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岩殿山=いわどのさん(1008m)

長野県 2005.12.01 単独 マイカー 岩殿山 三等三角点
コース 別所集落火の見櫓(7.20)−−−遥拝所(8.10)−−−奥ノ院(8.45-8.50)−−−奥ノ院背後のピーク(9.10)−−−奥ノ院(9.20)−−−分岐・岩殿山へ540m地点(9.35)−−−岩殿山(10.10-10.15)−−−分岐・岩殿山へ540m地点(10.30)−−−別所火の見櫓(11.25)
≪険しい岩場も楽しめる山≫
奥ノ院

長野自動車道・麻績ICを出てR403号線を西進、大町市方面への道標を右折してしばらく走ると「岩殿寺」の道標がある。ここで岩殿寺方面へ左折して、あとは道なりに進むと岩殿寺の前を通り、別所集落の火の見櫓が見えてくる。
火の見櫓のすぐ脇に駐車スペースがあったので隅のほうに止めさせてもらう。
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岩殿寺前から別所川を渡り、林道終点から歩く予定にしていたが、通行止めにつき別所からのコースを利用するようにという表示があり予定を変更した。
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火の見櫓横手の坂道からコースが始まる。車道はすぐ山道となるがなだらかで歩きやすい。肉離れ後の足慣らしには格好のコースと楽々気分で進む。足元には分厚い落ち葉が散りしいてとても気持ちいい。梢からは柔らかな木漏れ日がやさしい。
落ち葉の座布団に座るようにして、陽射しに包まれた石仏がコース沿いにはたくさん見かけられる。この道は、登山道というより昔ながらの岩殿山(=奥の院)への参道であった。

一軒の廃屋の先に『荻道祖神』の石碑があって道は二分する。尾根に向かう感じの右手の道をとる。しばらく歩くと道は再び合流する。左手を進んだ方がよかったかもしれない。
「岩殿山へ○○メートル」の表示が頻繁にあらわれる。道標の「岩殿山」は「奥の院」のことで、三角点のピークをさしているのではない。そうとは知らずに岩殿山の山頂を示すものと思い込んで歩いていた。やがて遥拝所という小さなピークとなる。冬枯れの木立の隙間から、岩殿寺林道からのコースとなっているゴツゴツした尾根がのぞめる


緩やかに延びていた道が、次第に岩の目立つ痩せた尾根へと変ってきた。尾根から谷へ向かって急峻に切れ落ちている。踏み外さないように少し気を引き締めて慎重に足を運ぶ。小さなコルへ下る手前、、岩殿山へ540メートル表示地点で左手に険しく登って行く道が分かれる。しかし岩殿山への道標は直進を示している。左の道はどこへ通じるのだろうかと考えながら直進して行った。(実はこの左手こそ岩殿山三角点へのルートであった)

岩が目立つようになり、目の前に巨岩が立ちふさがった。左の巻き道から通過し、折り返すようにし巨岩の上に立ってみた。北アルプスの展望台と言ってもいい眺めがあった。銀嶺には雲がまといついていたのが惜しかったが、三角錐の常念岳が見ほれるような優美な姿を見せていた。(目の前に見える三角形をしたピークが岩殿山と思って眺めたが、あとで勘違であったことがわかった)そのすぐ先が天狗岩で、おっかなびっくり一番上まで登ってみたものの、足が震えていた。

天狗岩からの常念岳
開山塔などの石造物を見たりして、本堂・拝殿跡の広場となる。岩殿山へ60メートルの表示。そんな近くにそれらしいピークは見当たらない。道標にそって少し進むと石窟のような巨岩の基部に古びた木造神社がある。これが三社権現で、案内にあった奥の院であったが、そのことにまだ気づかなかった。いったいピークはどこにあるのだ。本堂跡周辺をうろうろしたがわからない。
石窟左手は人が近づけそうもない岩壁で、そこに階段状に岩を刻んだルートらしいものが目に入った。頭がぶっつかりそうなオーバーハング気味に張り出したところを、何の手がかりもなくその階段に足をかけるのは怖かったが、勇気を出して無事に移動、上を目ざして登って行く。これをたどれば岩殿山にちがいないと思い込んでいた。途中には石祠などもあるが踏跡は薄くてわかりにくい。帰りのルートを頭に入れるため、振り返り振り返りしてビークに立つことができたが、三角点標石もないし山頂表示もない。しかし周囲にはここより高いピークはない。これで目的の岩殿山へ登った気になって石窟の三社権現まで戻った。

これで今日の予定は終了、あとはのんびり下山という気分だった。
例の「岩殿山へ540メートル表示地点」まで戻ったところで、何となく分岐したもう一方の様子を見てみたくなった。かなり険しい道だが最初は踏跡も比較的しっかりしていた。目印テープなどもところどころ目に付く。
しかし次第にコースはわかりにくくなり、その上大きな岩が立ちふさがったりして戸惑う場面が多くなってきた。行きつ戻りつしたり、立ち止まって思案したりとルートファインディングに煩わされる。
曲がりなりにも前進して、最後に小クジラの背中のような岩に直面、何とかクリアしようとしたが危険すぎる。ここも右手に岩を避けた逃げ道があり、これで山頂に達することができた。見ると損傷した三角点標石がある。これこそ岩殿山のピークであることに気づいた。山頂から先ほどの三角錐のピークを確認、その三角錐の方が目を引く魅力がある。東方には四阿山などをのぞむことができたが、北アルプスは雲がからみついていくつかの山頂部が見えるだけだった。。



帰り道、間違った方角へ降りてしまわないよう注意しながら分岐まで戻った。とんでもない思い違いをしてしまったが、おかげで二つのピークを踏むことができたわけだ。
往きに『荻道祖神』の石碑分岐で取ったコースに入りそこねて、もう一つのコースをとってしまった。下って行くと数戸の廃屋集落跡が出現、こんなところは歩いた記憶がない。間違えてとんでもない方向へ下ってしまったのかと少々あわてる。集落跡は道が何本か輻輳していてどれをたどれば出発地点の別所へ下れるのか見当がつかない。運よく地元のおじさんに出会う。25年前までここに暮らしていた人だった。話好きなおじさんに立ち去るきっかけがつかめないまましばらく耳を傾けてから、教えられた上りかげんの道を進むと、『荻道祖神』の石碑分岐となった。

低山ながら思いのほか険しく、かつ踏跡も薄い歩きがいのある山だった。
 
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