追想の山々1062  up-date 2001.07.03

大雪 旭岳(2290m) 登頂日1989.08.15 晴 妻同行
層雲峡ロープウエイ・リフト 黒岳7合目(7.05)−−−黒岳(8.10-20)−−−北海岳(9.40-50)−−−間宮岳(10.30)−−−旭岳(11.35-12.10)−−−姿見の池(13.30)  ロープウエイ・旭岳温泉===天人峡温泉
所要時間 6時間25分 1日目 ***** 2日目 **** 3日目 ****
   1989年・北海道の山旅(その4)=(52歳)
旭岳(姿見の池で撮影)

大雪山はアイヌ語で《ヌタクカムウシュペ≫と言って《神々の遊ぶ庭》という意味だという。神秘的かつ楽園の雰囲気を想像する。
層雲峡ロープウェイで五合目駅を降りると快晴、目の前の黒岳は高度感がある。次にリフトに乗り継いで七合目へ。

登山届けを提出して大雪登山へ出発する。登り始めてすぐに七合目の標識がある。
ひと汗かいて急な登りを終れば、前方が開けて黒岳山頂に到着。眼前に広がった大雪のパノラマは、登りの汗に十分に見合うものだった。アルプスのように鋭鋒が競い合い、聳立している景観とは異なり、広々とした高原状台地が波打ち、そこここに隆起を見せおだやかなふくらみを見せている。
白鳥千鳥の雪形が、そして凌雲岳、桂月岳・・・白雲岳、北海岳、その右肩の奥には主峰旭岳。ゆるやかな起伏を持って連なる様は、いかにも北海道らしい大きさとおおらかさに満ちている。

眼下に見える石室目指 して下っていく。道沿いは高山植物のお花畑が広がる。石室からは北鎮岳へのコ ースを見送り、北海岳方面へ進む。エゾノツガザクラ・アオノツガザクラが勿体ないほどに咲き競っている。このあたりを美ガ原という。流れの木橋を渡る。咲き乱れる高山植物に目を奪われっぱなし。雪田脇のベンチで小休止。周囲はエゾコザクラの群落で埋めくされている。花見の休憩である。

*  
北鎮岳方面  お花畑
雪田を離れて北海岳への尾根道に取り付く。やや岩っぽい急坂を登り詰めたあと、ゆっくりと稜線を辿ると広々とした北海岳の頂上だった。足下お鉢の荒涼とした眺めは、まるで月面でも見ている気がする。
お鉢を右に見ながらゆるい起伏をもって、松田岳、 荒井岳とピークともつかぬ頂を二つ越えて間宮岳へ。間宮岳は、黒岳から雲の平回りの登山者も合流して賑わっていた。目の前の旭岳はガスに隠れたり現れたりしている。一休みして旭岳とのコルまで下る。霧の切れ間から時折見える旭岳は富士山の山肌を思わせる砂地の斜面だ。コルには大きな雪渓から豊かな水が流れ出し、広々としていて幕営地としては最適な感じのところだった。

これからが厳しい登りだ。10分登って2分休みのペースで行くことにして出発。妻は登山道を行き、私は雪渓を登る。雪渓が切れて砂礫の登りになると、足元が崩れて全然踏ん張りがきかない。妻は余りに急な傾斜と足場の悪さに悲鳴を上げている。どこに足を置いてもずるずると下がってしまい登れないのだ。それでも一歩登って半歩下がるような悪戦苦闘の登りをつづけているうちに、ようやく少し傾斜も楽になってこの急登を克服した。  

 
化雲岳から白雲岳をのぞむ  旭岳山頂
たどり着いた頂上は旭岳温泉方面からの観光客に登山者も交じって大変な人だ。ここが北海道第一の高峰、2290メートルの旭岳である。残念ながら遠望は雲に遮られてあまりよくない。融雪沢方面に広がる広大な原生林の樹海と、その中に点在する湿原や沼の眺めがいい。

ひと休みして簡単な食事を済ませてから姿見の池への下りにかかる。この下り、妻にはまたまたひと苦労だった。私から見れば何でこの程度の下りが・・・と思うのだが、砂轢の急坂をへっぴり腰でおそるおそる歩いている。時間をかけてようやく姿見の池に下り着いた。
ロープウェイ駅へ下ってからバスで天人峡温泉に向かった。今日の晴天は本当に助かった。もし雨だったら妻を連れて風雨のなか、さぞかし大変だったことと思う。