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大沢山=おおさわやま(1440m)

長野県 2005.11.08 単独 マイカー 二等三角点
コース 青木峠(7.55)−−−山道入口(8.30)−−−大沢山(9.10-9.20)−−−山道入口(9.55)−−−青木峠(10.25)
≪道標等は一切ない地味な山≫
ひっそりとした大沢山山頂


大沢山は、松本市と上田市の中間付近にある寂峰で、ハイキング向きとは言えない里山風情の山である。しかしこの付近で人気のある子檀嶺岳や四阿屋山、冠着山などより標高は高く、遠くから眺めても大きな山体でよく目立つ。

2万5千図には登山道は載っていない。上田市から国道143号線を松本市方面へ走る。明通トンネルを抜けたところが青木峠。この峠を起点にして林道四阿屋線が右手に延びている。
林道入口には通行禁止の表示があるが、ゲートは開放されていて、車は走れそうだったが、峠に駐車して予定通りここから歩くことにする。

丸山(1201m)のピークを越えていきたいと思ったが、踏跡を見落としたのか、わからないまま林道を行く。
車の走行に不安を感じさせるような箇所はなく、よく整備された林道をつま先上がりに30数分、距離にすれば2キロ余だろうか、左から林道が合流。その先100メートルほどで林道は終点となる。ここが地図の「空峠」と思われる。

以前はこの先もまだ林道は続いていた形跡が残っている。草の茂ったその形跡をわずか進むと、左手に踏跡らしいものが見つかり、これをよじ登ると比較的明瞭な山道があった。
ミズナラなどの落葉樹からは、強い風に吹かれて落ち葉がひらひらと空中を飛び回っている。山道に入って15分ほど、小さな露岩を通過。このあたりから勾配がきつくなってくる。

山道らしい踏跡もところどころ不明瞭となって、うっかりすると道を外しそうになる。古びたビニール紐が枝にくくりつけられているのを目じるしにして急な登りを行く。幸い藪に阻まれるような箇所はなく、コースはほぼ尾根通しにまっすぐつけられている。
ミズナラの落ち葉は派手な色彩はない。その分初冬の山にふさわしい落ち着きがあり、一歩一歩にカサカサと囁くような音色に心地よく足を運ぶ。

右手にヒノキの林が見えるようになると山頂はすぐだった。寂峰にふさわしい山頂には、三角点標石以外に人工物は何一つない。もちろん山頂を示す標柱もない。これはこれでいいものだ。
ハイカーも多くはないと思われるのに、二等三角点の標石は痛々しいほど欠けていた。ミズナラの大木が展望をさえぎっているのが残念。それでも樹間を透かしてみると北アルプスの鹿島槍、五竜、白馬、蓮華岳の銀嶺が遠望できた。
展望は山頂より少し手前のほうがいくらか良く、浅間山、四阿山、子檀嶺岳などものぞめる。

次にもう一座予定していたので、すぐに山頂をあとにして青木峠へと下山した。


予定の2座目は、大沢山から東条ダム湖を挟んだ南側の大洞山(1316m・三等三角点)。
青木峠から143号線を松本市方面へと下って行く。有吉トンネルを抜けてしばらく行くと民家があらわれる。最初の民家のところに巡視路の小さな表示がある。大洞山山頂の電波反射板のための巡視路で、これをたどれば山頂に行けるはずだ。
民家から少し下って行くとチェーン着脱所があったのでここに駐車。

巡視路は林道になっていて普通車でも十分に通行可能な道だ。歩き始めて20分余、林道に通せんぼするようにビニールテープが張られている。突然「山へ入らないでください」という拡声器からの呼びかけ、予期しないことでびっくりする。見ると松の木の高いところにカメラが取り付けられ、人を感知すると自動的に音声が出る仕組みらしい。この辺一帯はマツタケの産地、この山もまたマツタケ山。こうして盗掘から守っているわけだ。
マツタケを盗む気持ちなどさらさらないが、李下に冠をたださず、要らぬ疑いをかけられたくはない。潔く引き返すことにした。
 
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