追想の山々1149  up-date 2001.10.25

三瓶山=さんべさん(1126m) 登頂日1997.10.11 単独
奈良(3.00)===三瓶高原定の松(8.30)−−−室の内分岐(8.45)−−−男三瓶山(9.45-55)−−−女三瓶山(10.20)−−−室の内(10.50)−−−扇沢−−−分岐小屋(11.30)−−−定の松(11.45)===三瓶温泉===吾妻山へ
所要時間 3時間15分 1日目 ***** 2日目 **** 3日目 ****
中国山地の300名山(その1)
男三瓶山(右)と赤雁山


中国地方の日本三百名山5座を登るためにでかけた。
深夜3時に自宅を出て一番遠い三瓶山から登ることにした。

中国地方には『大山』以外めぼしい山岳はほとんどない。いわゆる中級山岳にも一歩及ばない低山ばかりで、山好きにとっては少々寂しい地域でもある。
全国的な視野で見れば、三百名山に名を連ねるのもどうかと思えるような山々が、5県で8座選ばれている。
したがってこの山旅はピクニック気分で緊張感のない気楽な出発だった。心配ごととといえば、マイカーによる登山口へのアプローチがうまく行くかどうかくらいのものだった。

三次ICから早朝の国道を突っ走り、5時間余を要して8時15分、無事三瓶高原西の原の「定の松登山口」へ到着。 広いカヤトの原を大学の体育会らしいメンバーが朝のジョギングトレーニングに励んでいる姿があったりして、高原らしい雰囲気がただよっていた。
身支度を整えて早速出発。定の松から、カヤトを切り開いた道をたどって山裾へ向かって行く。雲がかかって三瓶山の山頂を望むことはできない。5分ほどでカヤトの原が終わり、樹林帯へ入ると大きな案内看板があって、その奥には営林署の小屋が見える。ここで道は二分するが、まっすぐ男三瓶を目指して左の道を取る。山腹を斜高するようにジクザクを切りながら、コースは左へ左へと上って行く。
ひと汗かくころ、右手から室の内のコースが合流する。ここで樹林を抜けて尾根道となり、一挙に展望が開けるはずだが、あいにくの曇りで遠望はきかない。女性的ななだらかな円頂が見える。子三瓶だろうか。傾斜がなくなってススキの草原となる。ガスで見とおしはきかないが、山頂は近いようだ。寒い風に追われるように足早に先を急ぐと、人の気配がして来た。三瓶山の主峰「男三瓶」の山頂だった。視界はなく、濃いガスに包まれ方角もつかめない。数人の作業員が植生再生の仕事をしていた。じっとしていると寒さがこたえる。急いで記念写真だけとって山頂を後にした。

この後のコースは考えていなかったが、時間も早かったので女三瓶を回って帰ることにした。
視界がないので道標だけが頼りである。普通ならピクニック気分の山の筈だが、コースを間違えないように慎重を期す。山頂からちょっと下ると避難小屋があった。その前を通って女三瓶への道がのびていた。大きな崩落地の上縁を通過する。絶え間ない崩落がつづいているのだろう。
なだらかな山容に似合わない急坂の道がしばらくつづいて、下りきったところにユートピアの標識が立っていた。
女三瓶山はリフト利用で来た人たちであふれるほどだった。
運良く男三瓶山の雲が切れて全容が望めるようになった。茶碗を逆さにしたような山が、ポコンポコンと並ぶ様は、この山独特の景観であった。
女三瓶から下って行くと、リフトからの観光客が列をなして上ってくる。リフト降り場はすぐだった。ここから定の松へどのコースで帰るとしようか。ちょっと迷った末、室の内池を通って見ることにした。
薄暗い樹林下に付けられた遊歩道の木の階段を下って行くと、突然空が暗くなって夕闇が迫ったような怪しい雰囲気に急変。梢が風に鳴り、雨粒が落ちて来た。急いで雨具を身につけ、大降りにならないうちにと足を速めた。しかし雨はたいしたこともなくおさまって、明るさを取り戻してきた。
天気が良ければ池面に三瓶山を映して、景色の良い室の内だうろ。
池から先、かしわ餅に使う、あのカシワの木がびっしりと群生しているのに驚いた。まさにカシワの純林でそれは見事なものだった。前方を行く早いぺースの男女を追い抜き、登り勾配となった道を上り詰め、尾根を乗越すと、西の原への下山路となる。これは扇谷コースで、登りのとき営林署小屋で右手にコースを取ると、この扇谷コースを経て男三瓶山または室の内へと行く。
紅葉に染めはじめた沢沿いの道を下り、西の原へ帰り着いた。
カヤトの草原一帯は観光客が点在し、駐車場も自動車で一杯だった。見ると男三瓶山と孫三瓶山が姿を現していた。

山を後にして、三瓶高原の一角にある三瓶温泉国民宿舎の温泉へ立ち寄る頃、急にどしゃ降りの驟雨となった。下山してまだ20分とは経っていない。この雨に遭わずにほんとうについていた。湯量豊富な温泉で汗を流してから、比婆山系吾妻山へと向かった。