kanto-050 関東百山・関東百名山一覧表へ戻る
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登頂年月日 1994/12/17 | 天候 快晴 | 同行者 単独 | マイカー利用 | |||
自宅===八王子IC===一ノ瀬(7.40)−−−中島川口(8.15)−−−黒槐(9.30)−−−水干尾根(10.00〉−−−笠取山(10.05-10)−−−2044Мピーク(11.00−20)−−−唐松尾山(12.00)−−−山の神土(12.30-13.00)−−−一ノ瀬(14.20) | ||||||
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キャンプ場からこの登山口までのコースは、地図とはかなり違っていた。 太陽を背に、整備された登山道を行く。足の長い霜柱が落ち葉を持ち上げている。日陰にはときどき雪が見える。やがて途切れることなく雪を踏むようになった。雪に印された狸や鹿や兎や猿の足跡を見ながら歩くのは、冬山歩きの楽しみの一つでもある。厳しい寒さの中で、食物を求めて行動する野生動物の様子を思い描きながら、黒槐尾根の分岐に着く。この付近が東京都の主要水源、多摩川の源流地点である。 黒槐分岐からは水源管理道が稜線の下部を巻いて東へ延び、これが奥秩父縦走の一般登山道ともなっている。今日はこの水源管理道をとらず、このまま笠取山へ直登し、稜線を唐松尾山へと向かうことにしている。 凍てついた道を進むと『水干尾根』の道標がある。ここから左へ行けば雁峠、右へ行くのが唐松尾山への稜線縦走コース。とりあえず笠取山の山頂へ向かう。滑りやすい雪や木の根に注意しながら、山頂まではすぐだった。ネコの額ほどの小さなピークで、南に開けた眺望は富士山と南アルプス連峰、奥秩父核心の甲武信、国師ケ岳などがあった。 ひとわたり展望を楽しんでから水干尾根まで戻り、稜線を唐松尾山へ向かう。 この稜線コースは薄い踏跡程度の道ということだったが、意外に明瞭な道だった。南アルプスや富士山を眺めながら、雪の道を気持ち良く足を運んで、展望のいい2044メートルピークに達したところで腰を下ろした。富士山を正面に、白銀の南アルプスを遠望しながら熱い紅茶を飲んでいると、しみじみと山歩きのできる幸せが湧いて来る。 雪に座して眺めれば、登頂した馴染みの山々がいくつも目に入る。どこの山へ登っても10や15は登った山々を名指すことができる。いつのまにか沢山の山へ登って来たものだ。 20分ほど休憩した後、目の前に黒々と聳える唐松尾山へ向かった。いったん下ってから、アイゼンのほしいような急登を登り詰めたところが唐松尾の山頂だった。地味な山頂で三角点標石がぽつんとあるのみ、樹林に囲まれたピークだった。 樹間からときおりのぞく白石山(和名倉山)を見ながら、山の神土まで下って来ると、水源管理道がここで合流していた。北へ分岐して行くのが白石山(和名倉山)への道である。 陽射しの中で30分ほど休んでから、将監峠経由で一ノ瀬への道をたどる。里はまだ遠いのに犬の鳴き声が聞こえる。二又で念のためコースを確認して、一歩二歩と足を進め始めた。犬の吠え声がすぐ近い。そのとき突如目の前を黒い砲弾が猛烈な勢いで横切った。距離4〜5メートル。薮へ突入していった後ろ姿は大きなイノシシ。度肝を抜かれるような迫力だった。私があと2〜3秒早く進んでいたら、もろに突進して来るイノシシに激突されたかもしれない。胸を無で下ろして下って行くと、尻をざっくりとえぐられた犬がいる。今のイノシシにやられたものに違いない。その先には鉄砲を持った猟師が要所要所に陣取り、犬の追い出すイノシシを待ち構えているのだった。イノシシも恐ろしいが、誤って撃たれないとも限らない。冬山の恐怖体験だった。 (1994年12月記) |