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関東百山大真名子山おおまなこやま(2375m子真名子山(2322m)
登頂年月 1995.06.25 天候 晴れ 単独 マイカー 大真名子山三等三角点
小真名子山三等三角点
志津乗越(4.30)−−−大真名子山(5.35-5.50)−−−鷹の巣(6.18)−−−小真名子山(6.45-7.05)−−−富士見峠(7.30)−−−馬立(8.12)−−−志津乗越(8.55)

大真名子山山頂からは男体山と燧ケ岳が重なって見える
行楽帰りのラッシュにぶっつからないよう、早めに帰りたくて深夜1時に自宅を出発した。

家族にたとえられる日光連山は、父・男体山、母・女峰山、一男二女は太郎山と大真名子山と小真名子山という取り合わせが良くできている。登り残した大真名子山・小真名子山を気にしてからもう何年にもなる。定年退職して東京を離れれば、日光周辺を訪れる機会は滅多に持てないだろう。そんな思いで計画した。

東北自動車道の佐野を過ぎるあたりから雨となり、大谷、鹿沼付近ではバケツをひっくり返したような土砂降りというひどさ。とても登山どころの話ではない。観念しながらも、宇都宮ICから日光道路へ車を飛ばすと、途中から雨は止んで、その先は道路も乾いていた。
闇の中に黒々とした日光連山が見える。
光徳牧場手前で志津林道へ入り、登山口の志津峠へ着いころ夜が明けた。標高1800メートルの峠は、夏とは思えぬ冷気が身に染みる。

早速身支度をして4時20分出発。小笹のかぶった細道から登山道へ入る。笹露でたちまち膝から下が濡れてしまう。小笹の道を数分で通り抜けると、黒木の針葉樹林に変わって急登を攀じるようになる。青銅製の神像が下界をにらむように立っている。登山者も少なく静かなコースということになっているが、道は明瞭で歩きやすい。亜高山帯の雰囲気が漂う原生林に、 野鳥の囀りがよく透る。志津峠から山頂まで標高差600メートル、コース タイム2時間10分、登りは急で厳しい。それだけにどんどん高度を上げてゆく。15センチ角の板を、三角形二色(=橙と黄色)に塗り分けた案内目印が、樹の幹に打ちつけられている。積雪時のためであろう。朝陽を受けた男体山の純重な姿は、戦場ケ原側から見る均整の取れた男体山と違って、ありふれた平凡な山にしか見えなかった。
耳を澄まし、嗅覚を研いで原生林の幽気の漂いを五感に感じ取りながら足を運ぶ。
大岩の上に再び神像を見る。巨岩帯は鎖や梯子が取りつけてあるが、それを頼る必要もなく越えると、傾斜が緩くなってきた。
コースタイムの半分の時間で山頂に到着した。露岩の小さなピークには、木の香のしそうな建て替えられたばかりの社が建っていたが、古い社の廃材を燃やした残骸が、汚らしく散乱しているのは興ざめだった。
まずまずの青空が広がり、眺望もそこそこ得ることができる。正面に男体山、そして朝陽にハレーションを起こしたように白っぽい奥白根山、目の前の太郎山を中にして両サイド遠くに燧ケ岳・至仏山・平ケ岳、そして会津駒ヶ岳や帝釈山塊‥・これからたどる小真名子山やその先には逆光線の如峰山。  
山頂でスケッチをしたりしてから次のピーク、小真名子山へ向かった。しばらくは尾根の南側、小潅木と草原の明るく輝く平坦な気持ちいい道だが、それはわずかの間で、その後黒木の原生林の中を一気に下降して行く。コ ルまでの標高差は300メートル弱。オオシラビソ等の原生林は、風倒木が重なりあって散乱していたが、登山に邪魔になるものは整理されてい。

小広い草のコルに降り立ち、小真名子山へは再び250メートルほどの標高差を登ることになる。
休まずに急登に取りつく。道が分かりにくいというガイドブックとは関係なく、はっきりとした道が山頂へつづいていた。
この登りも急で厳しかったが、休まずにワンピッチで登り切った。三等三角点の小真名子山は樹木に囲まれて眺望はなく、そのかわり寂しいほどの静けさが漂っていた。

腰を下ろしてしばらく休憩してから富士見峠へと向かって下山の途についた。山頂ら1〜2分行くと、パラボラアンテナのある広い空間がある。展望も利いており、山頂よりここを休憩場所にした方がよかった。
大真名子山の復習となる展望をもう一度楽しんでから、富士見峠への急降下にかかった。崩落地の急斜面につけられたコースは、黄色いペンキ印が導いてくれる。いつ落石が起きるかと気を使う険しい下りを、足場を選びながら慎重に足を運んだ。季節は夏を迎えようとしているのに、雑木林の芽吹きははじまったばかりで、初々しい若芽の緑がことさらに映えていた。

コルまで下ると、そこは十字路の富士見峠だった。如峰山への登山道と別れて、林道を志津峠へと下って行く。野鳥の囀りを耳にしながら、大きなダケカンバの目につく長い林道 歩きだった。
間もなく志津峠というところに、車両通行禁止のゲートが閉じられていた。日光から入って来れば、ここで自動車は行き止まりとなるわけだ。

これで日光周辺の目ぼしい山は大半登り終った。


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