伊那谷辰野町 穴倉山=あなくらやま(1365メートル)

長野県 2006.03.09 単独 マイカー 穴倉山 三等三角点
コース 今村神社(8.05)−−−尾根取付点(8.15)−−−アンテナポール(8.45)−−−1138P(9.00)−−−穴倉山(9.55-10.00)−−−1138P(10.40)−−−アンテナポール(10.50)−−−尾根取付点(11.00)−−−今村神社(11.10)
穴倉山頂の石碑群

穴倉山は郷里辰野町の山、しかし町民ですからこの山の名前を言われて「どこにあるの?」と首をかしげるほどの馴染みの薄い山でもある。私も地図を開いて登れそうな山を探していて始めて知った。

塩尻方面から153号線で辰野町へ向かう。善知鳥峠(うとうとうげ)から10キロ前後走ると『上島=カミジマ』の信号機があり、その先しばらくして左手に「エムケーサイエンス」の看板と、その右手に「香林寺」と書かれたて高さ2メートルほどの石柱がある。ここを右折、狭い道だ。すぐに突き当たって左折、数メートルでまた右折すると香林寺の石段の前に出る。右手に林道穴倉線・起点の表示がある。林道へ入ると左に今村神社があり、その先に水道施設らしいものがあって、その石垣の前に車を止めさせてもらうこしにした。

地図を片手に林道を歩き始めるとすぐに送電鉄塔があり、ここで大きく左カーブ、その付近で木材搬出の作業をしているようだ。(帰りに通れなくなったら困るので、今村神社付近に駐車したが、案じたとおり帰りは大型機械で作業をしていて、通行ができそうもなかった)
つま先上がりになおも林道を進むと今度は右カーブとなり、1133メートル標高点からの尾根が張り出している地点であることが確認できる。この尾根を登ることにする。尾根末端部の土手に小さな石仏が一つ見える。土手を登って尾根へ取付くと明瞭な踏跡があった。この山はマツタケ山で入山禁止の注意書きとビニールの色テープが張りめぐらされている。秋の登山は控えるべきだろう。勾配はけっこうきつく、赤松林の尾根を黙々と足を運んで行く。早くも額からは汗が滴たってきた。樹陰からコガラだろうか、澄んだ囀りが賑やかに聞こえる。
テレビ電波受信用のポールを過ぎると、あと一息で1138メートル標高点に到着、樹林の中で展望はない。

標高点から左直角に折れるようにして、さらに尾根上をたどって行くが、勾配は緩く楽になってきた。立ち入り禁止のビニールテープは相変わらず張られているし、踏跡もやや薄いが踏みはずはおそれはない。
やがて踏跡が見にくくなってくると今度は赤テープの目印がところどころにつけられているのが目に付くようになってきた。こんな山でも訪れるハイカーがいるようだ。わかりにくいところに赤布を残したりしながら進むと、次第に雪が気になるようになってきた。1206メートル標高点はどこかはっきりしないうちに通過してしまったが、やや勾配が強まって雪もべったりの状態になったところで6本爪のアイゼンを着けることにする。(霧氷の樹木の中に石碑三基が立っていたところが1206m標高点だったかもしれない)
樹間から北方の展望が見えるようになる。穂高から槍、常念、燕岳など。ときには白馬方面までのぞめる。間近には藍色をした鉢盛山が大きく横たわっている。
急勾配をキックステップで登りきると穴倉山の山頂だった。山名表示も何もなく、ただ三等三角点標石があるだけ。山頂は奥に長い。先まで行ってみると人工的に削り取られた平地に、石祠や石碑が並んでいる。数えて見たら21基確認できた。地元民でも知る人の少ない山となっているが、かつては周辺集落の民が信仰の対象として大事にしてきたのだろう。今は倒れた石碑もそのままに、訪れる人も限られた過去の山となっているのかもしれない。まさに寂峰であった。

帰りは誤った尾根に入らないように注意するところが2箇所ほどあるが、無名にしては歩きやすい山である。芽吹き前の初春に訪れるのに良いようだ。落葉期ならアルプスの展望も楽しむことができる。
 
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