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黒姫山(2053m)

長野県 2006.10.07 Mさん夫妻 マイカー 地図信濃柏原北西
コース 大橋登山口(8.55)---林道コースとの合流点(10.10)---しなの木(10.40)---休憩(11.05-11.15)---黒姫山(11.55-12.10)---大橋登山口(14.15)
雨の中を行くMさん夫妻
北信濃の山を訪れた関西のMさんご夫妻に同行させてもらった。この冬、スキーでご一緒して以来の再会である。
長期幕営縦走をものともしないご夫妻、かつては健脚にいささかの自信を持っていた私だが、果たしてついていけるかどうか・・・・・

ぐずついていた雨模様の天気だったが、この朝は雨も上がって長野市内では薄日も洩れてきた。長駆関西から車を飛ばして、昨夜からすでに戸隠入りしているご夫妻と連絡を取り合い、このあとの天候回復を期待、登ることにきめた。

大橋登山口からは味気ない林道ルートを避けて本来の登山コースを歩くことにする。この登山口の駐車スペースは2、3台分しかない。
上空には青空も少しのぞいたりしている。紅葉が色づき始めた樹林の中を緩やかに登って行くと古池に出る。池は左手から巻いていく。その後もしばらくは坦々としたなだらかな道で息切れすることもなく、歩きながら再会を楽しむ会話が途切れない。2日ほど降り続いた雨後の登山道は、小さな流れと化したりして条件は
よくない。足元には赤や黄色の落葉が雨に打たれてひときわ色鮮やかだ。コース中、人工林はまったく目につかず、落葉自然林というのが嬉しい。年数を重ねて敷き詰めた落ち葉が、足元の地面をクッションのように柔らかく感じさせる。

1時間15分で林道コースに合流。ブナの大木を透かしてときおり雲の切れ間から薄日らしいものが見えると、裏切られるとも知らずについ天候の回復に期待を大きくしてしまう。なおもゆったりとした勾配の道がつづき『しなの木』の表示のある大木を通過、この先から少しづつ登りがきつくなってくるが、再会の喜びが優先して足への負担はほとんど感じない。最近では上出来の足の軽さだ。
期待に反して雨が降り出してきた。脱いでいた雨具を再び着用。木々の梢を渡る風音が激しい。幸い風は樹木に遮られてはいるが、森林帯を出ると強風にさらされるのを覚悟する。

急登を終って平坦道に変わっところで樹林帯をぬ抜け出し、岩の点在する『しらたま平』となる。展望も一気に開けて天気が良いと休憩に最適なところ。しかしあいにくの天気であたりはガスに閉ざされ休む気もしないまま山頂へ歩を進めた。ありがたいことに思ったほどの強い風は吹き付けていない。雨に濡れたサラサドウダンやカエデなどの紅葉がしっとりとした色合いで鮮やさを強調している。思わず「きれい」と声が出てしまう。
展望コースといも言えそうな見通しのきく長い平坦道だが、その展望の方は残念ながらゼロ。霧の中にこんもりとした高みが見えてくる。それが山頂、先頭を行く奥さんの軽い足取りに引っ張られて、岩の積み重なった最後の急登を一気に登り切った。

遠路訪れたMさんたちには展望もなく気の毒な登山になってしまった。雨の降る中、座ることもできずに記念写真を撮ったりして15分ほどの滞頂で山頂をあとにした。

天気は回復するどころか雨は強くなってきた。登山道も小川のように流れていて、水を避けて足場を選ぶこともできないありさま。じゃぶじゃぶと靴を濡らして下山を急いだ。帰りは西登山道を取ることも考えていたが、岩っぽい箇所も多い西登山道は敬遠、来た道を下り分岐からは林道を歩いて大橋へと下山した。コースタイムに比べるとかなり速いペースだった。

それにしても奥さんの健脚ぶりには感心、しなやかな歩き方というのか、省エネ歩行というのか、山登りのお手本のようなみごとな歩き方。昔甲武信岳でそのような歩き方をする女性を見たことがあるがそれ以来のこと。あれなら重荷を背負っての幕営縦走も苦にならないというのが納得できた。

明日、明後日と高妻山、戸隠山へ登る予定のご夫妻とまたの再会を約して分かれる。天気はあいにくだったが、心は晴れ晴れとした登山に満足して家路についた。