追想の山々1123  up-date 2001.10.09

烏帽子岳=阿蘇(1337m) 登頂日1998.05.16 単独
草千里(8.50)−−−西尾根経由−−−烏帽子岳(9.35-40)−−−中央コース−−−草千里(10.15)===湯之谷温泉===長崎県島原へ
所要時間 1時間25分 1日目 ***** 2日目 **** 3日目 ****
1998年・九州早がけ登山・8日間で14座=(52歳)
大崩山・傾山阿蘇烏帽子岳・普賢岳・多良岳〜経ケ岳・天山・背振山・英彦山・釈迦岳・大船山〜平治岳・湧蓋山・由布岳・鶴見岳・尾鈴山

阿蘇烏帽子岳
烏帽子岳一等三角点
=一等三角点百名山

九州3日目。九州全域が激しい雨になる模様。竹田市のビジネスホテルでこれからの行動をあれこれ再検討してみる。天気が西から移って来ることを考えると、この際西部へ移動するのが賢明な気がする。
計画にはなかった長崎、佐賀県方面の山を登るべく予定を変更。
長崎・佐賀方面への途上に阿蘇を経由するので、一等三角点百名山の烏帽子岳を登って行くことにした。天気が荒れているようだったら、登らずに通過してしまっても構わない。草千里浜からの往復なら2時間もかからない。多少の天候の悪さは問題にならないだろう。

竹田市はかなり強い雨が降っていたが、阿蘇のカルデラに入ると意外に降りかたはおだやかだ。有料阿蘇登山道路へ入って高度が上がっていっても、雨はさほどひどくはなく、日本ばなれした雄大な阿蘇の景色が良く見える。雨に濡れたみずみずしい青草を食む牛や馬たち。起伏して波打つ緑の絨毯と見まがう草原。しかし展望台へ上がるとさすがに風が強い。  
とりあえず草千里浜駐車場へ入る。この天候にもかかわらず、朝から大型の観光バスが数台止まっていた。  

天気がいいと目の前に見えるはずの烏帽子岳だが、雲に隠されてその姿は望むことかできない。雨はそれほど激しいこともなく、これなら充分登山が出来そうに思える。なぜか烏帽子岳への道標はまったく見当たらない。駐車場のおじさんに聞いて山頂へのコースを確かめる。  
3日連続で長靴といういでたちになってしまった。
登りは右手に見える尾根から登ってゆくことにした。草千里の草原を適当に突っ切って尾根に取り付いた。散策道の道標がある。すぐに眼下の草千里はガスの中に沈んで見えなくなってしまった。烏帽子岳への道標が一つくらいあってもよさそうに思うが、一つとして見当たらない。しかし道型ははっきりしているので、それをたどって登ってゆく。あたりに赤紫色のツヅシの群落があらわれる。ミヤマキリシマかと思ったが自信がない。
やがて右手にピークらしい頂がガスの切れ間からうかがえるようになった。それが烏帽子岳山頂だった。所要45分の登りだった。もちろん眺望はゼロ、一等三角点で記念写真だけ撮ってすぐに下山にかかった。下りは反対側の尾根を伝って降りることにした。  

道標がない上に見通しもきかないいので、ちょっと心配もあったが、違ったら戻れぱいい、そう思って踏み跡をたどって反対尾根方向へ向かって下って行った。ところが踏み跡はときどき枝分かれしたりして、どっちへ行けばいいのか迷って立ち止まる。あまり右へ寄りすぎると草千里へ降りられないような気がする。ここは草原の山、天気さえ良ければ草千里浜が一望のはず、それを見て歩けば何ということはないのだろうが、とにかく今日は濃いガスの上に踏み跡も幾筋にも乱れ錯綜している。
二又の踏み跡の一つを感で選び、見当をつけて下って行くと、すぐに潅木のトンネルになった。梢の露を浴びながら背をこごめて歩く。やがて険しい下りとなって、潅木などにしがみつかないと降りられなくなってきた。「これはやばいことになってきたな」一人でつぶやきながら、「まあなんとかなるだろう」、戻る気にもなれずにそのまま下って行った。6〜7メートルの崖にぶち当たる。つかまる手がかりもあまりない。それでも慎重に手足で確保しながら下りきると、そこからは平坦な草原となり、どうやら草千里浜へ降り立ったらしい。駐車場の方から音楽が流れてくる。草原を適当に歩いてゆくと池が見えてきて無事駐車場まで戻った。  

反対側の尾根を下る予定が、西尾根と東尾根の一般コースではない中間を下ってしまったらしい。
湯の谷温泉の観光ホテルで入浴してから、熊本ICへ出て、そこから雲仙島原へ向かった。ラジオニュースによれば、島原半島にかなりの雨が降り、大雨洪水注意報が出されている。大分、宮崎県地方はこれからが大雨の峠で、警戒するよう繰り返していた。九州西部は午後からは次第に回復して行くとのこと。  
鳥栖を過ぎるころから、少し陽射しものぞきはじめた。これから大雨を迎えるのが大分や宮崎、やはり長崎、佐賀方面を選択したのはよかったようだ。 諫早ICを出て一路雲仙へ向かう。ところが通常のルートが大雨の被害で通行できないらしい。しかたなく遠回りになるが国見町経由のコースを取った。雲仙へ向けて高度が上がってゆくと、次第に濃い霧がたちこめ見通しが悪くなってきた。そして雨も降ってきた。どうもこの島原半島だけが天気回復が遅れているようだ。
仁田峠への入口までたどりついたが、濃霧のため通行止めでゲートが閉まっている。それに通行時間は午前8時から16時までだ。これではどっちにしても明朝早くの登山には仁田峠を出発点にすることはできないし、「登山者は池の原園地の駐車場を使用して下さい」と言う看板見ると、仁田峠に駐車することはできそうもない。
池の原園地の「妙見駐車場」まで戻り、ここに一晩寝ることにした。駐車場の奥に仁田峠への真新しい道標が立っている。長くつづいた普賢岳登山禁止措置がようやく解禁され、これから登山者が増えていくものと思われる。