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米子大瀑布から 浦倉山=うらくらやま(2091m)

長野・群馬県 2005.11.04 単独 マイカー 三等三角点
コース 米子大瀑布駐車場(7.40)−−−鉱山跡台地(8.00)−−−沢渡渉(9.00)−−−土鍋山分岐(9.45)−−−浦倉山(9.55-10.10)−−−土鍋山分岐−−−沢徒渉(10.50)−−−鉱山跡台地(11.35-11.40)−−−駐車場(12.00)
浦倉山から浅間山をのぞむ
かねてから登ってみいという思いを温めていた山である。四阿山から稜線つづき、その北方に位置している。

須坂市内から米子大瀑布(日本の滝百選)への林道へ入り、どんどん高度を上げて行く。渓谷の紅葉は例年よりかなり遅れて今が見ごろ。自宅から林道奥の駐車場まで40分で到着。ワゴン車が1台止まっているだけだった。ここは標高1300メートル、ぶるっと身震いするような寒さを感じる。

クマよけの鈴を二つもつけて出発する。
瀑布への遊歩道へ入るとすぐに左手の急な登り道へ分かれる。足元の落ち葉が頭上の紅葉より目を惹きつける。ジグザグ道を20分の登りで鉱山跡地の広い台地の一角となる。瀑布の展望台にもなっている。硫黄採取全盛期には住宅、学校、診療所などがあったという。
瀑布の岩壁周辺は紅葉の最盛期を過ぎているようだ。雪解け期は落下する水量も多くて迫力があるが、この時期は滝も痩せていた。

台地から下り勾配の車道をたどると、木橋で流れを渡って登山道が始まる。すぐに欄干のある木橋を渡り根子岳と浦倉山への分岐点となる。しっかりした道標も立っている。根子岳への道を見送って左手の急登にかかる。小刻みに切られたジグザグを何回も繰り返して高度を上げて行く。
道は思ったよりしっかりしている。ただ、このルートを使う登山者はそう多くはない。この時期クマが気にかかる。やかましいのを我慢して、なるべく二つの鈴が鳴り響くようにして歩く。
ダケカンバが点在して高山の雰囲気が漂っている。いい感じだ。落葉広葉樹林というのは、やはり生きている豊かな森を感じさせてくれる。豊かだからこそクマさんも生息する。杉やヒノキの単相林は、動物たちのエサになる葉も実もなく、昆虫から始まる食物連鎖は生まれない。いっときはクマさんのことを気にしたりするが、豊かな森の雰囲気にすぐに忘れて気持ちは山歩きにそのもへと集中、山を歩く楽しさに気持ちは乗り変ってしまう。本来のん気者のこと、些事を気にしないのがとりえ。と言ってもクマは些事とは言えない、注意を怠るわけにはいかない。
急登ひと登りでジグザグが終ったが、今度は登山道に潅木や笹がはびこってきた。雨の翌日ということで笹や草の露で靴が濡れる。なるべく濡れないようにストックで露払いをした後に足を出して行く。

やがて黄金色に紅葉したカラマツ林となる。笹が一気に密となり背丈も頭を越えるようになる。足元が見えない。それでも笹の茂り具合でその下に道があるのがわかる。足探りするように進む。雨よりひどい笹露、上下の雨衣も水をかぶったようにびしょぬれだ。さっきまで靴が濡れないようにと気を使って歩いていたのがバカみたいだ。
このひどい笹薮はそう長くはつづかずほっとする。その代わり今度はジュクジュクと湿地のような道がしばらくつづく。


浦倉山山頂
左手に小さな沢が登山道と寄り添うようになり、この沢を木橋で右岸へ渡る。
道は見違えるほど歩きやすくなった。勾配もそれほど厳しくない。シラビソにダケカンバの混じる原生林が稜線までつづいている。深山の趣が濃い。幽幻と表現するのは少し大げさだが、頭上の青空は樹木に遮られてしっとりとした雰囲気、肺が洗われるような清浄な大気を意識して、坦々と足を運んで行く。ところどころ笹のかぶる箇所もあるが、それほど密なものではなく、歩くにはさして支障は感じない。

土鍋山との分岐道標が立っている。山頂は近いようだ。このあたりでほぼ稜線へ乗っていると思われるが、感じはまだ山腹の斜面を登っているような気がする。分岐からは見違えるほど手入れの行き届いた道となる。まさに現役の登山道、ここまでの道は言ってみれば過去の登山道とでも言うべきか。このルートを登る登山者が少ないということだろうが、以前は立派な登山道であったことがうかがい知れる部分も、ところどころに残っていた。

分岐から10分で山頂だった。駐車場から所要2時間15分、思ったより早かった。
山頂はシラビソに囲まれて展望はほとんどない。樹間からわずかに四阿山や浅間山、それに御飯岳、横手山、草津白根山などが垣間見えるだけだった。すぐ下にはロープウェイの駅舎らしい建物の屋根が日に光っていた。展望は山頂よりその手前付近の方がいくらかいい。かろうじて雪化粧した北アルプスの銀嶺も遠くに見えていた。
三等三角点があるはずだが見当たらない。少し探してみたが笹が深くて探しきれなかった。

展望もなく、15分で山頂をあとにした。途中まで下ると単独行の男性が登ってきた。あれっ、このコースを登る物好きがいるのだ、なんて自分を棚に上げて感心している自分に気づき、ついニヤニヤしてしまった。

鉱山跡の台地まで下ると、紅葉狩りの観光客が行きかい、けっこう広い駐車場も満杯になっていた。
 
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