追想の山々1098  up-date 2001.09.03.

樽前山(1024m) 登頂日1992.08.17 妻
7合目駐車場(14.50)−−−東山(15.30-40)−−−7合目駐車場(16.10)
所要時間 1時間20分 1日目 ***** 2日目 **** 3日目 ****
   1992年・北海道の山旅(その7)=(55歳)
背後が東山ピーク


久しぶりに糠平温泉元湯館の畳の上で伸び伸びと寝ることがでた。起きぬけに露天風呂に浸かる。朝湯はいい、予定の山を無事登り終えた解放感も手伝って、歌でも歌いたくなるような爽やかさである。  

3泊した糠平を後にした。
然別湖で朝食代わりにラーメンを作る。観光客がぼつぼつ出はじめていた。
清水町から日勝峠へ。日勝峠への上りは濃霧だったが、峠を越えると青空が見えて来た。国道からそれて峠の展望台に寄り道してみた。日高山脈の展望が望めるかと思ったが、 格別の眺望はなかった。  
日高==富川==苫小牧と走って今日の野営地支笏湖への到着は、予定より早い午後1時を過ぎたばかりだった。
支笏湖畔のキャンプ場にテントを設営。夕刻までの時間をこのまま過ごすのが勿体なくて、日本三百名山の樽前山を登ることにした。支笏湖畔を挟んで北岸に恵庭岳、南に樽前山が聳え、湖と一体をなす優れたその景観が呼び物となっていたが、残念ながら今日は湖周の山々は雲に閉ざされていた。  

標高636メートルの七台目まで自動車道が通じているので、登山というより観光の山として、だれでも気軽に山頂に立つことができる。  
7合目の登山口には駐車場のほかに、ヒュッテや売店もある。  
駐車場から潅木の登山道に入る。下って来る人達は空身の観光客ばかりで、ハイキングらしい格好は皆無。午後3時という時刻ではこれから登るという人は見当たらない。10分ほどで潅木を抜けると、砂礫の展望地で薄靄の中にぼんやりと支笏湖が見下ろせた。
湖畔からは見えなかった樽前山の頂も、ここからは手が届きそうだ。もう一度潅木帯を通り過ぎると、火山礫地のざくざくした広い道となる。この礫地をしばらく歩いて、右へぐるっと弧を描くように回りこむと、左手に火山礫の斜面がつづき、その裾には緑の絨毯を敷き詰めたような樹海が広がっていた。それは富士山をしのばせるような景観だった。目につく植生は、これも富士山と同じオンタデ。  
日陰に入ると、標高1000メートルそこそこの高度とは思えないような冷たい風が肌を衝き、硫黄臭が鼻をつく。火口縁はすぐだった。  

火口縁を左回りに登り詰めると三角点の山頂だった。櫓を組み天幕で覆っ て三角測量の作業をしていた。三角点を見たいと言って頼むと、天幕の裾を上げて標石に触らせてくれた。  
熔岩ドームが猛々と噴気を上げている。そこが最高点であったが勿論登ることは不可能だ。 恵庭岳が見える。標高わずかに1300メートルとは思えない堂々とした風格があり、その姿は登高意欲をそそった。

予定外の山をひとつ稼ぎ、大いに得をした気分で同じ道を登山口へ戻った。
湖畔のキャンプ場は深夜まで若者の騒がしさに悩まされた。
翌日札幌観光をしたのち、苫小牧港からフェリーで大洗へ向かってこの山旅を終えた。