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富士尾山=ふじお(1296m)

長野県 2008.05.16 単独 マイカー 地図 有明  三等三角点
安曇野寮(5.25)---境界標のある小ピーク(6.05)---祠(6.15)---富士尾山(7.25-7.30)---安曇野寮(9.00)

富士尾山山頂、背後の山影は有明山
五月晴れの晴天に誘われて安曇野の山を歩いてきた。安曇野は田植えの季節、水田の向こうには北アルプスの山々が連なる。残雪の白と藍色の岩のコントラストが、北アルプスを一番美しく見せるときだ。

高速豊科ICを出て豊科市街地から県道25号線(塩尻鍋割穂高線)へ入って穂高町方面へ北上、『ほりでーゆ四季の郷』の看板を目印にさらに北上すると『忍ヶ丘学者村入口』の標識が目につく。ここを左折してすれ違いも難しそうな狭い道を進むと、やがて心細い道となり左手奥に安曇野寮の建物が見える。

寮の前に車を止めて出発する。
どこが登山口がわからないが、寮の前に赤テープがあったのでここから藪っぽい踏跡へ入る。とても登山道とは思えない薄い踏跡だ。赤松の林の中を何とかテープ目印を逃がさないようにして登って行く。

40分ほどで藪こぎ同然の登りが終わって境界標のある明るい尾根上の小ピークに出た。左下に花崗岩の砂礫が見える。目の前には鍋冠山がのぞめる。下山時はここから藪の中を下るとき間違わないようにしっかりと記憶にとどめたつもりだった。

小ピークからは道型がはっはきりしてほっとする。それでも整備の行き届いた道とは言えず、ときには背丈ほどの笹を両手で分けたりしなくてはならない。このあたりはマツタケ山でいたるところ入山禁止の表示が目につく。キノコ採りの道だろう、次々と分岐があらわれて戸惑う場面もあるが、テープ目印と勘で登って行く。
小さな祠が見える。ここも左右どちらをとるか迷ったが、右を取って進む。すぐに何かの施設の跡らしいところを通過する。ときおり不明確になる道に気をつけながら急な登りを終わると、前方に有明山と残雪の燕岳が芽吹きの始まった樹間から見えてきた。ここから山頂までは木の間に有明山と燕岳を左手に見ながらのほぼ平坦な道で、ヤシオツヅシが雑木林の中に点々と咲いている。

山頂は松や雑木に囲まれていて展望は良くない。有明山とその左に燕岳、右に餓鬼岳らしい姿が木の間隠れに見えるだけだった。小さな空間に三等三角点と壊れて半分だけ残った山名標識があるのみ。登る人もめったにいない寂峰ということだろう。

帰りは何回も分岐で立ち止まる。記憶というやつは曖昧で、考えるとますます迷いが大きくなってしまう。それでも歩いていると、ときどき記憶に残るものを目にしたりしてほっと安堵する。
しかし案じたとおり、やはり尾根上小ピークのところから迷ってしまった。慎重に記憶にとどめたはずだったが、結局尾根を右手に一本逸れているのに気づき、途中から藪の中を左の沢へ降り、あとは勘で下って行くと、下の方に安曇野寮の屋根が見えてきた。迷いながらもその後の勘が的中して、大きなロスにはならずにすんだのはラッキーだった。