープが取り付けられているではないか。間違いなくキラズ山。濡れ鼠のようになって立った小さなピーク、そこには頭を赤く塗られた三角点標石と、風化して「??山・三等三角点・1187.8m」とかろうじて判読できる板切れ。ベタっと座り込んで水をガブ飲み。登山口から1時間も要しないはずの山を、何と2時間近くを要してたどりついたのだ。せっかくの山頂も木々が邪魔で展望なし。

さて下山はどうする。あの藪を下るのはつらい。さりとて明瞭な道が目の前にあるのにこれを無視する気にもならない。雲が少し薄くなって太陽の位置がわかり、方角の見当もついた。濡れた地図はにじんで読めないが、記憶にある地図と比べる。方角に不安がないわけではないが、ここで見つかった山道を下るのが最善と判断。根拠はキラズ山への登路は一つしかないはず。最初に登りついたピークに戻り、赤テープを頼りに下れば間違いなまく下山できる。どちらを取るか。しばし考えてから見つかったこの道を頼ることにした。

先人がつけた赤テープが頻繁に出てくる。しかし道の状況は非常に悪い。草藪は放置され、草の下が見えないままに歩くので怖い。時にはストンと足が落ちたり、枯れ木に滑ったり、下りだからと言って軽快とは程遠い。もはや登山道の体をなしていないと言いたいほど。このまま2、3年放置されたら歩けなくなってしまうかもしれない。今でも赤テープがなかったら迷わず歩くことは到底困難。実にわかりにくい。

だいぶ下ったところで、道型もはっきりしてきて、何となく記憶に残るものが目に入ったり、これは確かに登りで目にしたと確信できるものにも接して、ようやく元の道へ戻れたことを確信、安堵感を得ることかできた。そして丸太を積み上げてある場所へ戻ると、いっぺんに身も心も軽くなるのを感じた。

それにしても、どうして登りで正規の登山道を見落としてしまったのだろうか。足元が悪く、下ばかりに視線を集中、水平道から登りに変わる分岐を気づかずに通り過ぎてしまったものと推測。一時は緊張感に包まれたが、あわてることなく行動したことで、無事下山できることができた。

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原則としては自己都合で付けた赤テープなどは、帰りに撤去するのが山登りをする者のマナーと心得ています。帰りの目印につけたテープはそのまますべて残してきてしまったことを申し訳なく思っています。
山歩きをしていると、無用もいいところ、何のための目印テープ?と思われるケースも多々ある。私の今回のマナー違反については弁解しません。


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