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猿ケ山(1348m)

富山県 2009.04.30 山友8名 マイカー 地図 西赤尾(金沢)  二等三角点
小瀬羽場家住宅前(8.30)---登山口・鉄梯子(9.10)---送電鉄塔(9.25)---ヤブ---縦走路(10.30)---猿ケ山(12.35-13.35)---休憩(14.30-14.35)---休憩(15.20-15.35)---漆谷(16.30)---小瀬羽場家住宅前(17.15)=====五箇山温泉『赤尾館』宿泊
残雪に覆われた猿ケ山の山頂

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1年に1回同行できるかどうかという山仲間との再会は1年半ぶり。富山県のA氏の案内で8人の仲間が残雪の猿ケ山に登った。山の楽しみが半分、再会懇親の楽しみが半分という気持ちである。

東海北陸道五箇山ICに8時集合。早速A氏の案内で菅沼合掌集落から小原ダムの橋を渡って5分ほどの小瀬へ。小瀬にはたった一軒、合掌作りの宿があるだけ。
登山口へ向かう林道はゲートで閉じられている。オオタカの生息を保護するためにとられた措置らしい。

ゲート前に車を止めて出発する。
口も足も動かして、話がはずむうちに登山口へ着く。長い鉄梯子が斜面にかけられていて、ここから登山道へと入っていく。

多少ヤブっぽいもののコースははっきりしていた。猿ケ山登山に、このルートを使う人はほんのわずかと思われる。もちろん5万図にも記載はない。やがてかなり厳しい藪に変わってきたが、ヤブの下には何とか識別できる踏跡が確認できる。どのあたりから雪が出てくるだろうか。この冬は異常な少雪、このヤブがずっとつづくとしたら厳しい。

どうやら密のヤブ漕ぎは終わって稜線が目の前となる。下山時に藪道へ入るとき迷わないようにテープなどで印しをつける。稜線へ出るとブナの幹などに赤ペンキの印がたくさん目につく。縦走路になっているのだろうか、踏跡もしっかりしていてあとは問題なく山頂へたどりつけそうだ。(まさかこれだけしっかりした道があったのに、下山時にコースを外してしまうことになろうとは夢にも考えなかった)

依然として雪はあらわれない。縦走路状の道をしばらく登ると展望のきく送電鉄塔に出る。東方の人形山、金剛堂山や遠く北アルプスも遠望できる。大気は澄み渡り抜けるような青空だ。鉄塔の先でようやく残雪を踏むようになった。
やや急な雪面を登りきってコースは右へと折れる。緩い勾配の尾根を進むと、突然「あっ!」と声を上げたくなるような景観が目に飛び込んできた。広々とした雪原にコケを樹肌にまとったブナの大木が点在、異空間に入り込んだような錯覚を覚える。密生したブナ林でないのが、かえって特異な雰囲気をかもしているようだ。しばし足を止めて見入った。オオタカがこの環境を選んで棲んでいても不思議はない、そなんな気がしてくる。

広い雪原を進むと最後の登りが待ってる。全面雪の斜面はどこを歩いてもいい。なるべく勾配の緩い、そして無駄な迂回をしないで済むルートを見極めながら登っていく。残雪帯は涼しい冷気があるとはいえ、初夏のような太陽に照らされて汗がしたたる。途中ブナの肌にクマの爪あとを目にしたりしたが、この雪斜面には通り過ぎてそれほど時間がたっていない鮮明な足跡も見かけた。

登り切った前方に満月を見るような円形の山頂が待っていた。先日の寒気による降雪後は登山者もなかったらしく、無垢の雪を踏んで山頂に立った。しかし前方を見るとまだ先に三角錐のここより高く感じる三角錐が見える。山頂を踏み残したらあとで悔やまれる。とりあえずそこまで足を延ばし、さらにその先の小雪原まで行ってみた。

円月状ピーク付近の展望の良い場所を選んで昼食。
大門山、大笠山、笈ケ岳、三方岩岳、白山などはまだたっぷりと雪をかぶったままだ。遠くには北アルプスも確認できた。

長い休憩のあと下山にかかる。
鉄塔から先、あんなにはっきりしていた道を、まさか間違うなんて夢にも考えいなかった。いつしか「あれ?この道歩いた記憶がないよ」ということになってしまった。ブナにいっぱいついていた赤い目印も見なかった。間違いに気づいたが歩いているのは送電鉄塔巡視路だ。どっちにしても小瀬とはまるっきり方向ちがいのところへ降りてしまうという心配はないだろう。戻ることは考えずに巡視路を下りつづけた。

全員熟年を超えて高齢ともいえる仲間たちだが、山歩きにかけてはベテランぞろい、迷ったという不安はなく、途中イワウチワ、カタクり、タムシバ、アズマシャクナゲ、ニリンソウ、イカリソウ(?)、ショウジョウバカマなど、花々をしっかりと観賞する余裕は失っていない。

どこかの林道へ飛び出すことを期待したが、その前に放置されたワサビ田跡へ出た。そこは狭い谷あいの沢で、そのまま歩きにくい沢沿いを何回も渡り返しながら下っていくことになった。ようやく道路が見えてくると、1軒の民家があり、漆谷という集落だった。地図を見ると小瀬から南へ4キロほど離れた地点へ下りたとがわかった。

好展望の送電鉄塔から下ってきて、赤ペンキのブナまで行かないうちに、東斜面への下り道へ誘い込まれてしまったのが失敗だった。

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下山後は五箇山重要文化財岩瀬家前の赤尾館に投宿、温泉で体をほぐし、酔うほどに話は盛り上がり楽しい宴のひとときを過ごした。