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八ケ岳 編笠山=あみがさ(2524m) 西岳=(2398m)

編笠・・長野・山梨
西岳・・長野県
2007.07.19 単独 マイカー 地図 八ケ岳西武 編笠山 二等三角点
コース ゲート(6.15)---編笠・西岳分岐(6.35)---3本目の林道(6.50)---見晴台(7.05)---標高2000m(7.30)---標高2200m(8.00)---編笠山(8.50-9.05)---青年小屋(9.20)---西岳(10.05-10.20)---林道横断(10.55)---不動清水(11.20)---ゲート(11.40)
編笠山山頂                      西岳山頂
東北への山旅を計画、準備万端を整えたが、天候の見通しが良くない。急遽日帰りの八ケ岳へ変更した。

八ケ岳連峰は北端の北横岳から南の編笠山まで、稜線上のピークは西岳を残してあとはすべてと登頂済みとなってから久しい。
今回の目的はその西岳の方で、編笠山はすでに2回登っている。


編笠山~西岳は日帰りコースとしてうまいこと周回で歩くことができる。参考コースタイムも7時間前後となっていて手ごろだ。
中央高速諏訪南ICを出て信号を左折、エコーラインを横切りTの字で突き当るまで直進、このT字で右折、昭島市キャンプ場、エース証券など、たくさん表示のあるところで山側へ入る。エース証券研修所のある突き当りで右折してしばらく進むと、ゲートのある広場となり、西岳への表示がある。ここに車を止めて出発する。ゲートは山林用の大型車が終日出入りしているので、車はなまるべく端の方へ止める気遣いを。

ゲートは二つあって、どちらにも西岳の表示がある。根拠はないが感で右手のゲートから入る。たぶん先で一緒になるのだと思う。こぬかのような霧雨が舞っている。
勾配を感じさせない林道を20分ほど歩くと西岳と編笠山の分岐、この先も含めて分岐には必ず道標があるので心配はない。編笠山から西岳周回のコースをとることにして、林道と分かれ山道へ入る。途中『盃流』などの渓流を見ながら5分おきくらいに林道を横切って行く。

登山道はよく整備されていて歩きやすい。長々と雄大な裾を引く八ケ岳らしいなだらかな登りは、足も軽くまさにルンルン気分、これで天気がよかったら言うことなしだ。雨の方はときに強くなったりするが、蒸れるより濡れた方がましと思って雨具は着ない。寒さも感じないしむしろ気持ちいいくらいだ。

大きな岩の連なる見晴台という表示がある。岩のところに立つと展望が開けているのだろうがこの天気では無理、立ち寄らずにそのまま通過する。岩の下は大き空洞となっていて10人くらいは楽に雨宿りができそうだ。
コースには100メートルごとの標高が示されている。こういうのはありがたい。××キロとか、○○メートルなんていうのはほとんど目安にならないが、標高差は非常に役立つ。
標高1800メートル地点通過、山頂まで1時間30分の表示。スタートが1440メートルほどだから、これで360メートル稼いだというわけだが、これまでなだらかな登りということもあって時間の割りに稼ぎは少ない。

樹相が八ケ岳らしいシラビソ原生林の趣を感じるようになってきた。登山道両脇にロープが張られ、キノコ山につき立ち入り禁止の表示がある。このあたりから勾配が増してくる。コースはジグザグを切ったりして高度を上げていく。
『標高2000メートル、山頂まで1時間10分』表示を通過、霧雨は相変らずだ。乳白色のもやに包まれたシラビソ原生林は幽邃な雰囲気をさらに高めてきた。

いくらか急登が緩んでいい足休めとなるが、それはつかの間、大岩の狭間を縫うような登りとなる。ゴゼンタチバナがたくさん咲いている。花はずいぶん小型だ。幸い濡れている岩もほとんど滑ることはない。安心して足を置くことができる。
樹林を抜けて森林限界となる。天気がいいと一気に展望が開けるところだ。そこからは堆積した岩の急斜面を、ペンキ印を目印にして登って行く。風もなく濡れたシャツ1枚でも寒さはまったく感じない。岩の頭を飛んだり、両手で這ったりしながら登りきると編笠山山頂だった。
根元の浮き上がった二等三角点標石、編笠山の標識や山梨百名山の標識が岩に埋め尽くされた山頂で雨に濡れていた。

山頂まで展望もなく花もなく、足を止めるきっかけのないまま、標高差1100メートルを休憩なしの2時間35分で登り着いた。
山頂で水分補給と給食で一服してから青年小屋目指して急な下りへ入る。福岡から来たという年配のおばさん二人に会う。今日が3日目、ずっと雨だったとこぼしていた。遠路来遊の人には気の毒な雨だ。
青年小屋から水場を経由して西岳へ向かう。水汲みにきていた青年小屋の人と5分ほど立ち話をする。この水は大変冷たく、手ですくって3杯目にはしびれるほどだった。

西岳へのコースは明瞭で案じることはまったくないが、歩く人はそう多くはなさそうだ。そのためかシラビソ幼木の枝が登山道へ張りだし、それがたっぷりと雨露を含んでいるので、ちょっと触ると水をかぶるように頭から落ちてくる。ストックで露を払ったり、避けたりの繰り返し。地図ではほとんど平坦に見えるこのコースも、実際には小さなアップダウンとなっている。

思ったより時間がかかって西岳山頂へ到着する。山頂は南面が開けていて、天気がいいときっと富士山や南アがよく見えるのではないだろうか。編笠山山頂には花は見られなかったが、この西岳はイブキジャコウソウ、タカネバラ、オトギリソウ、ハクサンフウロなどの花が、数は少ないが可愛く咲いていた。
始めての西岳だったが、展望が得られなかったことに心を残して下山にかかる。

枯れたシラビソを整理するのだろうか、切り口の真新しいシラビソの切り株が何10本となくコース脇に目につく。
マイヅルソウの大きな群落がいくつも出現する。見なれたマイヅルソウにくらべると半分もないような小さな姿に、別の種類かと思って帰宅後調べると『ヒメマイヅルソウ』ということがわかった。
足早にひたすら下って一つ林道を横切る。さらに下って行くとベンチなどのある不動清水、ここで喉をうるおし、その先で林道へ出た。
この林道が今朝ほどの林道かどうか、少し不安を抱きながら進むと記憶に残るものが目に付いたりして、無事にゲートへ帰り着いた。