追想の山々1046  up-date 2001.06.25

芽室岳(1754m) 登頂日1994.08.13 曇り 妻同行
帯広ホテル(7.00)−−−登山口(8.00)−−−芽室岳(11.00-11.45)−−−登山口(13.30)===狩勝峠===トマム
所要時間 5時間30分 1日目 ***** 2日目 **** 3日目 ****
                  1994年・北海道の山旅〓その5〓(57歳)
 
芽室岳山頂

カムイエクウチカウシ登頂で、今回の北海道山旅にもひと区切りついた。翌日は丸一日のんびりと観光バスに乗って十勝平野の観光にあてた。その夜は軟弱にもまた帯広駅前のビジネスホテルに投宿した。  

帯広で一夜を過ごして、天気がよければ芽室岳へ登るつもりでいた。外は雨がしょぼしょぼと降っている。『まずいなあ』2日つづけて山へ登らないのは勿体ないし、しばらく思案しながら様子見を決め込んだ。
ホテルの窓から遥かに日高連峰がのぞめる。雨は降っていても空気は澄んで、意外に雲は高いことがわかる。どっちにしても問題にするような雨ではなさそうに見える。案の定、しばらくすると雨は小やみとなってきた。

とにかく登山口まで行ってみることにして、7時ちょうどホテルを出た。自動車を進めるほどに雨は上がり、芽室岳と思われるあたりの山の姿も見えている。どうやら大丈夫だ。  
今日の芽室岳は妻も同行、絶対に急かせたりしないで、妻のペースに合わせることを自らに誓う。  

羽広16号線への入口を通過して戻る一幕もあったが、あとは芽室岳登山口の看板を見ながら、広大な町営牧場の真ん中を突っ切り、林道を山懐へと入って行く。今朝通ったばかりの轍の跡が残っている。雨を気にしながら出かけて来たが、先に登山者が入っている様子に、少しばかりの安堵感を覚えた。  

林道終点は広場になっていて、片隅にはきれいな山小屋が建っている。雨はすっかり上がっていた。二人の女性が出発して行った。我々も支度を整え、登山届に記帳して芽室岳への登頂にかかった。  
登山者の多い山らしく、コースは大変よく手入れされている。日高の山の中では、アポイ岳と並んで、最も登山者が多く、最も登りやすい山だと思われる。ほどよい勾配で、格好のハイキングコースは、やがて尾根道にかかり傾斜が急になって来た。  

妻の要望があるたびに短い休憩を重ねる。ダケカンバの樹間から芽室岳が顔を出した。雨こそ降らないが、好天とは言えない。展望もない単調な尾根を約2時間15分、西峰との分岐に着く。直進して行く西蜂へのコースと別れ、芽室岳へは直角に左へ折れる感じで、トラパース気味の平坦道を行く。

潅木林のトラバースは、木の根が浮き上がって歩きにくい。トラバースを過ぎると、とたんに肌寒い風と、去来する霧の世界に変わった。ハイマツと低潅木が高山帯のムードを醸し出している。ウラシマツツジの群生が見える。きっと秋の紅葉が見事だろう。
一度小さいピークに立ったあと、やや急なハイマツの登りを一投足で山頂に着いた。日高山脈北端、『一等三角点芽室岳』である。巨岩の露出した山頂は天気がよければ絶好の展望台であることがよくわかる。  
先発の女性二人と、50才代の夫婦が岩陰で風を避けながら休んでいた。 ときおり霧が払われた隙間から、南方に高度感ある連嶺があらわれる。ルベシベ、チロロなどの日高山脈北部の山のようだが定かでない。  

今回の日高山行では、ついにその雄大な日高を目にすることなく終ってしまった。無念さは残るが、予定どおりの登頂を果たした満足感を味わいながら、寒い風を避けて岩陰で昼食かたがた休憩にした。眺望のない寒い山項に長居は無用、先着の夫婦が下山して行ったのを追いかけるように、我々も山頂を後にした。
途中から遅足の妻よりひと足先に登山口まで下って、コーヒーを作っ て待った。  
今日の泊まりはトマムの保養寮。途中経由する狩勝峠の大展望は、北海道のみならず全国的にも名高い日本新八景のひとつと聞いたような気がする。この前は惜しくも霧で展望が得られなかったが、今日は眼下に果てしなく広がる十勝平野の眺めを楽しむことができた。
トマムは大規模なリゾートで、ホテルをはじめ近代的な保養施設が点在、全体感がつかめないほど広大だった。  
二人だけではもったいないほどのスペース、風呂、台所もついてまことに快適である。今晩、明日とここに2泊、ゆっくりできる。手作りの夕食を済ませ、明日の芦別岳のため早めに就寝した。