山岳巡礼  hkk-1548 ≪山岳巡礼≫のトップへ戻る  

  大熊山(1629m)

 富山

 2016.10.14

 単独  三等三角点
 コース 林道入口から500m駐車(6.30)---ゲート(6.50)---登山道入口(7.00)---白骨化した杉株(8.45)---小さい草地(9.45)---大熊山(9.55-10.15)---登山道入口(12.45)---駐車地点(13.10)

【富山百山89 座目】

今回の富山県山行は3日間、「富山の百山」3座=高坪山・大熊山・白鳥山を登るのが目的、これを登ると今年(2016年)5月以降の登頂は29座となり、富山百山90座となる。これでひとまず富山の山は一区切りにしいと思っている。

以前、登山口不明で登れなかった山への再チャレンジでもある。

◆滑川ICから馬場島へ向かう。目標は伊折から少し先、早月川の支流にかかる空色の鉄の橋。この橋の手前右へ林道がある。普段はこの林道は車で入れるらしいが橋梁工事のために進入禁止になっていた。やむなく橋の500mほど手前の道幅の広い場所へ駐車。
橋のすぐ手前、右手へ伸びる林道へ入り、少し進むと二又となる。ここで右手の林道先を見ると鎖で閉じられたゲートが見える。ゲートをまたいで10分ほど進むと杉の木の枝に赤テープが二つ、風に揺れている。何の表示もないがここが登山口らしい。せめて道標の一つもほしいところだ。

杉林のなだらか道は最初だけ、そのうちに急登に次ぐ急登、半端ではない。その埋め合わせのように、このルートは見事な立山杉を堪能できる。この付近の中山、初雪山、細蔵山などと同様、曲がりくねった異様な杉の巨木が、急登のつらさを忘れさせてくれる。

胸をつく急登との戦いは簡単には終わらない。山頂までの1000m近い高低差を一挙に登り切るわけだ。異様な造形美を見せる立山杉を立ち止まってはカメラに収めるが休憩タイムはなし。
立山杉の樹齢は2000年とも言われるらしい。まさにお化けのような巨木である。汗を流さない限りこのお化けにお目にかかることはできない。

立山杉

足場に気を使い、ロープに頼り、一歩一歩高度を稼いで行く。
ようやく立山杉が姿を消し、長かった急登も終わって普通の登山道になった。しかし楽々の登りとはいかない。
大熊山の登山道が拓かれたのは古い話ではないらしい。ルートの整備も決して良くはない。道標のたぐいも皆無でときどき赤テープが見えるのみ。山慣れないハイカーには無理な山かもしれない。

樹相も落葉樹に変わってきて、ようやく青空が見えるようになる。勾配も緩んできて普通の登山道並みにとなる。30歳台の男性が追い越して行った。昔は誰かに追い越されることなんかまずなかったのに・・歳には勝てない。

急登の連続にしては足の疲労もたいしたことはない。休むことなく上を目指す。ナナカマドの赤い実が真っ青な空とみごとなコントラストをなし、樹間からは剱岳の姿も垣間見えるのが楽しい。 しかし油断は禁物、下山時に戸迷いそうなところでは、立ち止まって赤テープをいくつか残しながら上を目指す。

突然目の前に小さな草原が出現、剣岳の全体像が濃い藍色のシルエットで目に飛び込む、感激の一瞬だ。追い越していった男性が下ってきた。「頂上はすぐですよ」との声を残して足早に下って行った。このあとさらに少し大きめの草原を経て大熊山山頂に達した。

大熊山頂上からの剣岳をのぞむ

登山道入口から休憩なしの約3時間、1000mの高低差を登りきった。褒美には十分すぎるほどの展望、何といっても目の前には恐竜の背のようなごつごつした岩峰剣岳がすばらしい。このために3時間汗を流したという感に浸って見つめた。

確信は持てないが視界に入る山々は剣岳のほか、奥大日岳あたり、毛勝三山、遠く白馬岳方面など。しばし山岳展望に目を釘付けにされたひと時を過ごしてから山頂を後にした。

登る途中「ここは帰りに気を付けないといけない」と記憶にとどめたいくつかのポイント、いざ下りに入ると見下ろす景色は違って、簡単ではない。ルートと思って少し下ると行きどまりだったり、2度ほどそんなことがあったが、早く気づいたことと、付けてきた赤テープも役にたって大事にはいたらず下ることができた。決して油断は許されない山であることを、下りで深く印象づけられた山でもあった。

下山後、上市町虎谷の尻高山へ立ち寄るべく車を向かわせたが、登山口へのアプローチがうまくいかずに断念、以前泊ったことのある道の駅「越後市振の関」にて車中泊とした。車内で横になると、窓から十三夜の月が見えた。明日も良い天気になりそうだ。


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