追想の山々1114 up-date 2001.09.23
駒の湯キャンプ場(5.00)===イワカガミ平(5.30)−−−栗駒山(7.00-45)−−−東栗駒山(8.20)−−−イワカガミ平(9.25)===駒の湯キャンプ場(10.00) | |||||
所要時間 4時間00分 | 1日目 ***** | 2日目 **** | 3日目 **** | ||
1992年・日本300名山東北の山旅(その7)=(54歳)
今回の東北山旅最後の栗駒山である。毎日一山づつ登って今日で7日目、これで終ると思うと、充実感、安堵感の一方で一抹の淋しもある。 朝食を済ませ、手早くテントをたたんで登山口のイワカガミ平へと車を走らせる。栗駒山山頂には雲がかかっているが、私たちが頂上に着くころに晴れてくれればと願う。 早朝のイワカガミ平はひっそりとしている。駐車場建物の前を通って中央コースを山頂へ向かう。石を敷き詰めた遊歩道のような道が低潅木の中に伸びている。樹木はなく高山の雰囲気がある。鴬がしきりに囀っている。敷石道が終わって地道となると山歩きの気分となった。 栗駒山頂にかかっている雲はまとわりつい離れないが、隣の東栗駒山がゆったりとした姿を見せている。 中央コース尾根と東栗駒山尾根の間のカール状斜面には笹原が広がって、朝日を浴びた朝露が宝石のように輝いている。高原のようなおだやかな山容が、いかにも東北のおおらかさを象徴しているようだ。 花の咲く急登となって、ひと足ひと足崩れるような足場の悪い斜面を登り切ると山頂だった。 霧の山頂には高校生らしいパーティーが須川温泉から登って来ていた。大きな山名標柱と社がまつられている。山名は“酢川岳一等三角点”と書いてある。栗駒山は岩手、宮城、秋田県に接し、それぞれに呼び名をもっていて、栗駒山というのは宮城県、岩手県は酢川岳、そして秋田県は大日岳と呼んでいる。 案内板には 『栗駒山は奥羽山脈のほぼ中央部に位置し、三県にまたがる休火山で、かつて秋田県では大日岳と呼ばれ親しまれてきた。標高1627.7メートルの複成火山である。東北地方の高山としてはがいして高い山ではないが山の懐が深く山頂にいたるまでよく自然が保たれています』これは秋田県が書いたものであろう。 青空が見えてきて、眼下に昭和湖や須川温泉が俯瞰できるようになった。しかし私たちの登って来たイワカガミ平方面は濃い霧が動く気配はない。しばらく山頂で晴れるのを待っていると、西の雲が少し切れて鳥海山が雲の窓から浮かび上がった。久しぶりの対面だった。 再び雲が上空を閉ざし、展望を諦めて下山することにする。東栗駒山経由のコースをとる。がれを下るとあとは東栗駒山までゆるやかな稜線歩きがつづく。振り返ると栗駒山が姿を見せている。間近に見ると特色のない丘のような平凡な山容で、ちょっと意外だった。 東栗駒山頂はどこが山頂かわからないような平坦な稜線だった。 イワカガミ平へ向けて下って行く。ときおり登って来る登山者と行きちがう。しばらく下ると沢に突き当たった。ロープにつかまって対岸に渡ったが、そこから進むべき道が見当たらない。妻を連れて沢を下るというのはいやな感じだったが、どうもそれしかなさそうだ。5分も下ると再び斜面の潅木の中へ明瞭な道が現れた。このコースは登りのときは分かりやすいが、下りは利用者も少なく、ややわかりにくそうな気がした。 雨でえぐれた溝状の道を下るようになって足場が悪くなる。絡み合う木の根や岩を足場に、いらいらするような道だ。道というより雨の削った沢というところだ。それに潅木の中が蒸し暑い。 東栗駒山から1時間でイワカガミ平に下山、朝より霧が濃くなっていた。 駒の湯温泉に入浴してから栗駒高原を後にして、7泊七山七湯の山旅を終った。 |