追想の山々1125  up-date 2001.10.10

多良岳(996m)〜経ケ岳(1076m) 登頂日1998.05.17 単独
黒木集落(9.45)−−−八丁谷登山口(10.15)−−−西の越−−−金泉寺(11.10)−−−多良岳(11.30-40)−−−金泉寺−−−中山峠(12.35)−−−平谷越(13.05)−−−経ケ岳(13.20-35)−−−黒木集落(14.35)===多久市へ
所要時間 4間50分 1日目 ***** 2日目 **** 3日目 ****
1998年・九州早がけ登山・8日間で14座=(52歳)
大崩山・傾山阿蘇烏帽子岳・普賢岳・多良岳〜経ケ岳・天山・背振山・英彦山・釈迦岳・大船山〜平治岳・湧蓋山・由布岳・鶴見岳・尾鈴山

多良岳
多良岳山頂、長靴姿
=日本300名山 経ケ岳=佐賀県最高峰

普賢岳を登ってから急いで諫早まで戻り、高速で1区間大村ICで降りて多良岳登山口の黒木へ向かった。途中で道を間違えたりしたが、9時45分登山口となる黒木の集落へ着くことができた。県道から左へそれる舗装道路を200メートルほど行くと、登山者用の立派な駐車場がある。周回コースを取るのに都合の良い駐車場である。

早速登山開始。山の稜線は雲に覆われている。依然として天気の回復ははかばかしくない。山は雨が降っているかもしれない。そう思ってまたもや長靴の登山となってしまった。  
郡川上流部の渓流に沿った爪先上がりの舗装道路をたどる。  
黒木集落の先は2〜3件の農家が点在するだけで、もう家屋はない。未舗装となってなおも山間に入ってゆくと30分ほどで八丁谷と書かれた小さな橋を渡り、その先で自動車道は終点となった。ここが金泉寺経由多良岳への登山口となっていた。   

右手が金泉寺経由で多良岳へ、左手が中山峠経由多良岳または経ケ岳へという分岐にもなっている。  
当初の計画どおり金泉寺へのコースをとる。展望のない樹林の登りは、思った以上に急である。たちまち汗が流れる。この樹林は”照葉樹林”というやつで、落葉樹林のような明るさはなく、やたらに暗く陰鬱な雰囲気に包まれている。そう言えば開聞岳へ登ったときもそうだった。この一種独特の照葉樹林のかもしだす雰囲気にはなじめそうにない。穴倉を歩いているような気分だ。  
登り着いた稜線が西野越という峠。ガイドブックにこのコースが載ってなかったのでコースタイムがわからなかったが、八丁谷から普通で1時間、私なら45分くらいと踏んでいたところ、ぴったり1時間かかってしまった。けっこう長い登りだった。  

道標にしたがって稜線を左に折れ、500メートルで金泉寺へ到着した。  
金泉寺には本堂のほかに県営の山小屋もある。中で休憩している人の姿もあったが、周囲のジメッとした陰気な雰囲気に立ち止まる気にもならず、そのまま多良岳山頂へと向かった。  
石段を登ると役の行者の石像がある。それにしても日本全国、役の行者(=役の小角、奈良葛城の出身)の拓いたという山の何と多いことか。すべて同一人物なのだろうか。途中幾体もの苔むした石仏が置かれ、いかにも山岳信仰の山を偲ばせるものがある。急な石段や、鎖の岩場を通過して山頂に達した。  
石祠のある山頂は神域という感を漂わせている。先着の4人パーティーがいて、石祠に合掌していた。眺望もなく記念写真だけ撮ると、すぐに山頂を後にして経ケ岳へと向かった。  
いったん金泉寺方向へ下り、登ってくるときに確認しておいた中山峠への短絡道に入る。山腹をトラバースするような感じで、どんどん下って行く。下りがつづきすぎて心配になってくるほどだった。中山峠経由で多良岳を目指す登山者に何人も出合った。このコースを利用する人の方が多いのかもしれない。  
多良岳からだらだら下りで1時間、鞍部の中山峠に着く。ここはいかにも「峠」という感じのする峠だった。  

経ケ岳山頂
これから経ケ岳へ最後の登り。あれだけ下ってしまったのだから、山頂への登りもかなりありそうだ。ほぼ300メートル近い標高差がある。  
峠から樹林の急な登りをふんばること約30分、平谷越の表示のあるピークに登りつく。ここで道標にしたがって岩の急登をよじり、尾根通しに高度を上げてゆくと、間もなく上から賑やかな話し声が届くようになって山頂に達した。  
狭い山頂には、日曜日ということもあってか、20人以上の人たちが休んでいた。  
雨は降っていないが、あいにくの天候で展望はない。潅木越しに有明の海を見下ろすことができた。そばにいたおじさんが「あれが問題になった干拓ですよ」と教えてくれた。長大な堰堤が延々と延びていた。
賑やかすぎるのと、展望もないことで長居は無用と10分ほどで山頂を後にした。  

経ケ岳からの下山は、中山峠へは戻らず直接黒木へ下る道をとった。沢状の岩片のゴロゴロしたコースは利用する人も少ないようだ。道型が不明瞭のところも多く、赤テープが頼り。先行して下ってゆく女性二人を、あっという間に追い越す。それにしても急な下りだ。このコースは5万図には載っていない。一般的な登山道ではないらしい。ずり落ちそうな急坂が終わり普通の山道になってほっとする。  
やがて自動車の通れるほどの道となり、畑が、そして田んぼがあらわれて人家が見えてきた。田んぼでは今が田植えの最中、野良仕事の村人の姿が目につく。  
本道に出ると駐車場はすぐそこにあった。帰着2時35分、下りはわずか1時間弱だった。  

今日の予定はこれでおしまい。 大村市のビジネスホテルを考えていたが、まだ時間があるので多久市まで移動して、そこでホテルを探すことにする。明日天山へ登るにはその方が都合がいい。大村ICから多久ICへ、そしてホテルチェックインが4時30分だった。